白髪を予防・減らすのはどうしたらいいの?
髪の毛に色素をつけるメラノサイトとは…
髪の色素を作る細胞のメラノサイトは、毛を作る組織(毛包)にある”毛母”という髪の毛(毛幹)を作る細胞が集まった部分に存在します。
メラノサイトはメラニン色素を作り出すと、毛母細胞に受け渡し、新たに作られる毛とともに排出されていきます。
(ただし、メラノサイトの元になる色素性幹細胞は、外毛根鞘から膨らんだバルジ付近に存在するとされています。毛が生える時期になると(毛周期でいうところの成長期)、バルジから毛母に移行します。*参考文献1)
図 毛の組織 (毛包組織)
髪の毛が作られるためには毛母細胞の下にある毛乳頭との相互作用が欠かせません。
毛乳頭は毛母細胞にアミノ酸等の栄養分を与える他、髪の毛を作り出す司令を与える成長因子などを送ります。
ちなみに、メラノサイトがメラニン色素を作る時にチロシナーゼという酵素が必要です。
このチロシナーゼによって、アミノ酸の一種であるチロシンが酸化されて、メラニンに変わっていきます。
ところが…この酵素は40才あたりから減少傾向に。
そのため、40代以降から一気に白髪が目立ち始めていきます。
そうはいってもなんとか白髪を防止したい…
頭皮環境を良くする湯シャンは効果はあるかもしれないかもしれないけど、他には..
ということで、白髪防止に効果が期待されるものを幾つかご紹介したいと思います。
白髪防止になりうるもの
1)栄養を十分に摂取する
メラニンの原料はアミノ酸であるチロシン。
チロシンは、フェニルアラニンから合成されます。
フェニルアラニンは必須アミノ酸で、食べ物から摂取しなければなりません(参考サイト1)。
ビタミンB12と葉酸、銅などはメラノサイトの機能を活発にさせる働きが知られています。
栄養が不足すると…メラニン供給が上手く起こりにくくなるのもわかりますね。
(ちなみに、ビタミンB12欠乏症の悪性貧血では、若白髪の原因の一つとされています。)
栄養素についてですが、フェニルアラニンが多い食物としては、肉や魚、卵等の動物性タンパク質が多い食品の他に、ナッツ類、大豆、かぼちゃ、じゃがいもがあります(参考サイト2)。
ちなみに、他の栄養素は、
ビタミンB12は、魚介類等に
葉酸は、海藻やお茶、大豆に
銅は、牡蠣や肉類に多く含まれています。
なかなかバランス良く栄養分が取れなくい場合は、ビタミンサプリメントも補助的に活用してみてもいいかもしれませんね。
ビタミンサプリメント(葉酸+ビタミン6、ビタミン12)
なお、葉酸の一日の推奨摂取量240 μgになります。
妊婦さんの場合であれば、400 μg〜600 μgです。
基本的には葉酸は水溶性ビタミンなので、尿によって体外から排出されます。
ですが、あまり過剰摂取(1000 μg以上)しすぎると不眠症などの副作用があるので、摂取量を守ってくださいね。
2)喫煙・過度な飲酒を控える
喫煙をすると、毛細血管が収縮してしまい、毛乳頭に栄養分が行き届きにくくなります。
また、喫煙で活性酸素が発生してしまい、大量のビタミンCも必要になります。
(後述にでてきますが、活性酸素は、髪の毛のメラノサイトに悪影響があります。)
過度な飲酒はビタミンC、ビオチン等のビタミンを消費してしまいますし、肝臓の代謝機能が衰えて、血液循環が悪化してしまいます。
お酒はストレスの発散にはいいかもしれませんが…程々にしてくださいね。
3)過度な紫外線を避ける
前回の記事で少しご紹介しましたが、皮膚にある皮脂成分は、酸化されて過酸化脂質になります。
この過酸化脂質はメラニンと結合すると、メラニンの移動が抑えられてしまい、白色化が進行しやすくなる可能性があるとも言われています(確実な文献は見つかっていないですが…)。
また、紫外線は活性酸素を発生させ、皮膚内部にて過酸化水素が作られると、メラノサイトを傷つけるとともに、髪の毛の毛幹部に色素を届けにくくさせます。
(過酸化水素自体にブリーチの効果があるので、メラニン色素が酸化してしまい、脱色の効果があります。)
紫外線は悪者にされがちですが、通常簡単な日光に当たるぐらいは大丈夫です。
むしろ、ある程度の紫外線はビタミンD合成で役立つぐらいなので、ご安心下さい。
夏場に何時間も紫外線に当たる場面がある場合や、海辺で紫外線がキツイ場所に行くときには、帽子や日よけを使うなど紫外線対策をしてくださいね。
十分な睡眠時間を取ることは体にとって必要ですし、もちろん老化を抑えるためにも重要です。
睡眠を取っている間には、成長ホルモンが分泌し、お肌などの新陳代謝が活発になります。
睡眠不足だからすぐに白髪になる…というわけではありませんが、髪の毛も肌の器官から形成されるものなので、なるべく代謝がいい状態を保持するためにも睡眠を十分確保した方がもちろんいいです。
ストレスについては、白髪との直接の因果関係は報告されていないようですが….
