シャンプーと洗顔料は使い回しはできないでしょうか?
「あー洗顔料がない」っていうことがよくありますよね。
ここ数年、シャンプーや洗顔料を使わずお湯だけで洗顔していますが、毎日きっちりお化粧をしていたときは洗顔料は欠かせませんでした。
私自身、結構忘れっぽくて、洗顔料がないということも時々ありました。そういうときには、石鹸ベース(カリ石けん)のボディーソープを洗顔料で使っていました。
石けんベースなんでちょっとツッパリ感はありましたけどね。
今でも時々、ミネラルファンデーション(粉白粉)を使っているときは、そういうときには洗浄力のゆるい洗顔料を活用しています。
「何もつけない」美肌術」という湯シャン関連の書籍では、お化粧をしたときには手ぬぐいで落とすようにとありましたが、ミネラルファンデーションでも擦れるような感じがしたので洗顔料に戻しました(*1)。
何はともあれ、シャンプーと洗顔料の使い回しができたら便利ですよね。
実際それぞれ使い回しができるのかみていきます!
湯シャンについて知りたい人はこちら
⇒髪はお湯でも洗えます。
シャンプーと洗顔料のベースは同じです。
シャンプー、洗顔料ともに、主に水性成分と界面活性剤が配合されていて、ベースは同じです。
(体を洗う液体状のボディソープもシャンプーとほぼ中身は一緒です!)
洗顔料の方はチューブ状の物(洗顔フォーム)であれば、界面活性剤の割合が多くなっています。
シャンプーの場合だと、30%が界面活性剤、70%の水性成分となっていますが、洗顔料は、70%が界面活性剤で、30%の水性となっているものが多いようです(*2)。
(泡状や液体状の洗顔料であれば、シャンプーとほぼ同じように水性成分が多いものもあります。)
洗顔フォームとシャンプーの割合について(*2)
洗顔料の方が界面活性剤の割合が高くなっているので、洗浄力が強そうな感じがしますが、少量しか使わないので最終的な界面活性剤の量はシャンプーとそれ程変わらなくなります。
さらに洗顔料には、皮脂が取り除かれた後のツッパリ感を緩和させるために、肌をしっとりさせる保湿成分(グリセリン、糖類等)が多く含まれています。
一見するとお互いに使えなくはなさそうなのですが、それ以外にも違いがあるようです。
頭皮と顔では性質が異なるので、ベースが同じでも成分を変えています
人の皮膚は、どの部でも同じ構造(表皮、真皮、皮下組織)の三層の層状の組織から成り立っていますが、部位ごとに違いや特色があります。
例えば、手のひらや足の裏では汗腺は発達しているものの、毛包、皮脂腺は未発達です(おかけで、冬場手や足裏はカサカサしやすのですが…)。
もちろん頭皮と顔は近い位置にあるものの、見た目で明らかな違いがありますよね。頭皮には髪の毛がありますし。皮脂腺は髪の毛を作る毛包組織上にあるので、頭皮の皮脂の分泌は多くなっています。顔の額の2倍だともいわれているほどです(*3)。
アミノ酸系など、洗浄力が緩めなシャンプーが出てきているものの、頭皮の皮脂分泌が多い傾向があるため、比較的安価な市販のシャンプーにはラウリル硫酸塩やスルホン酸系等、洗浄力が強いものが使われがちです。
シャンプーは体にかかることを前提に作られていますが、顔に直接つけると洗浄力が強すぎて肌が荒れてしまうことも。
このような理由から、成分をよく確かめないで安易にシャンプーを洗顔には使わないほうがいいですよね。
その他にもいくつか違いがあります。
安易にシャンプーと洗顔料として使わないほうがいい理由とは
シャンプーには髪を整える成分が入っている
シャンプーには、髪のキシミをなくし、ツヤを出す油性成分やポリマーが添加されています。
