白髪はストレスで増えるって、よく聞きますが…
前回の40代から進行する白髪に関しての記事にて少し書きましたが、ストレスや自律神経の乱れ、血行不良になると白髪が進行しやすくなる…と言われているようです。
他のサイトでも調べてみてもストレスと白髪には同様なことが…
ストレスが溜まっていると起こるのは自律神経の乱れです。すると血行が悪くなってしまうため、頭皮から髪の毛へ充分に栄養が送られなくなります。特に不足しがちなのはミネラルです。ミネラルが足りないと、メラニン色素を合成する酵素が働いてくれないため、やはり白髪の原因となるわけです。
さらに、神経系の働きが鈍くなるということは、代謝の悪化や免疫力の低下にもつながります。頭皮が健康な状態に保たれなくなれば、髪の毛にも悪い影響が出ます。
スキンケア大学 ストレスが原因で白髪が生える理由と対処法について
とはいえ、
ストレス⇒自律神経の乱れ⇒血行不良⇒白髪
という流れで、ストレス⇒白髪と直接的な原因とは一般的(科学的)には考えられていないようです。
サイトでは原因があるかのような記載がされていますが、明らかな因果関係があるようなものではないようです。
(上記のサイトは、医師監修とあるのですが…)
また、こめかみ付近の白髪もこめかみ部分にストレスがたまりやすいから、白髪になりやすいとのこと…。
若干古めですが、医師や研究者等が記述した学術研究結果を元にした書籍を参考にすると、
白髪化についても、同様に遺伝的要因が第一であるとみられ、白髪はほとんど進行性であり、かえってストレスで白髪化が進むという証拠は困難とみられる。白髪も男性型脱毛症も中年以降で増加し、一方、この年代は社会的立場から精神的、肉体的ストレスがきわめて多い状況であり、白髪と禿げることがストレスにされやすいとみられる。
(文献1)毛の悩みに応える皮膚科診療 P38
と記載されており、ストレスとの因果関係を証明する..というのはなかなか難しいとのこと。
ストレスで明らかに白髪が増えるというものではないのでしょうか。
このことから、ストレスから白髪になるというのは、ある意味間違いというのが答えかもしれません。
そうはいえでも、栄養分不足で白髪になりやすくなるのは事実ですので、ストレスを適度に発散させることは白髪の”予防”にはなるのかもしれません。
(繰り返しになりますが、あくまで、前回の記事は、”白髪の予防”になります。)
最初に取り上げた”こめかみ付近に白髪が多い原因”がこめかみにストレスがたまりやすいとのことですが、ストレス以外にも髪の毛の生えている部分ごとに毛の組織の性質が微妙に変わっていることが関与しているのではないかと思います。
例えば、男性脱毛型では前頭部や頭頂部が脱毛しやすい(禿げやすい)ですよね。
この部分では男性ホルモン受容体の感受性が高いことで知られています。
白髪になりやすいとされているこめかみ付近の髪の毛は、他の部分と比べて毛が短いように思います。
短いということは、ヘアサイクルが他と比べて短期間で変わってしまうということなので、色素性幹細胞はメラノサイトを供給して休んでの繰り返しが必然的に多くなります。
基本的に細胞は一般的に分裂回数が多くなると老化してしまう性質があるので、こめかみ付近が白髪が多くなりやすいのではないでしょうか(あくまで推測なのですが…)。
ストレスで一晩で白髪になるのはやっぱり間違いですよね。
ストレスで、一晩で白髪化したマリー・アントワネットの話に近い現象はあるようです…
マリー・アントワネットが捕まった時に、一晩で白髪になったという話がありますが、毛になった部分のメラニン色素部分は安定的で脱色等の処理をしない限り、白髪になることはありえません。
なので、一晩で白髪になるというのは、単なる噂のようです。
ところが….ストレスが病的なモノとなった場合、かなりの短期間で白髪になるようなことはあります。
