ローズマリー葉油とはどういった特徴のある成分?
ローズマリーは、もともとは地中海に自生している植物でしたが、肉や魚の臭い消しのハーブとして、国内でも料理や庭先でお見かけするようになりましたよね。
西洋では、料理以外にも、虫よけや美容目的で顔を美しく清潔にする化粧水の成分として古くから使われたようです。
ローズマリーを扱った化粧品原料としては、水を加えたBG(1,3-ブチレングリコール)やエタノールで抽出したエキスの他にアロマテラピーでよく使われている精油(エッセンシャルオイル)成分もあります。
今回は、精油成分である「ローズマリー葉油」を取り上げてみました。
どんな特徴があるか見ていきましょう!
★ 使用用途別の表示
用途 | 表示名 |
化粧品の成分表示 | ローズマリー葉油 |
医薬部外品(薬用化粧品)の成分表示 | |
INCI名(化粧品の国際名称、英語表記) | Rosemarinus Officinalis(ROSEMARY)LEAF Extract |
★化粧品原材料のまとめ(分類、用途、主要な成分の構造と由来)
成分の分類 |
香料(植物精油、エッセンシャルオイル) |
化粧品での配合目的・用途 (米国パーソナルケア製品協議会で名称登録時の用途) |
香料、皮膚コンディショニング剤(未分類) |
香りの特徴 | 森林のようなスッキリとした香り |
期待される効果・作用※(*文献) | 自律神経調節作用、集中力を高める作用、血行改善、生理不順、抗菌作用、抗ウィスル作用、防虫作用、ニキビ予防、フケ予防、脱毛、育毛作用など |
構造
|
香料の主要な成分:α-ピネン
出典:ウィキペディア ピネンより |
主産地 |
スペイン、モロッコ、チュニジア、トルコ、フランス |
成分の由来原料(基原) | シソ科ローズマリー(別名:マンネンロウ学名:)葉や茎を水蒸気で蒸留して抽出 |
※文献を参照していますが、医薬品のように症状の改善が確実に保証されたものではないです。参照程度に留めておいてくださいね。
(参照文献 ,2,3,4 )
原料の由来と製法について
原料のローズマリーとはどんなもの?
ローズマリーは地中海に自生していたシソ科の植物で、現在では世界各国で栽培されるようになりました。
換気や乾燥にも比較的強く、挿し木でも増えるため、日本国内でも庭木としてあちこちで栽培されています。
和名では「マンネンロウ」と呼ぶそうですが、むしろローズマリーという名称の方が浸透していますよね。
ちなみに化粧品配合成分において、エタノールで抽出した成分はエキスになりますが、アロマテラピーでいうところのエッセンシャルオイル(精油成分)は、「〇〇油」という表記となります。
そのため、ローズマリー由来の精油成分は「ローズマリー葉油」と記載されています。
「ローズマリーの葉油」ということのなので、単純に葉だけを抽出したものかと思うかもしれませんが、葉の他に茎も精油材料に含まれています。
ちょっとわかりにくいですよね。
ローズマリー葉油の製法について
ローズマリー葉油は水蒸気蒸留法と呼ばれる方法で抽出され、水性成分を取り除いた芳香のある油性成分を回収したものになります。
もう少し方法を具体的いうと次のようになります。採種されたローズマリーの葉付きの茎を蒸留窯にて水蒸気を送り込み、圧力や熱で植物の細胞壁が破壊され、水分とともに油性成分が気化します。
気化した成分は、冷却されて液体に戻りますが、油性成分は水性成分と混ざらず比重が軽いため、回収容器の上部に貯まります。
この上部の油性成分から水分取り除いたものが精油になります。
ローズマリーの精油の成分について
天然植物由来の精油やエキス原料は、回収時期の気候や産地の土壌などの周囲の環境によって含まれる芳香成分の割合が変動する性質があります。
ローズマリーは、特に成分変動が大きい植物とされています。
同じローズマリーの品種でも芳香がかなり違ってくるので、同じ植物由来のものでもさらに含有している化学成分によって分類されます。
成分内容で分けた種類のことを「ケモタイプ(Chemotype、略 CT)」といい、日本語では化学種とも呼ばれています。
通常は、際立って多い主要な化学成分で分類され、その化学成分の名称がつけられてます。
ただし、このケモタイプによる分類は、アロマテラピーで使う精油(エッセンシャルオイル)においては一般的なようですが、化粧品ではケモタイプの表示義務はありませんし、細かく分類はされていないようです。
化粧品成分として配合される場合には、「ローズマリー葉油」もしくは、「香料」とだけの記載になります。
ちなみにローズマリー葉油成分は代表的な成分は次のようになります。
★ローズマリー(α-ピネンCT)の代表的な成分と含有量
- α-ピネン 191.1-35.8%
- 1,8-シネオール 15.0-25.1%
- カンファー 6.6-20.7%
- カンフェン 7.0-10.0%
- β-ピネン 3.0-7.7%
- β-ミルセン 1.1-6.0%
- ベルベノン 0.5-6.0%
- d-リモネン 2.9-5.0%
- α-テルビオネール+ボルネオール 2.0-5.0%
- β-カルオフィレン 1.8-4.3%
- 酢酸ボルニル 0.4-4.2
- p-シメン 0.4-2.4%
- テルビネン-4-オール 0.7-2.0%
- リナロール 0.5-2.0%
(参考文献 5. 1995年 Lawrenceらのデータ, 精油の安全性ガイド 第2版参精油のプロフィール P701 ローズマリー参照 )
参考文献
*1) 日本化粧品工業連合会 編集 (2013年) 日本化粧品成分表示名称事典、付録5、p616-p751
*2)ウィキペディア ピネン (pinene)<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%8D%E3%83%B3> (2019年2月8日アクセス)
*3)三上 杏平 (2008年) エッセンシャルオイルの作用と安全性を図解
*4)和田 文緒 (2008) アロマテラピーの教科書―いちばん詳しくて、わかりやすい!
*5)岸田 聡子 林 真一郎 (監修), Robert Tisserand (原著), Rodney Young (原著), 池田 朗子 (翻訳), 八木 知美 (翻訳), (2018年) 精油の安全性ガイド 第2版 ,
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