化粧品原料のラムノースとはどんなもの?
化粧品原料の「ラムノース」って聞いたことがありますか?
単語の響きからして、何となくどんなものか想像はつきましたが、化粧品原料を取り扱うまでは全く知りませんでした。
ラムノースは天然に存在する「糖」の1種です。
「糖」とは、いわゆる「炭水化物」の成分のことで、最小単位は1分子の「単糖」から構成されます。
「単糖」は、単体で存在していることもありますが、何個か組み合わさって構成されています。「二糖類」⇒「オリゴ糖(少糖類)」⇒「多糖類(炭水化物)」となっていきます。
「糖」の種類や組み合わせによって、様々な種類「糖」になります。
単糖類や二糖類の「グルコース」、「スクロース」、「トレハロース」といったものは、化粧品の保湿成分として様々な化粧品に配合されていますが、今回の「ラムノース」は別の用途で使われています。
しかも、「ラムノース」だけではなく、「グルクロン酸」、「グルコース」といった糖類と多糖体をつくってお肌を保護する効果があるようです。
実際どんなものか見ていきましょう!
★ 使用用途別の表示
用途 |
表示名 |
化粧品の成分表示 |
ラムノース
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医薬部外品(薬用化粧品)の成分表示 |
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INCI名(国際名称、英語表記) |
Rhamnose |
★ラムノースの成分の特徴まとめ
成分の分類 |
糖 |
作用・効果 |
単糖の場合と多糖体の作用は違います。
・ラムノース単糖:香味剤、香料
・ラムノース、グルコース、グルクロン酸等を 含む多糖体 :肌荒れ、消臭、消炎効果 |
構造
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原料 |
植物由来の糖成分を発酵 |
ラムノースの成分の特徴・作用とは?
ラムロースの由来原料について
ラムノースとは、生物の遺伝情報となるDNAを構成する「デオキシリボース」と同じ「デオキシ糖」に分類される「糖」の一種で、自然界では、植物や紅藻類の細胞壁や微生物が分泌する多糖液成分に含まれているものです。
化粧品原料としては、天然の糖を原料として、糖微生物の発酵技術によって作られています。
ラムロースの成分の作用について
ラムロース単体は香料や香味原料といって、歯磨き粉や洗顔料が口に入ったときの不快感を軽減するために配合されています。
ところが、ラムノースは、様々な糖と多糖体を作ると別の作用や効果を出すようです。
例えば、TefloseRというSolabia社のラムノースの多糖体原料は、肌にとって良くない外来の菌の付着や増殖を抑え、常在菌のバランス低下による炎症反応を調節する作用があります。
菌の付着を寄せ付けないところが、衣類やフライパンなどの表面をコーティングしているTefloneR(テフロン)に似ているのでTefloseRと呼ばれています。
(*1 参考文献)
ラムノース多糖体原料TefloseRとはどんなもの?
「ラムノース」、「グルクロン酸」、「グルコース」という単糖の成分が連なって、枝分かれしている構造がある多糖体になります※。
※溶液の安定化や防腐作用がある「プロパンジオール」も配合されています。
製品原料中「ラムノース」の割合が6割と高いのが特徴です。
そもそもこのTefloseRという「多糖体」はどういうものかというと、元々は、細菌類が物質表面や肌への吸着するための分泌液の成分になります。
乾燥や外来の細菌類やウィルス(ファージ)からの攻撃、毒性物質からの保護したり、細菌どおしの細胞認識にも関与しています。
さらに、このラムノースの多糖類自体、外来の微生物によって簡単に分解されにくいという特徴もあります。
吸着作用と外来物質からの保護を化粧品に応用したもので、肌への刺激が少なく、安全性の高い天然の糖の成分であることや数日程度経てばそれ自身も微生物によって分解されるということから、微生物のバランスを考えた商品に配合されるようになってきました。
(*1,2 参考文献)
ラムノースの使用用途
単体のラムノースは、香味剤として洗顔料などに使われています。
多糖体原料は、ニキビ、アトピー、脂漏性皮膚炎など、菌のバランスが崩れやすいお肌向けの商品に配合されています。
人の肌に悪影響を及ぼしにくく安全性が高いことから、シャンプー、洗顔料、ボディーソープなど洗い流すヘアケア、ボディケア商品だけではなく、化粧水にも使われています。
化粧品原料のTefloseR中に含まれる多糖体の濃度は1%で、化粧品にはTefloseR原料を1〜4%配合されるのが推奨されています。
(*1 ,2 参考文献)
ラムノース多糖体(TefloseR)が配合されている商品
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安全性について
ラムノースは糖の一種で、甘味料として食品 添加物に使われている程、毒性が低く安全性の高いものになります。
ラムノース多糖体(TefloseR)においても、皮膚の刺激性やアレルギー性(感作性)は低くく、安心して使える原料成分です。
日光ケミカルズのSDSを参照にすると、化粧品原料そのものでも皮膚の刺激性やアレルギー性がないことが動物実験において確認されているものになります。
ところが、化粧品原料の原液を使った動物実験のデータにて、目に対する僅かな刺激があることが報告されています。
これは、ラムノース多糖体が刺激物になったというよりも、原料に50%含まれているプロパンジオールの影響が大きのではないかと。
希釈した場合、目に対する刺激についてもほとんど問題がないかと思われます。
化粧品原料は、安全性が高いものでも組み合わせや肌の状態によって、変わってくる場合があります。
お肌の状態や使っていて何か問題があったときには、使用を控えてくださいね。
(*1 参照文献)
参照文献
1. 日光ケミカルズ TEFLOSE プロパンジオール,水,ラムノース,グルコース,グルクロン酸
<https://www.chemical-navi.com/product_search/detail649.html>(2019年1月8日アクセス)
2. solaria 社 teflose原料
<http://www.solabia.com/Produto_16,1/Cosmetique/Teflose.html>(2019年1月8日アクセス)
3.福田健次,浦島匡 (2010) 乳業用乳酸菌の生産する細胞外多糖,乳業技術, 60, p74