全頭型の円形脱脱毛症で、短期間で髪の毛が一気に白髪に見かけ上なる症例があるようです(文献1)。
円形脱毛症は血液のリンパ球が関与した自己免疫疾患に分類されているもので、ストレスと因果関係が報告されている症状の一つです。
特に、リンパ球が毛髪が伸びる時期(毛周期の成長期)に、活発に増殖しているメラノサイトを集中して攻撃してしまいやすく、黒髪だけが抜け落ちてしまうことがあるようです。
円形脱毛症の黒い毛の部分と白い毛の部分では、メラノサイトがある黒い毛の部分が侵食されやすく、頭髪全体が黒い毛と白い毛が入り交じった状態の時に、びまん性の(局在せずに全体で起こる)円形脱毛症が起こると、黒い毛だけが攻撃されて、白い毛だけが部分的に残ります。
そのため、”円形脱毛症”になった部分の髪の毛は全体的に抜け落ちるのではなく、黒髪だけが抜け落ちて白髪だけになってしまうことから”白髪が進行した”という印象を受けてしまうことが…
さらに、年単位の毛周期にも影響されないので、マリー・アントワネットまではいかなくても、急激に白髪になったとさえ感じてしまう程のようです。
日常的な場面で起きやすい白髪は、病的なものではありませんが、ストレスが病的なものまで進行してしまった場合、”白髪化”に関与する一因にはなるようです。
(最初の項目で因果関係はないと否定はしていますが…栄養同様に、全くストレスと白髪は関係ないとも言い切れないようです。)
通常の白髪の場合はメラノサイト自体の数が減少してしまうので、黒髪にはなかなか戻りません。
しかしながら、自己免疫疾患の円形脱毛症が原因の場合は、病気が治ると黒髪部分が復活しやすいようです(元々白髪交じりなので、黒髪部分が部分的に増えたというような印象になるのではないでしょうか)。
他にも急激に髪の毛の白色化を急激に進行させるものもあります。
また、ある種の薬剤(抗がん剤等)を投与された場合、メラノサイトの破壊やメラニンが分解されやすくなることがあります。
薬剤の場合は、すでに生えている髪の毛(髪の毛の毛幹部分)自体には作用しません。
生え変わっている時や伸びている髪の毛の毛球部分に働き、毛幹が作られる際において、メラノサイトからメラニンの受け渡しが上手くいかなくなってしまい、白髪化します。
ヒトよりも他の動物の方がこの現象は急激に起こったように見えます。
ヒト以外の動物(特にマウス)において、体毛全体の毛周期は同調している性質があります。
マウスに体の毛を刈り取った後に薬剤を投与すると、毛が伸びるのと同時に一気に白毛に変わり、短期間(数日)で白毛化してしまいます。
ヒトの場合では、髪の毛の組織(毛包)ごとにヘアサイクルの周期が違うので、マウスのようにはいきませんが、白髪化が疑われる薬剤が長期間投与された場合は、徐々に白髪になり、ついには白髪が増えた印象をうけます。
こちらも薬剤をやめれば白髪化が治まるわけですが、一度白髪になった部分は抜け落ちたり、かなり伸びないと変化が分かりにくいため、一気に黒髪に変わるという印象は受けません。
上記でお伝えしたことが日常的に頻繁におこるものではありませんが、普段の白髪ケアにおいては、栄養を十分にとり、ストレスを貯めないことはある程度、白髪を予防する上では大切です。
そして、若白髪で部分的に白髪になった場合は、黒毛に戻る現象はあるようですが、通常白髪になった部分はなかなか元の黒髪(色素がある状態)にもどりません。
白髪になった部分を気にしてみたり、白髪を抜いても同じ場所からは結局白髪しか生えてこないので、あまり気にするよりも定期的に染めて目立たなくして、ストレスを貯めないようにするというのも手かもしれません。
(肌が弱い方には髪の毛を染める染料が合いにくいのが難しいところですが….)
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参考文献
(参考文献1)毛の悩みに応える皮膚科診療