例えば、髪の毛にツヤを出すためのステアリン酸など油性成分が配合されていることがあったり、今では敬遠されていますが、きしみをなくすためのシリコーンが配合されている商品があります。
また、リンスインシャンプーなら、リンス成分としてポリマー系統の陽イオン界面活性剤成分が配合されている場合もあります。
洗顔にシャンプーを使うと、保湿というよりは肌に疎水性の膜が貼り付いたままになってしまいます。特にポリマー系統の陽イオン界面活性剤だと肌が弱い場合、皮膚トラブルにつながることもあります。
シャンプーには、香料成分が強かったり、抗菌剤がはいっていることも
シャンプーは使い心地や髪に匂いを残すために、洗顔料よりも香料が強めです。さらに、清涼感を出すためにメントールや柑橘系の精油などが入っていることがあります。
洗顔でシャンプーを使った場合、香りが強いと使い心地は悪いでしょうし、メントールなどの清涼感のある成分は刺激が強く出てしまいます。
また、薬用シャンプーであれば、フケを防止する抗菌剤成分が入っています。顔に直接つけた場合、肌の常在菌のバランスを低下させる恐れもあります。
洗顔をシャンプーとして簡単に使えない理由とは
逆に洗顔料をシャンプーに使いまわしても不都合なことが起きます。
マイルドな成分の洗顔料も増えてきましたが、未だに市場にでている洗顔料の9割が石けん主体のものです(*4)。チューブに入っている洗顔料の場合は、液体石けん(カリ石けん)が配合されています。
石けんは泡立ちがよく、肌の皮脂や汚れをかなり落とします。コストも安いということでよく使われているようです。
石けん主体の洗顔料の場合、皮脂が取り除かれた後のツッパリ感を緩和させるために肌に潤いを与える成分が配合されているものの、洗浄力を維持するために石けんの性質は弱アルカリ性のままです。
髪の毛はアルカリ性に弱く、このような石けん主体のもので洗ってしまった場合、表面のキューティクルが膨張して、髪の毛が痛む原因になります。
石けんシャンプーのように、クエン酸リンスで中和して膨張を防ぐこともできなくはないですが、保湿成分が多くて髪の毛がベタつきやすいことも。洗顔料はすぐに水で洗い流せるように泡切れが良くなっているものも多いので、シャンプーとしての使用感がよくありません。
それでもシャンプーを洗顔に使いたい場合は 〜洗顔に使えるシャンプーがあります〜
先程お伝えした硫酸系の界面活性剤が含まれていないアミノ酸系のシャンプーが比較的洗顔にも使えそうですが、髪の毛の質感を良くするリンス成分も含まれていることが多いようです。
そのため、あらかじめシャンプー以外にも想定して作られた「全身シャンプー」として販売されているものが無難です。
肌に直接触れても比較的マイルドな成分でできていますし、髪の毛もきしまず洗うことができます。
ただ、全身シャンプーも万能かといえばそうでもなく、シャンプーとして利用する場合は、あらかじめシャンプーとして作られたもののほうが、洗浄力や洗い上がりが満足ができるものが多いです。
どちらかといえば、肌が弱くて髪の毛も顔と同じように潤いを残して洗いたいという人向けの商品になっています。
実際に「全身シャンプー」を使ってみました!〜ベビー前進シャンプーフィレイチェ〜
全身シャンプーとして選んだのは、「ベビー全身シャンプーフレイチェ」です。ベビー用の全身シャンプーになります。
理由は、洗浄剤としてアミノ酸系の界面活性が使われていて、低刺激でマイルドであること。保湿剤が皮膚に含まれている天然の保湿成分に近いものが配合されているるため選びました。
成分について
こちらが全成分になります。
