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ラベンダー油とはどんな性質の化粧品原料?

ラベンダー油 化粧品原料成分 イメージ図

「ラベンダー油」とは、植物のラベンダーから抽出した天然由来の精油で、化粧品の機能性を向上させる成分になります。

ラベンダーは国内でもあちこち育てられていますし、化粧品以外にも香料が入った製品はたくさん出回っているので、どんな香りがするのか説明しなくても想像できますよね。

今回ご紹介する成分は、アロマテラピーで使われるエッセンシャルオイル「ラベンダー・オイル」と同じ製法で抽出された原料になります。

どういった性質のある原料なのか見ていきましょう!

 

★ 使用用途別の表示

用途別の表示名称 表示名
化粧品成分表示の名称 ラベンダー油
医薬部外品原料規格表示(薬用化粧品)の名称
INCI名(化粧品の国際名称)
英語表記
香料

(参考文献 *1)

 

★化粧品原材料のまとめ(分類、用途、主要な成分の構造と由来)

成分の分類 香料(植物精油、エッセンシャルオイル)
化粧品での配合目的・用途
(米国パーソナルケア製品協議会で名称登録時の用途)
香料、皮膚コンディショニング剤(未分類)
香りの特徴 ハーバル調で甘く爽やかな香り
期待される効果・作用※1
(*文献 2)
作用:炎症を和らげる、皮膚細胞活性化、自律神経調節、睡眠の改善、鎮静、疲労回復、抗菌、抗真菌など

肌への適応:肌荒れ・手荒れ、真菌症、かゆみ、妊娠線、傷口など

その他体の作用:うつ状態の改善、睡眠・不眠、自律神経のバランスを整える、不安や緊張をほぐす)、肩こり、月経痛、筋肉の痙攣など

構造

化粧品原料ラベンダー油に含まれている酢酸リナリルの構造式

香料の主要な成分:酢酸リナリル

主産地 フランス、イタリア、イギリス、中国
成分の由来原料(基原) シソ科ラベンダー(学名:Lavandula Angustifolia )の葉と茎(花が咲いている先端部分)を水蒸気蒸留法で抽出

※1 文献を参照していますが、医薬品のように症状の改善が確実に保証されたものではありません。参照程度に留めておいてくださいね。

 

(参照文献  1,2,3 )

精油に含まれている成分について

★ラベンダー油に含まれている成分について(イングリッシュラベンダー・コモンラベンダー精油)

  • 酢酸リナリル 44.7%
  • リナロール  28.0%
  • クマリン   4.3%
  • β-カリオフィレン 3.2%
  • 酢酸ゲラニル      2.7%
  • テルピネン-4-オール 2.7%
  • ヘルニアリン        2.3%
  • β-ファルネッセン 1.2%
  • カンファー       1.2%
  • 酢酸1-オクテン-3-イル  1.1%

(参考文献:2002 Jones プライベートデータ 精油の安全性ガイド 第2版 p675参照))

★リナロールについて記事を書いています。

安全性について

化学成分(例えば化粧品成分)の安全性のイメージ図

香料の安全性の調査や研究を行っている国際的な機関であるRIFM(香粧品香料原料安全性研究所)において、ラベンダー油(実際は、アロマテラピーで使う精油)の安全性のデータが開示されています。

エッセンシャルオイル総覧 に一部記載されていて、「ラベンダー油」は化粧品の香料成分として1%程度配合されている場合であれば、皮膚への感作性(アレルギーの起こりやすさ)、皮膚刺激は少ない原料とされています。

ところが化粧品の使用方法や化粧品の配合成分の組み合わせ、肌のバリア機能の状態など、条件によっては反応が起こる可能性があります。

配合されている化粧品を使う場合は、肌の様子をみて使いましょう。

皮膚刺激について

皮膚刺激については、起きにくい原料とされています。

「ラベンダー・オイル」の原液をマウスにを塗布したところ、皮膚への反応はありませんでした。ところが、ラビットに塗布したところ、わずかに刺激があったことが確認されたという報告があります。

ヒトについても16%の濃度において、刺激はないという報告があります(参考文献 *2 エッセンシャルオイル総覧(2010年))

感作性について

「感作」とはアレルギーで物質でおこる皮膚の初期反応のことです。

感作性とはそれが起こりやすい性質になります。

低濃度でのラベンダーは、感作性の可能性は低いものとされています。

ヒトに16%の濃度において、「ラベンダー・オイル」の感作性を確認したこところ反応はなかったとの報告があります。 (参考文献 *2 エッセンシャルオイル総覧(2010年))

 

光毒性について

精油に含まれている成分の中に、紫外線にあたると炎症が引き起こしてしまうことがあります。

この様な悪影響を及ぼす性質のことを「光毒性」といいます。

光毒性を引き起こす成分として有名なのがグレープフルーツ果皮油に含まれている「フロクマリン」という成分があります。

フロクマリンは、紫外線を浴びると人の皮膚にあるDNAの二重らせんと架橋構造を形成して、炎症性の物質をつくる性質があります。

こういった成分を含んでいる香料原料については、皮膚につける濃度が低めに制限されています。

グレープフルーツ果皮油の性質についてはこちら

ちなみにラベンダーについては、光毒性のある性質の成分はなく、適切な濃度であれば日光にあたっても問題がないとされています (参考文献 *2 エッセンシャルオイル総覧(2010年))。

 

(参照文献 *2, *4)