コカミドDEAヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドとはどんなもの?

コカミドDEA原料のイメージ図

名称、原料の由来、構造について

コカミドDEAは、脂肪酸系の非イオン(ノニオン)界面活性剤です。

⇒非イオン界面活性剤とは何?

化粧品成分の名称は、コカミドDEAですが、医薬部外品表示名称では、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドとなります。

また、家庭用の洗剤の名称(家庭用品品質表示法における成分表示)となるとヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドになります。

コカミドDEAは、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミン(DEA)を反応させて作られます。

原料のヤシ油脂肪酸はその名の通り、ヤシ油(ココヤシ)由来の脂肪酸になります。

 

天然のヤシ油から採取されたものなので、様々な種類の脂肪酸が混ざっています。

主な種類としては、ラウリン酸(約40%)、ミリスチン酸(約20%)、パルミチン酸(約9%)

になります。

※( )は、ヤシ油に含まれている脂肪酸の割合です。

 

 

構造式は、次のようになります。

 

★構造式

コカミドDEA構造式 

コカミドDEA 構造式(*1 文献参照

 

図のRCO部分に先程のラウリン酸などのヤシ油由来の脂肪酸が結合しています。

コカミドというのは、「ヤシ油脂肪酸アミド」の英語名ココアミドCOCOAMIDE を略したものです。

ヤシ油脂肪酸とDEAが「アミド」結合を介して結合しているので、コカミドDEAとなるわけですね。

ちなみに、赤ちゃん用のシャンプーなどに含まれているコカミドベタイン(両性イオン界面活性剤)やコカミドMEA(非イオン界面活性剤)についているコカミドも同様な意味で、ヤシ油脂肪酸から作られたものになります。

⇒両性イオン界面活性剤とは

性質について

コカミドDEA自体には、洗浄力はほとんどありませんが、シャンプーやボデイソープ、さらには家庭用の洗剤の泡立ちや洗浄力を向上させたり、溶液のとろみ(増粘)をつけるための補助剤として使われる成分になります。

生分解性がよく、低刺激な界面活性剤で、同時に配合した他の界面活性剤の刺激も緩和させる性質もあります。特に陰イオン(アニオン)界面活性剤の作用をマイルドにする性質があるので、例えばラウレス硫酸Naなどの刺激があるシャンプーにも使われています。

また、ヤシ油という植物油脂由来の界面活性剤ということもあって、天然由来成分を配合したアミノ酸系のシャンプーやボディソープなどにも使われています。

 

コカミドDEAの安全性について

コカミドDEA入りのシャンプーのイメージ図

コカミドDEAの発がん性は大丈夫?

コカミドDEAが発がん性があるといわれるのは、なぜ?

このコカミドDEA、「発がん性」がある界面活性剤としてネットや書籍などで取り上げられているようです。

 

その発端は、2001年 アメリカ合衆国保健福祉省が中心となった毒性の研究調査を行う米国国家毒性ブログラム(略称:NTP)での報告です。

マウスの皮膚にコカミドDEAを塗布したところ、肝臓と腎細尿管に腫瘍の頻度が増加したというもの。

 

この研究結果をふまえて、2011年に世界保険機関(WHO)の外部組織の国際がん研究機関(略称:IARC)で、ヒトにおいても「発がん性の恐れがある物質(グループ2B)」としてリストに分類されました。

さらに、2012年にはアメリカのカルフォルニア州法のプロポジション65という発がん性物質などの有害物質から保護する法律の対象薬品として指定されてしまい、表示義務が必要な原料となりました。

 

発がん性って心配になってくるかもしれませんが、実際のところヒトの腫瘍は確認されていません(2018年12月現在)。

 

また、NTPがおこなったラットの試験では、腫瘍の増加が明確ではないという結果が得られています。

 

 

そもそも最初のマウスの発がん性の確認試験では、普段日常的にヒトが使っている製品ではなく、濃縮物のうえに、皮膚に浸透しやすいようにエタノールで溶かして試験を行っています※

(※2年間、1週間のうち5日間 コカミドDEA濃縮物を皮膚に浸透しやすいエタノールで溶解したものを塗布しています)

 

しかも、IARCリストは「科学的に確からしい」といった観点で掲載されているので、実際の発がん性の強度とは関係ないものです。

リストの中には熱いお茶や日焼けのような日常にあり得ることも含まれていますし、リストの2Bには、キムチやアジア漬物も入っています。

 

コカミドDEAは使っても洗い流して使うものがほとんどですし、コカミドDEA自体が問題ではないとされています(*3, 4, 5 文献参照)。

では、なぜ、がんが起きてしまったのでしょうか?