水,グリセリン,BG,ココイルグルタミン酸TEA,ラウロイルアスパラギン酸Na,コカミドプロピルベタイン,グリコシルトレハロース,ペンチレングリコール,加水分解水添デンプン,ベタイン,ソルビトール,PCA-Na,環状オリゴ糖,黒砂糖エキス,糖蜜エキス,オリーブ油,海塩,セラミド2,リン脂質,スフィンゴ脂質,ダイズステロール,水添レシチン,マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル,セリン,グリシン,グルタミン酸,アラニン,アルギニン,リシン,トレオニン,プロリン,ポリクオタニウム-51,アセチルヒアルロン酸Na,コカミドDEA,ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル,フェノキシエタノール
メーカー(ナチュラルサイエンス)ページ参照
香料成分は入っていないようです。
これであれば、顔に使っても香料の匂いを気にしなくて使えます。
パラペンフリーとなっていますが、代わりにフェノキシエタノールという殺菌剤が含まれています。
パラペンよりも殺菌効果が低いとされているものですが、配合料を多くすれば変わらなくなります。
そうはいっても1%も含まれていませんし、ほとんど水に流されるので赤ちゃんが使っても大丈夫です。
界面活性剤としては、アニオン(陰イオン)界面活性剤弱酸性で低刺激なアミノ酸系の洗浄剤として使われています。
ココイルグルタミン酸TEA,ラウロイルアスパラギン酸Na
泡立ちや洗浄力を上げるために低刺激な両性イオン界面活性剤も含まれています。
コカミドプロピルベタイン
これらはいずれも脱脂作用が少なく低刺激な上、肌のバリア成分を残しつつ、余分な皮脂を取り除いていきます。さらに保湿作用が高く、しっとりとした洗い上がりになります。
特にコカミドプロピルベタインは、低刺激で赤ちゃん用シャンプーによく使われている成分で、髪の毛に吸着して柔らかくする効果もあります。
⇒両性イオン界面活性剤とは?アミノ酸系陰イオン界面活性剤との違い
さらに増粘効果を出すノニオン(非イオン)界面活性剤のコカミドDEAが含まれています。
他にも成分の可溶化剤や浸透剤として水添レシチンやヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルが含まれていますが、これらのものはいずれも低刺激なものです。
そもそも泡のシャンプーなので、入っている界面活性剤の量も一般的な液体のシャンプー少なくなっています。
なので、かなり刺激性は軽減されたものです。
泡はこんな感じの柔らかい泡がでてきます。
最初から泡なので、優しく洗えます。
界面活性剤以外のこの商品の大きな特徴として、保湿成分が豊富です。
角質層にある保湿やバリア機能に関わる天然保湿因子成分のアミノ酸やヒト型セラミド、コレステロール、リン脂質やトリグリセリドが含まれています。
シャンプーではありますが、洗顔料に含まれている保湿性のある水溶性基材のグリセリンやブチレングリコール(BG)が多く含まれています。
保湿効果のあるトレハロース、細胞膜にあるリン脂質がつらったリピジュア、角質層の水分保持効果が期待されるマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル等多くの保湿効果が発揮されているものが配合されているので、洗った後しっとり感が持続して肌荒れを軽減させたつくりになっています。
全身シャンプーとありますが、大人の場合であれば洗浄成分もかなりマイルドなことや保湿成分もふんだんに使われていることからどちらかといえば洗顔料やボディーソープ向けの商品ではないかと。
洗髪でもマイルドに洗えますが、頭皮の皮脂が多いとベタつきが残ってしまい、洗い上がりに満足できないかもしません。
実際に使ってみた感想!
