コカミドプロピルベタインはどんなもの?

 

コカミドプロピルベタインは、ヤシ油由来の両性イオン界面活性剤です。

洗浄作用も優しく保湿作用があることから、赤ちゃん向けのシャンプーやボディソープによく使われています。

しかも、化粧品原料としてだけではなく、洗浄剤の刺激を軽減するということから手肌をいたわる台所用の洗浄剤にも使用されています。

どういうものか見ていきましょう!

⇒参照:両性イオン界面活性剤とはどんなもの?

 

コカミドプロピルベタインの成分表示について

化粧品成分表示と薬用化粧品(医薬部外品)では表示の名称が変わってきます。

後ほど説明しますが、「コカミド」と「ヤシ油脂肪酸アミド」は同じもので表記が違うだけです。

用途別の表示は次のようになります。

用途 表示名
化粧品の成分表示 コカミドプロピルベタイン
医薬部外品原料規格表示の名称 ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液
家庭用品品質表示法における成分表示名称  コカミドプロピルベタイン

コカミドプロピルベタインの特徴

コカミドプロピルベタインの特徴は次のようになります。

成分の分類 合成界面活性剤(両性イオン界面活性剤)
用途 洗浄剤、洗浄補助剤(起泡剤)
洗浄力 ◯(マイルド)
構造 コカミドプロピルベタイン 構造図

緑色は、ヤシ油脂肪酸結合部分。ラウリン酸は脂肪酸の代表的な成分

原材料(成分の由来) 天然由来原料:ヤシ油脂肪酸

その他原料:DMAPA(ジメチルアミノプロピルアミン)+モノクロロ酢酸Na

 

コカミドプロピルベタインの性質

コカミドプロピルベタイン 泡イメージ

コカミドプロピルベタインの用途、作用について

化粧品の成分として、コカミドプロピルベタインはシャンプーやボディソープなどの身体用の洗浄剤に使われています。

リンスインシャンプーにも配合されていて、洗浄作用ともに髪の毛に吸着してしっとり柔らかく仕上げます。

マイルドな泡立ちで皮膚や目に対する刺激が少ないので、赤ちゃん向けのシャンプーやボディソープによく使われています。

水の硬度に影響されず安定的に泡立たせることができます。

また、他の界面活性剤(アニオン(陰イオン)界面活性剤、カチオン(陽イオン)界面活性剤、非イオン(ノニオン)界面活性剤)と相互作用をする性質があります。

 

⇒参照:アニオン・カチオン界面活性剤の性質について

⇒参照:ノニオン界面活性剤の性質について

 

アニオン界面活性剤は、主に洗浄目的で入れられているものです。

アニオン界面活性剤の場合では、泡立ちを良くしたり、刺激を軽減する作用があるので、アミノ酸系の界面活性剤の増泡剤やスルホン酸系の界面活性剤の刺激軽減に使われています。

化粧品以外にも台所洗剤や洗濯洗剤の増泡剤や手肌の刺激防止剤の目的で配合されています。

緩やかながら殺菌効果も持ち合わせています。

 

ベタイン系 両性イオン界面活性とは

コカミドプロピルベタインは、「ベタイン系 両性イオン界面活性剤」に分類されるものです。

 

「ベタイン系 両性イオン界面活性剤」についてどんなものか説明していきますね。

 

コカミドプロピルベタインの構造の中に、油と水にそれぞれ馴染む部分があります。

水と油を両方とも溶かし込む性質があるため、「界面活性剤」に分類される成分になります。

そして、水に馴染む「親水基」部分には、「+」プラスと「ー」マイナスの両方の静電気(電荷)を持っている原子があるので、「両性イオン界面活性剤」になります。

ちなみに、親水基部分は、ベタインと呼ばれる独特な構造があるので、ベタイン系両性界面活性剤と呼ばれているようです。

両性イオン 界面活性剤モデル

両性イオン界面活性剤の分子モデル

 