がんが発生した理由、メカニズムについて

IARCが出版した書籍(*6 文献参照)の中で、「コカミドDEA自体ではなく、コカミドDEAを製造する段階で含まれている不純物が”がん”を引き起こしたのではないか」という記載がありました

その問題となっている不純物は、コカミドDEAを作るときの「DEA(ジエタノールアミン)」。

 

DEAは、窒素酸化物を含むものと接触するとN−ニトロソジエタノールアミンという高い発がん性が疑われる物質に変わることが知られているものです。しかもDEAだけをマウスに投与しても、がんの頻度が上昇した結果も得られています。

NTPのマウスの試験で使用したコカミドDEAに不純物として含まれていたDEAが18.2%と、かなり高い割合で含まれていたそうです。

 

ちなみに現在市場に流通しているものは、かなりDEAは精製しているので発がんの心配はほとんど無いものとなっています。

しかも、精製されたコカミドDEAは、かなり安定な物質です。

仮に体内に取り込んだとしてもココナッツ由来の脂肪酸とくっついたままの状態で、ほとんど尿として排出されます。

ほんの少し、ヤシ油脂肪酸部分(主にラウリン酸)のところだけ分解されることはありますが、DEAが分離することありません。

それは、脂肪酸とDEAが結合している「アミド結合」が強固だからです。(*6 文献参照)。

 

コカミドDEA 構造式 アミド結合部分 強調図

コカミドDEA 構造式(*1 文献参照

 

ごく普通に化粧品で使っている限りでしたら、接触する量も微量ですし、化粧品としても使っても問題ないのではないでしょうか。

コカミドDEAってアレルギーは大丈夫?

アレルギーについては、起こりにくいものとされています。

ただし、仕事で頻繁に洗剤やシャンプーなどに触れる機会があったり、もともとアレルギー体質の場合は、接触した際に感作(アレルギーの反応)するという報告がありました。

「コカミドDEAが2%入ったシャンプーを104人の女性にパッチテストを行ったところ、感作性(アレルギーの反応)はみられなかった」という調査結果(*文献 7)があった反面、「コカミドDEAの使用を調査した皮膚科で診察を受けている1767人にパッチテストを行った結果、1%(18人)に感作性がみられ、そのうち12人には職業的に接触し、7人にはアトピーが見られた。」という内容のものがありました(*8 文献参照)。

というように、肌のバリア機能が低下した際に稀に起こるようです。

必要以上に恐れるものではないかと思います。肌のバリア機能が低下した際、めったにアレルギーが起きない原料でも感作することがありますよね。化粧品の裏面にも記載してあるように、お肌になんらか異常があったときに化粧品を避けて使っていけばいいのではないでしょうか。

 

コカミドDEA関連の商品について

コカミドDEA入りのシャンプー陳列のイメージ図

性質のところでお伝えしましたが、コカミドDEAは低刺激で天然由来成分のということから、アミノ酸系のシャンプーの増泡剤よく使われています。

ヒトでの明確な発がん性がないのにもかかわらず、イメージ的によくないことから無配合を謳ったシャンプーもあります。

配合されていてもわずか数%程度しかないので、それほど神経質になる必要はないかと思います。

コカミドDEAを配合しているシャンプー

【抜け毛】【白髪】【育毛】のケアがこれ1本 ハルシャンプー

コカミドDEAが配合されていないシャンプー

オーガニックシャンプー、トリートメント .N

参考文献

1)  コカミドDEA 川研ファインケミカル アミゾール CDE-G

*2)アメリカ国立衛生研究所(NIH) TOXiCOLOGY DATA NETWORK CCRIS: COCONUT DIETHANOLAMIDE CASRN: 68603-42-9
<https://toxnet.nlm.nih.gov/cgi-bin/sis/search2/r?dbs+ccris:@term+@rn+68603-42-9>

(2018年12月11月アクセス)

*3) 日本医薬品添加剤協会 ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド
<http://www.jpec.gr.jp/detail=normal&date=safetydata/ya/daya2.html>
(2018年12月11月アクセス)

*4) NITE 化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
ココナッツオイル ジエタノールアミン濃縮物
CAS番号:68603-42-9
<http://www.safe.nite.go.jp/ghs/15-mhlw-0065.html>(2018年12月11月アクセス)

 

*5)  久光 一誠 (2017)化粧品成分表示のかんたん読み方手帳

*6) Allergic contact dermatitis caused by cocamide diethanolamine, Some Chemicals Present in Industrial and Consumer Products, Food and Drinking-Water(2013).IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans, No. 101.
IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risk to Humans.
Lyon (FR): International Agency for Research on Cancer.

*7)  Cosmetic Ingredient Review Expert Panel; Final Report on the Safety Assessment of Cocamide DEA, Lauramide DEA, Linoleanmide DEA, and Oleamide DEA; Journal of American College of Toxicology 5 (5): 415-54 (1986)

*8)  Mertens S, Gilissen L, Goossens A.(2006) Allergic contact dermatitis caused by cocamide diethanolamine Contact Dermatitis.;75(1):20-4.
<https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27144883>(2018年12月11月アクセス)

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