精油・エッセンシャルオイルに含まれているリナロールとは、どういう芳香成分?
ラベンダー、ベルガモット、ネロリ精油に多く含まれている脂肪族モノテルペンアルコールに分類される芳香成分です。
スズランのような香りが特徴で、大量に合成することができるので人工香料としてもよく用いられています。
また、化粧品の香料としても使われています。
リナロールには、構成元素は同じでも立体的な配置の異なる異性体と呼ばれる2つの構造のタイプがあり、それぞれ香りなど化学的な性質がことなってきます。
互いに鏡で見ているような関係の立体配置で、それぞれ光学的な差があるので「光学異性体」と呼ばれています。
光学活性によって、(+)-、(-)-または、D-、L-、さらにR-、S-はという表記がされます※。
※細かくいえば、(+)-、(-)-とD-、L-はほとんど一緒ですが、R-、S-の定義が異なっています。
リナロールの場合は、「(S)-D-リナロール」と「(R)-L-リナロール」という表記がされます。
植物では(R)-L-リナロール(L体とします)が豊富に含まれているものが多く、ラベンダー、ベルガモット、ネロリのリナロールもL体の成分が主体となっています。
化粧品成分における表記と配合目的
リナロールは化粧品の香料成分になります。化粧品成分の表示と配合用途については次のようになります。
★ 使用用途別の表示
用途 | 表示名 |
化粧品成分の表示名称 | リナロール |
医薬部外品原料規格(薬用化粧品)の表示名称 | |
INCI名(化粧品成分の国際名称、英語表記) | Linalol |
★化粧品の用途
成分の分類 | 香料成分 | |
化粧品での配合目的・用途 (米国パーソナルケア製品協議会で名称登録時の用途 ) |
|
リナロールの性質と安全性について
化学的性質と安全性について表にまとめています。
★リナロールの特徴
名称 | リナロール |
IUPAC名 (化合物の体系名) |
3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール |
別名 | 構造異性体によって、別名がついています。 D体 コリアンドール L体 リカエロール |
分子式 | C10H18O |
化学的分類 | モノテルペンアルコール類 |
芳香 | スズランのような爽やかなフローラルな香り |
期待される効果・作用 参考文献1) |
副交感神経を刺激、鎮静、鎮痛作用、抗炎症作用、殺虫(1989年 Gauthierらの研究において、シラミ効果があると報告)、抗ウィルス作用(2005年 Chiangらの研究において、アデノウイルスⅡに有効と報告)など 参考文献2 サイエンスの目で見る―ハーブウォーターの世界参照)。
リラックス効果、抗不安作用、抗酸化作用、睡眠導入作用 リナロール主体のラベンダーウォーターは、ニキビ、ドライスキン、皮膚の再生、湿疹に有用とされています(参考文献2 サイエンスの目で見る―ハーブウォーターの世界参照)。 |
構造式 |
リナロール(L体) |
安全性・毒性 | リナロールはアレルギーの疑いのある人においてもほとんど反応しにくい成分とされている。
1985年のDe Grootらによると、30%濃度のリナロールを化粧品アレルギーの疑いのある179人皮膚炎患者で確認したところ、反応はなかったという報告例がある ただし、酸化すると6,7-エポキシリナロールというものに変わり、皮膚刺激が指摘される成分になることが報告されている(2007年Meestersらによる報告 参考文献2 サイエンスの目で見る―ハーブウォーターの世界参照)。 |
その他 | リナロールは200種類の精油に含まれているほど、ありふれた成分。リナロールは、ゲラニオール及びネロールの構造異性体になります。
オレンジ油やグレープフルーツ果皮油など、柑橘系精油に含まれているαピネンやβピネンからリナノールは合成される。 |
リナロールを含んでいる代表的な植物
リナロールを多く含んでいる植物には次のようなものがあります。
★リナロールを多く含まれている精油(参考文献 2 精油の安全性ガイド 第2版 ,965-969参照)
含有精油名称 | 含有量 (%) |
ホーウッド | 95 |
ローズウッド | 82.3-90.3 |
タイム(リナロールCT) | 73.6-79.0 |
バジル(リナロールCT) | 53.7-58.3 |
ミント(ベルガモット) | 24.9-55.2 |
ネロリ | 31.4-54.3 |
ラベンダー | 25.0-45.0 |
ラベンダー(スパイク) | 27.2-43.1 |
イランイラン | 0.8-30.0 |
ベルガモット(圧搾) | 1.7-20.6 |
ベルガモット(FCF:フロクマリンフリー) | 4.0-20.0 |
ゼラニウム | 0.5-13.8 |
リナロールが多く含まれている精油
参考文献
*1) 日本化粧品工業連合会 編集 (2013年) 日本化粧品成分表示名称事典、付録5、p616-p751
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