両性イオン界面活性剤は、皮膚刺激性や毒性が低いものがほとんどです。

そして、水のpHによって作用が変わる性質があります。

発泡し、洗浄成分として活用される場合もある反面、pHが変われば、リンス作用がでる性質を持ち合わせています。

さらに、他の界面活性剤を溶かし込んで相乗効果を出します。

陰イオン界面活性剤と一緒に配合した場合、刺激性を軽減させたり、泡立ちを向上する働きがあります。また、陽イオン界面活性剤の沈殿を防ぎ、溶かし込む効果があります(*2 参照文献)。

 

両性イオン界面活性剤について詳しくは下のリンクを

⇒参照:両性イオン界面活性剤とはどんなもの?

 

コカミドプロピルベタインとラウラミドプロピルベタインの関係について

コカミドプロピルベタインは、別名、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインとも呼びます。

「コカミド」というものは、ヤシ油脂肪酸アミドの英語名「コカミドCOCOAMIDE 」を略したものになります。

「ヤシ油脂肪酸」は、天然のヤシから採取されるヤシの脂肪酸で、アミドはベタインと脂肪酸を結ぶ結合(アミド結合)のことです。

 

コカミドプロピルベタイン 構造式

コカミドプロピルベタインの構造

 

ヤシ油は、単一の脂肪酸ではなく以下の表のように炭素数が違う様々な脂肪酸が混ざっています。

表. ヤシ油脂肪酸の100gあたり組成(飽和脂肪酸のみ抜粋 *1 参照文献)

種類 (g)
全脂肪酸 100
全飽和脂肪酸量 82.5
炭素8個(8:0) 6.8
炭素10個(10:0) 5.4
炭素12個(12:0) 41.8
炭素14個(14:0) 16.7
炭素16個(16:0) 8.6
炭素18個 (18:0) 2.5

 

そのため、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインは、様々な脂肪酸が混ざったままになったもので作られた界面活性剤になります。

この表の中で一番多いのは、「ラウリン酸」。

ラウラミドプロピルベタインは、表にある「ラウリン酸」だけを精製して界面活性剤の原料に使われたものになります。

どちらかといえば、化粧品原料としてはラウラミドプロピルベタインの方が洗浄力や泡立ちがよい傾向があると考えられますが、性能的にはそれほどどちらも大きく変わらないようです。

 

⇒参照:ラウラミドプロピルベタインの記事はこちら

原料について

コカミドプロピルベタインは、ヤシ油脂肪酸とてん菜などに含まれるベタインと直接反応してつくられるよりも化学合成されたDMAPA(ジメチルアミノプロピルアミン)を通して作られます(*4 参考文献)。

DMAPA自体は刺激性の強い物質ですが、最終製品ではほとんど検出されず、問題になることははないとされています(*3)。

ラウラミドプロピルベタインとほとんど、コカミドプロピルベタインと同じように作られています。

詳しくは、以下のリンクからどうぞ

⇒参照:ラウラミドプロピルベタインの記事はこちら

 

 

コカミドプロピルベタインの安全性について

安全性 イメージ図

コカミド〇〇というのは、コカミドDEAが2011年に国際連合の機関で発がん性物質に指定されてから気にされる方が多いようですね。

こちらについては、コカミドDEAとは作り方も違いますし、共通なのは「ヤシ油脂肪酸」を使った界面活性剤だということ。

ヤシ油脂肪酸自体安全なものになりますし、コカミドプロピルベタイン自体発ガン性物質として指定されているものではありません。

 

しかも皮膚や目の刺激、感作性(アレルギー性)については、ほとんど起きず、比較的安全性が高いものであるとされています。

ただ、洗剤やシャンプーを職業柄接触する頻度が高い人やもともとアレルギーがある人は、アレルギー症状が出ることがまれに出てくることがあります。

もし使用して異常が見つかった場合は、使用を中止してくださいね。

 

安全性に関する参照データ

発がん性

米国国家毒性ブログラム(略称:NTP)や国際がん研究機関(略称:IARC)において、発がん性物質のリストには含まれていません(2018年12月現在)。

 

