シトラールとはどんな性質の成分?

レモンの爽やかな香りが特徴のレモングラス精油に多く含まれている芳香成分です。

レモンやオレンジ、パロマローザにも数%程度含まれています。

シトラールは単一の成分名ではなく、ゲラニアール(シトラールa)とネラール(シトラールb)という2つの成分を表しています。

ゲラニアールとネラールはそれぞれよく似た成分ですが、構成する原子の組成は同じでも配置の異なる「幾何異性体」という間柄になります。

天然の精油には2つの成分が混合し、含有量などの影響を受けあっている。

化学的性質と安全性について表にまとめています。

 

★シトラールの特徴

名称

シトラール

IUPAC名

(化合物の体系名)

3,7-ジメチル-2,6-オクタジエナール

英語名

citral

別名

【ゲラニアール】

シトラールa、

(E)-もしくは、a-シトラール

【ネラール】

シトラールb、

(Z)-もしくは、β-シトラール

分子式

C10H18O

化学的分類

脂肪族モノテルペノイド参考文献 

脂肪族モノテルペノイドアルケンアルデヒド

芳香

レモンの爽やかな香り

期待される効果・作用

参考文献1

鎮痙(ちんけい)効果、抗腫瘍効果、血管拡張緩和効果、抗肥満、抗菌、抗炎症、虫の効果(シロアリ防除、ダニ殺虫、ノミ殺虫、蚊の忌避)など (参考文献:  ビジュアルガイド精油の化学

 

メラニン抑制作用、抗酸化作用、解毒作用、皮膚がん予防、メラニン抑制作用、平滑筋弛緩作用等

(参考文献: 井上 重治 (2009) サイエンスの目で見る―ハーブウォーターの世界)

抗男性ホルモン抑制効果(5α-レダクターゼ阻害効果)、男性型脱毛予防効果

2008年マンダム 特許公報 抗男性ホルモン剤組成物

構造式

ゲラニアール

ゲラニアールの構造式

ネラール

ネロールの構造式

構造式を見ると右側のO(酸素原子)の位置が違うぐらいで、ほんの僅かな違いだけだということがわかります。

安全性・毒性

【皮膚刺激性及び、アレルギーを引き起こす感作性について】

ラットに60日間餌に混ぜて与えても、毒性が見られませんでした。

ところが、高濃度のシトラールを皮膚に塗布した場合、接触皮膚炎や刺激性があることが報告されています

(2003 heydornらの研究,井上 重治 (2009) サイエンスの目で見る―ハーブウォーターの世界より)

ただし、化粧品などに配合されているレモングラス油の場合、1%も満たないのでほとんど影響は少ないものと考えられます。