精油成分シトロネロールとは、どういう芳香化学成分?
ローズを彷彿させる甘い香りが特徴のローズに一番多く含まれる芳香成分です。
シトロネロールには、元素の数や組成は同じでも構造が異なる2つの光学異性体※というものがあって、脂肪族モノテルペンアルコールに分類されているものになります。
※もう少し光学異性体について説明すると、構成する成分(元素)は同じでも3次元的な配置が異なる分子のことです。マイナス(-、もしくはL体)、プラス(+、もしくはR体)という2つのタイプがあります。下の「★シトロネロールの性質について」の表を参照してくださいね。
構造異性体の1つ、(-:マイナス、もしくはL:エル)シトロネロールは、コウスイガヤ、別名:シトロネラグラスから採取される化粧品原料のコウスイガヤ油(エッセンシャルオイルの名称:シトロネラ・オイル)やローズ油(エッセンシャルオイルの名称:ローズ・オイル)に多く含まれいています。
構造異性体のタイプは特定されていないものの、ゼラニウムの精油であるニオイテンジクアオイ油(エッセンシャルオイルの名称:ゼラニウム・オイル)にも多い成分です。
いずれの構造にしろ、ローズの甘い香りが特徴の成分で、抗炎症作用や脂肪燃焼を促進する作用といった美容に良い効果も報告されています。
(参考文献 1,2)
シトロネロールの性質と安全性について
シトロネロールの化学的な性質や安全性について表にまとめました。
★シトロネロールの性質について
名称 | シトロネロール |
別名 | βシトロネロール、セフロール、2,3-ジヒドロゲラニオール |
英名 | Citronellol |
分子式 | C10H20O |
化学的分類 | 脂肪族モノテルペノイド |
香りの特徴 | ローズの彷彿させる甘い香り |
期待される効果・作用※ (*文献 2,3,4,5) |
作用:鎮静、抗アレルギー作用(ゼラニウム由来)、抗菌、蚊やダニの誘引、シラミの忌避作用、抗炎症効果、脂肪燃焼促進、経皮吸収促進 |
構造式 | ※注意:シトロネロールには(+)と(−)の光学異性体があります。
構造式で確認すると、(+)と(−)でOHの位置の違いがわかりやすいのではないでしょうか。 (+)-シトロネロール
(-)-シトロネロール |
安全性・毒性について(精油の安全性ガイド 第2版 (2018年)参照) | シトロネロールを体内に取り込んでも、大部分は酸化によって代謝されます。
一般的には皮膚刺激性少ないものですが、香料に敏感な人にとってはリスクがあるものとされています。EUでは、アレルゲンに指定されている26香料物質の1つに入っています。 |
その他 | ネロールまたは、ゲラニオールの水素化によって合成されます。 |
(参考文献 1,2,3,4,5)
シトロネロール含有量の多い植物について
シトロネロールが多い植物を表にまとめました。
★(-)-シトロネロールの含有量の多い植物(参考文献 3, 精油の安全性ガイド 第2版 (2018年)より)
精油名称 | 含有量 (%) |
ローズ(ジャパニーズ) | 44.5 |
ローズ(ダマスク) | 16.0-43.5 |
シトロネラ(スリランカン) | 3.0-21.8 |
ローズ・アブソリュート(プロバンス) | 8.8-12.0 |
シトロネラ(ジャワニーズ) | 9.7-11.5 |
レモンセンテッドガム | 0-5.4 |
ローズ油(ローズオイル)についての情報はこちら
★(-)か(+)か異性体が特定されていないシトロネロールの含有量の多い植物(参考文献 3, 精油の安全性ガイド 第2版 (2018年)より)
精油名称 | 含有量 (%) |
グリンデリア | 16.0〜43.5 |
ゼラニウム(モロッカン) | 18.6-37.8 |
アンジェリカルート(ヒマラヤン) | 3.0〜21.8 |
コンバーバフルーツ | 8.8〜12.0 |
シダーウッド(ポートオルフォード) | 9.7〜11.5 |
ファー(ダグラス) | 2.1 |
ニオイテンジクアオイ油(ゼラニウム・オイル)についての詳細はこちら
参考文献
1)三上杏平(2010)エッセンシャルオイル総覧改訂版 ,50,92
4)wikipedia Citronellol <https://en.wikipedia.org/wiki/Citronellol >(2019年2月17日アクセス)
5)井上 重治 (2009) サイエンスの目で見る―ハーブウォーターの世界,194
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