使ってみて、確かにマイルドに洗える洗顔料(シャンプー)だということを感じました。
ニキビがひどい人はちょっと洗浄力が弱いかもしれませんが、肌が弱く乾燥気味の人でも使えるものではないかと。
私は、3年ぐらいお湯だけの洗顔に取り組んでいます。
お湯だけでもある程度皮膚トラブルは落ちついていましたが、今年の夏場急に皮脂分泌が多くなってしまって、数週間フェイスラインのニキビが多くなってしまいました。
皮脂分泌が気になってきたので、このままお湯洗いを続けて様子をみようかと思いましたが、「ベビー全身シャンプーフレイチェ」使ってみるこちにしました。
ちなみにフレイチェは、シャンプーでもボディーソープにも使えるものを調べていたときにたまたま見つけたものになります。皮膚のバリア機能が比較的保持される配合だったので、洗顔にも使えるなということで選びました。
ニキビができやすい体質なのでグリセリンが多い配合ということが気になりましたが、洗い流せるタイプなので試してみることに。
ちなみに、グリセリンは微生物の餌になります。
夜だけぬるま湯でフレイチェで洗った後、化粧水も何もつけずに過ごすというやり方で使ってみました。
使ってみたところ、最初から泡なので優しく洗えましたし、つっぱることはなく何もつけなくてもしっとり潤いは残こりました。
試しに7日間使ってみたところ…
<1日目>
使ったその日の写真
使ったその日(あごの部分の拡大)
わかりにくいかもしれないですが、あごの下辺にちょっとポツポツ赤いものが目立っています。
<7日目>
7日目の写真
7日目の写真(あごの部分の拡大)
写真撮影の色味がそろっていないので完全に比較はできませんが、ボコボコした部分や赤い部分が7日目では減っているようにみえます。
わかりにくいので、あごの部分をさらに拡大。
1日目
7日目
1日目のところの「矢印部分の凹凸」が7日目で消えています。
少しずつボコボコした部分や赤みが減ってきていたので、数日間別の洗顔料を使ったテストをした後、お湯洗いに戻しました。
テストをしている間、乾燥気味になってしまったのもあります。
それからはニキビは落ち着いています。
今回、シャンプーとしては使っていませんが、顔に使った場合かなりしっとりしたので、シャンプーとして使ったらちょっとしっとりしすぎるかもしれません。
別の日に「シャンプー」として使った場合、報告しますね。
フレイチェを用途として肌の汚れや皮脂汚れの洗浄に使いましたが、石けんで落ちるタイプの化粧を落とすときに使ってもいいかもしれません。
石けんよりもかなり優しく洗い落とすことができるので。
思ったよりもマイルドに洗えて、ニキビが少しあっても対応できそうですし、肌が弱く乾燥気味の人でも使える洗顔料になりそうです。
そういうことから、ベビーシャンプーフレイチェをおすすめできるのは次のような肌タイプの人になります。
フレイチェをおすすめできる人
- 肌が乾燥気味で優しく洗いたい人
- ニキビケアで洗浄力が強い洗顔料を使ってきて肌荒れをした人
フレイチェが向かない人
- 洗浄力が皮脂分泌が多くてニキビが多い人
今回は、過剰な皮脂を落とすために使いましたが、本当のニキビケアは、皮脂の過剰分泌を減らせばかなり改善できるのではないかと思っています。
なるべく界面活性剤での洗顔を減らしていき、皮脂分泌を減らしていくよう、お湯だけでの洗顔だけの日をつくることをおすすめします。
今回使ったフレイチェはネットで簡単に購入できます!
まとめ
シャンプーと洗顔料はどちらも配合設計は似ています。
それぞれお互いに使えそうですが、成分によっては、使用感が悪かったり、肌荒れを引き起こす可能性はあります。
もしシャンプーを洗顔に使うとしたら、アミノ酸系のシャンプーであれば使えそうですが、全身シャンプーの方がトラブルが少なく無難です。
ただし、皮脂分泌が多い方にはちょっと物足りないこともあります。
皮脂分泌が多い方だけでなく、使ってみていつもの洗顔料と比べて極端に使用感や肌の調子が変わった場合は、使用を中止して、元の肌のお手入れに戻してくださいね。
シャンプーをボディーソープとして使うことができるかという記事もあります。
⇒シャンプーで体を洗っても大丈夫?
参考文献・図書
*1)非接触皮膚科学本 何もつけない美肌術
*2)化粧品成分表示のかんたん読み方手帳
*3) 「頭皮がべたつく理由:頭皮から分泌される皮脂量は額の約2倍」
ヘッドスパ専門店ベルシュヴー サイト データより
*4)どんな敏感肌でも美肌になれる! オフスキンケア