しかしながら、ストレスが溜まると睡眠不足になったり、自律神経の乱れがあったり…と通常とは体が機能的に良くない方向に向かいます。
ストレスがたまったままでは、代謝状態が悪く、もちろん頭皮にも栄養が行き届きにくなるので、きれいな髪の毛の色を保つのにはあまりいい状態とは言えなくなります。
今回、栄養分を取るところで幾つかご紹介しましたが、化粧品成分の中には白髪を防止する成分があります。
(ここからは、化粧品の成分の話になります。何が何でも化粧品は使いたくない。お湯洗いじゃないとダメという方は、参考程度に読んで下さいね。)
化粧品原料の中には白髪になりにくい髪にする成分もあります。
その中で、よく使われているものはヘマチンというものです。
ヘマチンは、血液の赤血球にあるヘモグロビンを構成しているものになります。
ヘモグロビンを電気的に分解して、タンパク質部分である”グロビン”を除去し、鉄を含んだ化合物の”ヘマチン”だけにしたものです。
ヘマチンは、ヘモグロビンとよく似た髪の毛の構成成分であるケラチンと強固に結びつく性質があります。
そして、ケラチン同士をまとめる性質をもつため、ダメージヘアーを補修する成分として配合されています。
その他に、白髪が気になる方にとってうれしい機能があります。
それは、元々ヘマチンはヘモグロビンを構成する成分なので、酸素を取り込みやすい性質があり、髪の毛の色素を作り出すメラノサイトを傷つける活性酸素を除去します。
さらに、活性酸素が除去されやすいということは、メラノサイトと結合する過酸化脂質を抑制されます。
過酸化脂質はメラノサイトの移動を阻害し、毛髪への色素の受け渡しを阻害するのではないかと考えられいるものになります(正確な文献があればよかったのですが…)。
これらの要因から、ヘマチンは白髪の進行をおだやかにするのではないかと考えられている物質になります。
また、ヘマチンはUV自体を吸収する作用もあるので、UVが照射されてできる活性酸素の発生や過酸化脂質の抑制します。
その他の機能も合わせてまとめるとこんなメリットがあります。
・ダメージ補修性能
・活性酸素除去機能、抗酸化作用
・UV防止機能
・髪の毛の色を保持する機能(白髪になりにくくする)
・アルカリ製剤などの薬剤除去
・カラーリング保持機能
・脱臭、抗菌作用
ヘマチン自体、そもそも生体内に含まれていた成分なので、毒性が極めて低いのもいいところです。
ヘマチンは、元々、美容院でのカラーリング後に使われていた成分になります。
カラー剤の酸化出来ていない分子通しを結合させて分子量が大きくし、退色防止に使われていました。
今では、ヘアカラーが気になる方(カラーの退色防止の他に、白髪が気になる方も含めて)用のシャンプーに配合されるようになっています。
ちなみに、こちらのシャンプーは今回ご紹介したヘマチン配合のシャンプーとなっています。
haru黒髪スカルプ・プロ
シャンプーの成分ですが、洗浄作用はなくても頭皮に吸着したままになりやすい陽イオン系の界面活性剤を非配合となっているなど、頭皮環境を考えた商品です。
今後、こちらの商品の具体的な成分説明と使用感をお伝えできればと思います。
ポチッ”とご協力していただけたら嬉しいです。
参考文献
(参考文献1) 毛の悩みに応える皮膚科診療
(参考サイト1)チロシン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%83%B3
(参考サイト2)フェニルアラニンの効果や多く含む食品って?フェニルアラニン摂取にオススメのサプリ
https://www.midorimushi-shop.jp/euglenalab/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%8B%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E3%82%84%E5%A4%9A%E3%81%8F%E5%90%AB%E3%82%80%E9%A3%9F%E5%93%81%E3%81%A3%E3%81%A6%EF%BC%9F%E3%83%95/
(参考サイト3)ビタミンが多い食べ物・食品ランキング 健康日本堂コラム
https://k-nihondo.jp/gold/column/%E6%88%90%E5%88%86/%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0/
(文献2)
Exp Gerontol. 2001 Jan;36(1):29-54.
Tobin DJ1, Paus R.