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精油・エッセンシャルオイルに含まれているゲラニオールとは、どういう芳香成分?

ゲラニオールが多く含まれているローズ油のイメージ図

ゲラニオールとは、ゼラニウムパルマローザローズに多く含まれているバラのような甘い香りが特徴の芳香成分です。

バラの香りに関わっているリナロールやネロールと同じ様にモノテルペンアルコール類という化学的な構造が似たグループに属しています。

それぞれC10H18Oという分子式で表し、炭素10個、水素18個、酸素1個からなる組成となっています。

ところが3つの物質はどれも組成は同じですが、それれぞれ炭素と水素が結合している構造の一部の配置が異なっています。それぞれの構造は、お互いに重ね合わせることができないので「構造異性体」と呼ばれる間柄になります。

 

参考にゲラニオールとネロールの構造式は、次のようになっています。

 

例.ゲラニオールとネロールの構造式

ゲラニオールの構造式
ゲラニオールの構造式
ネロールの構造式
ネロールの構造式

 

 

 

 

棒は炭素(C)を表していて、さらに水素(H)がついているのですが省略されています。2本棒(=)の線の右側部分(水酸基、-OHがある方向)は、ネロールは下に向かって炭素がついているのに対して、ゲラニオールは、右上に向かって炭素がついている構造になっています。

 

この配置によってニオイが変わってくる精油成分もありますが、ゲラニオールとネロールに関してはどちらも似たようなバラの甘い芳香がします。

 

ゲラニオールは香りの他にも抗酸化作用肌の弾力回復作用など美容によい作用があることが知られるようになってきました。

そういうことからローズやゼラニウム(ローズゼラニウム)など、ゲラニオールを多く含む精油は単に香りをつけるためだけではなく、乳液や化粧水といった肌につけたままにする美容作用を考慮した基礎化粧品に使われています。もちろん頭皮ケアを考えたシャンプーやトリートメントにも配合されています。

(文献参照 1,2,3)

⇒商品の参照例:ニオイテンジク油を使ったシャンプー.N ドットエヌ(別サイトに飛びます)

ゲラニオールの性質と安全性について

化学的性質と安全性について表にまとめています。

冒頭でもお伝えしたようにバラのような甘い香りが特徴の成分で、美容香り中枢神経に働きかけて疲労感や憂うつな気分といった心の不調にも作用します。

 

★ゲラニオールの特徴

名称 ゲラニオール
英語表記 Geraniol
別名 trans(トランス)-ゲラニオール、ゲラニルアルコール、レモノール
分子式 C10H18O
化学的分類 モノテルペンアルコール類
芳香 バラのような甘い香り
期待される効果・作用
(*文献 2,3,4)
中枢神経覚醒、抗菌作用(一級アルコールのため)、皮膚弾力回復、収れん、抗ガン作用(抗腫瘍作用)、抗炎症効果、経皮吸収作用(他の分子の経皮吸収量を高める)、抗酸化作用(SOD活性化作用)など
構造式

ゲラニオールの構造式

出展:ウィキペデイア ゲラニオール

安全性・毒性(参考文献4 精油の安全性ガイド 第2版  2018年 参照) 経口摂取したときの急性、慢性毒性は低い部類の精油です。(ラットの急性毒性LD50(半致死量)3.6g/kg、精油の安全性ガイドの 1964年 Jennerらのデータより

ラットの半致死量(死に至る確率が半分ぐらいだと思ってください)を単純に60kgのヒトに換算すると、毒性が起きる摂取量は180gになります。

通常はそれほど摂取することはない量なので、毒性はかなり低いものになります。

 

可能性は低いとされているものの、アレルギーを引き起こす皮膚感作作用があることが知られています。

そのため、EUにおけるアレルゲンとなりうる26種香料物質の1つに入っています。

IFRA(国際香粧品香料協会)では皮膚感作性を考慮して、ゲラニオールの化粧品での含量は5.3%までとなっています(肌につけたままにする化粧品など)。

発がん性(変異原性)の完全否定はされていませんが、反対に腫瘍を抑える抗腫瘍作用は確認されています(マウスメラノーマ細胞の増殖抑制、リンパ球様がん細胞移植マウスの生存期間の延長などの試験より)

その他 ゲラニオールは、リナロール及びネロールの構造異性体です。
ゲラニオールに水素をつける(水素化する)と、ゼラニウムに含まれているシトロネロールになります。

(参考文献 1,2,3,4,5)

 

ゲラニオールの含有量が多い植物とは?

ゲラニオールの含有量が多い代表的な植物を表にまとめてみました。

例えば表の「ローズ(ダマスク)」を見ると、「2.1-25.7%」でかなり数値の幅がありますよね。

精油成分は天然植物から抽出したものなので、品種や季節、産地によって含有量がかなり変動するからです。

そういったことから、ロットごとで香りや効能が変わってくることを心に留めておいてくださいね。

 

ちなみに一番多く含まれている植物は、ミントの香りが特徴のシソ科のベルガモット・ワイルド(別名:ビーバーム、和名:タイマツバナ)で、約90%になります。

普通は「ベルガモット」といえば柑橘系の「ベルガモット」を思い浮かべる人が多いかと思いますが、海外、特にアメリカではシソ科の植物も柑橘系と同じ様にベルガモットと呼ぶそうです。

香りがベルガモットに似ているというところから来ているのだそうですが…ちょっと紛らわしいですね。

 

★ゲラニオールの含有量の多い植物(参考文献 4, 精油の安全性ガイド 第2版 ,2018年 より

含有精油名称 含有量(%)
ベルガモット
ワイルド
86.8-93.2
ジャムロッサ 54.0-85.0
パルマローザ 74.5-81.0
タイム
レモン
39.2
ローズ
(ダマスク)
2.1-25.7
ゼラニウム(モロッカン 15.1-20.6
ローズ
(ジャパニーズ)
12.8
レモングラス
ウエストインディアン
0-6.7
ローズ・アブソリュート
(プロバンス)
4.9-6.4
コリアンダーシード 0.5-5.3
バジル
(レモン)
 4.3-4.7

 

 

ゲラニオールを含んだ天然香料成分の記事はこちらにまとめてあります!

☆パルマローザ(パルマローザ油)

☆ゼラニウム(ニオイテンジク油)

☆ローズ(ローズ油)

参考文献

*1)ウィキペディア ゲラニオール<https://en.wikipedia.org/wiki/Geraniol>(2019.02.18アクセス)

*2)W. Chen, A.M. Viljoen.(2010) Geraniol — A review of a commercially important fragrance material,South African Journal of Botany 76,643–651

*3)千葉栄一(2012)デンタルアンチエイジングとアロマセラピー―顔の表情と口腔内のアロマケア― : 香りの多様な働き・作用で美と健康をサポートする 香りで美と健康シリーズ,48

*4)岸田 聡子 林 真一郎 (監修), Robert Tisserand (原著), Rodney Young (原著), 池田 朗子 (翻訳), 八木 知美 (翻訳), (2018年) 精油の安全性ガイド 第2版 ,454,808-827

*5)三上 杏平 (2008年) エッセンシャルオイルの作用と安全性を図解 ,92
 

 

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