感作性・アレルギー性接触皮膚炎

感作性について2012年の論文ではコカミドプロピルベタイン関連のアレルギー反応があったものの、そのほとんどは日常的にヘアケア商品を触る職業性だったという報告例があります。

報告例では、2002年〜2009年までに職業衛生研究所で1092人の患者にパッチテストをしたところ、1.5%(15人)にコカミドプロピルベタインの関連のアレルギー反応がみつかったそうです。

さらにその中の10人は、職業性アレルギー性接触皮膚炎と診断され、発生源は、ヘアケア製品、ヘアカラー、パーマネント、液体石鹸ではないかという報告があります(*4 参照文献)。

 

結論としては、以下の引用のようにアレルギー性接触皮膚炎はめったに起こらないものとされています。

Patch test reactions to cocamidopropyl betaine-related compounds are difficult to interpret, owing to extremely common irritant reactions. Cocamidopropyl betaine itself is probably not an allergen. Occupational allergic contact dermatitis caused by cocamidopropyl betaine-related compounds is relatively rare and, unlike non-occupational cocamidopropyl betaine-related allergy, typically manifests as hand dermatitis.

コカミドプロピルベタイン関連化合物に対するパッチテスト反応は、ごく一般的な刺激反応のために判断が困難である。コカミドプロピルベタイン自体はおそらくアレルゲンでないようだ。コカミドプロピルベタイン関連化合物によって引き起こされる職業性アレルギー性接触皮膚炎は比較的めったに起こらず、非職業性コカミドプロピルベタイン関連アレルギーとは異なり、典型的には手の皮膚炎として現れる。

出典:Contact Dermatitis. 2012 May;66(5):286-92.(*4 参照文献)

 

安全性まとめ

安全性(上記文献より) ◎ (比較的安全性が高い)
化粧品判定辞典での判定  ☓☓(注意がいる)

 自分で調べて採点できる化粧品毒性判定事典 より(*3 参照文献)
:皮膚によくない度合い(☓が多いと良くない成分)
参照資料によると、界面活性剤はタンパク質変性や皮膚の脂質成分を溶かすなどバリア機能を破壊する可能性があるという観点から点数は悪くなっています。
実際には、両性イオン界面活性剤はタンパク質変性や皮膚のバリア機能は破壊しにくく、安全性は高いものとなっています。

 

 

コカミドプロピルベタインが含まれている製品について

トイレタリー商品 コカミドプロピルベタインが入っているサンプル商品例

赤ちゃん用ベビーソープ

赤ちゃんに優しい無添加ベビーソープ《Dolci Bolle》

 

*1) Basic Report:  04047, Oil, coconut, United States Department of Agriculture  Agricultural Research Service
National Nutrient Database for Standard Reference Legacy Release
<https://ndb.nal.usda.gov/ndb/foods/show/04047?man=&lfacet=&count=&max=25&qlookup=Oil%2C+coconut&offset=&sort=default&format=Full&reportfmt=other&rptfrm=&ndbno=&nutrient1=&nutrient2=&nutrient3=&subset=&totCount =&measureby=&Qv=1&Q323911=1&Q323912=1&Q323913=1&Qv=100&Q323911=1&Q323912=1&Q323913=1>
(2018年12月28日 アクセス)

*2 新 化粧品ハンドブック(2007)日光ケミカルズP213-p214

*3) Burnett CL1, Bergfeld WF, Belsito DV, Hill RA, Klaassen CD, Liebler D, Marks JG Jr, Shank RC, Slaga TJ, Snyder PW, Andersen FA.(2012)Final report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the safety assessment of cocamidopropyl betaine (CAPB).Int J Toxicol. 2012 Jul-Aug;31(4 Suppl):77S-111S.

*4) Suuronen K1, Pesonen M, Aalto-Korte K.2012
Occupational contact allergy to cocamidopropyl betaine and its impurities. Contact Dermatitis. ;66(5):286-92.<https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22364510>(2018年12月28日)

*5) 自分で調べて採点できる化粧品毒性判定事典

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