精油・エッセンシャルオイルに含まれているヌートカトンとは、どのような芳香成分?
ヌートカトンは、主にグレープフルーツ果皮油(グレープフルーツ・オイル)のような柑橘系に含まれている揮発性の芳香成分で、柑橘系のd−リモネンのような柑橘系に豊富に含まれている成分ではなく、一番豊富なグレープフルーツでさえも1%も満たないぐらいの精油の中ではマイナーな部類になります。
とはいっても微量成分でありながら、ヌートカトンが注目されたかといえば、脂肪を燃焼させる効果があることが発表されたからです。
しかも香りをかぐだけでも効果があるとか。
そのため、ダイエットのときや食欲を抑えるためにグレープフルーツ精油を合間にかいでみる..ということが数年前流行りました。
今回それも含めてヌートカトンの性質をまとめてみました。
(参考文献 1,2,3)
ヌートカトンの性質と安全性についてのまとめ
化学的性質と安全性について表にまとめています。
★ヌートカトンの特徴
名称 | ヌートカトン |
IUPAC名 (化合物の体系名) |
1,2,3,5,6,7,8,8a -オクタヒドロ-1,8a –
ジメチ ル-7-(1-メチルエテニル)-ナフタレン-3-オン |
別名 | Nootkatone |
英語名 | 1(10),11-エレモフィラジエン-2-オン |
分子式 | C15H22O |
化学的分類 | ケトン類(参考文献)
二環式セスキテルペノイドアルケンケトン(参考文献) |
芳香 | 樟脳(カンファー)のようなすっきりとした香り |
期待される効果・作用 | アポトーシス誘導作用(細胞の死をコントロールさせる作用)、抗肥満効果、虫の駆除(ノミの防除、シロアリ防除、殺ダニ)
(参考文献 2 ビジュアルガイド精油の化学参照) 【科学的なエビデンス】 2010 年のMurase の研究において、マウスにヌートカトン(200 mg/ マウス重量kgあたり)を投与したところAMPKが活性が確認され、エネルギーの消費量も増加も確認されました。 さらに、ヌートカトンを高血糖、高インシュリン症のマウスに投与量(0.1% – 0.3% マウス重量あたり)したところ、体重の減少することも報告されています。 マウス重量あたり0.2%のヌートカトンを投与したマウスでは、水泳時間が21%延びて、代謝機能も向上できたそうです。 |
構造式 | |
安全性・毒性 | 【皮膚刺激性及び、アレルギーを引き起こす感作性について】
不純物を含む86%濃度のヌートカトンでは、皮膚のアレルギー性があることを皮膚の塗布試験で確認されましたが、98%と高純度のタイプではアレルギー性はないとされています。 (参考文献 3 2009年IFRAデータ, 精油の安全性ガイド 第2版 p898)
毒性や皮膚刺激性が比較的低いものとされていますが、どのような不純物なのか特定されていないため、ヌートカトンが完全にアレルギーがないものなのかはっきりしないところです。 実際のグレープフルーツ精油にヌートカトンは1%も満たない量なので、それ自体にアレルギーを引き起こす可能性は低いと考えられます。 |
ヌートカトンが含まれている植物とは?
ヌートカトンは柑橘系の精油成分ですが、一番多いグレープフルーツ精油でさえも1%にも満たない微量成分です。
ベルガモットでも検出されるとの報告がありますが、グレープフルーツに比べて1/10量しかありません。
ヌートカトン効果を期待するのであれば、グレープフルーツ精油を使用したほうがいいようです。
ただし、研究報告例では実際に香料として使う量よりも過度な量で使用しています。しかも、臨床的な試験を経ていません。そのため、香料を使用しても効果を過度に期待しないでくださいね。
★ヌートカトンの含有量の多い植物
(参考文献 4, 精油の安全性ガイド 第2版 p948 (2018年)より)
参考文献
*1) 日本化粧品工業連合会 編集 (2013年) 日本化粧品成分表示名称事典、付録5、p616-p751
*2)ウィキペデイア ヌートカトン<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%B3>(2018.02.22アクセス)
*3) 長島 司(2012)ビジュアルガイド精油の化学,59
*4)和田 文緒 (2008) アロマテラピーの教科書―いちばん詳しくて、わかりやすい!
*6)Murase T1, Misawa K, Haramizu S, Minegishi Y, Hase T. (2010) Nootkatone, a characteristic constituent of grapefruit, stimulates energy metabolism and prevents diet-induced obesity by activating AMPK. Am J Physiol Endocrinol Metab. E266-75.
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