ベルガモット果皮油とはどんな原料?
化粧品の使い心地や機能を向上させるための天然香料成分として配合されているものです。
ベルガモット果皮油は、油性の精油成分で、アロマテラピーで使われているエッセンシャルオイルの「ベルガモット・オイル」と同一な成分内容のものです。
ベルガモット自体、あまりなじみがないですよね。
それもそのはず、基本的には食料
とはいうものの国内にいれば、どんな植物かはわからないまでもフレーバー・ティーの「アールグレー」や「香水」などで一度はベルガモットの香りを嗅いだことはあるはずです。
では、どんな性質があるのか見ていきましょう!
★ 使用用途別の表示
用途 | 表示名 |
化粧品の成分表示 | ベルガモット果皮油 |
医薬部外品(薬用化粧品)の成分表示 | |
INCI名(化粧品の国際名称)
英語表記 |
Citrus Aurantium Bergamia (Bergamot) Peel Oil |
(参考文献 *1)
★化粧品原材料のまとめ(分類、用途、主要な成分の構造と由来)
成分の分類 | 香料(植物精油、エッセンシャルオイル) |
化粧品での配合目的・用途
(米国パーソナルケア製品協議会で名称登録時の用途)
|
香料 |
香りの特徴 | 甘さ少なめでさっぱりとした大人向けの柑橘系の香り |
期待される効果・作用※
(*文献 2,3) |
作用:精神の安定、消化の促進、抗菌、抗ウィルス、抗真菌、
香りの適応:不眠、ストレス、落ち込みなど
皮膚への適応:脂漏性皮膚炎、ニキビ、デオドラント、脂性肌など
|
構造
|
香料の主要な成分:d-リモネン(30〜40%) |
主産地 | イタリア、チュニジア、アフリカ |
成分の起源(基原) | ミカン科ベルガモット(学名:Citrus bergamia ※2)を低温圧搾して回収したもの |
※1 文献を参照していますが、医薬品のように症状の改善が確実に保証されたものではありません。参照程度に留めておいてくださいね。
成分について
精油には主に次のような成分が含まれています。
★ベルガモット精油(圧搾)の成分表(2018年) 精油の安全性ガイド 第2版 p700-702 参照)
- d-リモネン 27.4-52.0%
- 酢酸リナリル 17.1-40.4%
- リナロール 1.7-20.6%
- γ-テルピネン 5.0-11.4%
- β-ピネン 0.7-2.2%
- β-ミルセン 0.6-1.8%
- 酢酸ネリル 0.1-1.2%
不揮発性化合物(光毒性のあるフロクマリン類)
- ベルガモチン 0.68-2.75%
- 5-ゲラニルオキシ-7-メトキシクマリン 0.08-0.68%
- シトロブテン 0.01-0.35%
- ベルガプテン 0.01-0.33%
- ベルガプトール 0-0.19%
- 5-メトキシ-7-ゲラノキシクマリン 0.04-0.15%
- ソラレン 0-0.0026%
別記事に成分のリナロールについて書いています。
使われている
安全性について
・光毒性について
フロクマリンを含有している柑橘系の原料のため、光毒性があります。
※光毒性とは、精油がついた部分に紫外線があたったときにアレルギー反応のような皮膚症状が起きること
⇒参照:フロクマリンの作用メカニズムについて。グレープフルーツ果皮油より
そういったことから皮膚に塗布したままにする化粧品においては、配合量が制限されています(2009年 国際香粧品香料協会の規定:0.4%まで 、参考文献1 より)。
また、紫外線による発がん性も報告されています。具体的な濃度や紫外線照射時間は不明ですが、マウスにベルガモット精油を塗布して紫外線を浴びると発がん作用があったという報告例があります(1981年Zajdela & Bisagni 、及び1983年 1990年 Young らの研究結果から 参照文献1 より)。
そういっても光毒性や光による発がん性について過剰に恐れる必要はないかと思います。
化粧品では香料の配合量が守られていますし、洗い流す製品でも1%よりも少ない配合量が通例で、成分のほとんどが洗い流されます。
皮膚刺激については、成分に含まれているd-リモネンの自動酸化物質がアレルギーの皮膚感作反応を引き起こす可能性があるとされています。
ひとりで精油成分を使う場合は、古くなって酸化した精油は肌につけないほうがいいでしょう。
・皮膚刺激性・感作性について
d-リモネンに皮膚刺激性がある成分です。ところが、低濃度の場合は皮膚刺激は起きにくいことが報告されています(下記試験例参照)。皮膚炎を患っていると反応のリスクは上がるので、皮膚の様子をみて使ってくださいね。
・皮膚刺激性についての試験例
1987年のSantucci らによると、1,200 人の皮膚炎患者で2%濃度の精油でパッチテストをしてみたところ、皮膚刺激性の反応がなかったそうです。
ところが、皮膚炎がある患者2人(0.17%)についてはアレルギーを引き起こすような過敏症がありました。
1971年のMeneghiniらの研究を受けて皮膚に有害な反応が濃度30%に設定して、Santucci らが25人に塗布試験をしても反応が見られなかったという報告例があります(参照文献 1より)。
参考文献
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