殺菌剤はどのような種類があるの?

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主な殺菌剤(殺菌作用のある薬剤)としては、以下の種類があります。
また、種類によって細菌の作用部位が異なるようです。

殺菌剤の種類における菌の作用部位(*1, *2, *3, *4)

は、細菌の作用部位

難しい薬品名を並べてしまいますが…

主な薬剤の種類と代表例(*1, *2, *3, *4)

アルコール…エタノール、イソプロパノール
ハロゲン系…次亜塩素酸ナトリウム、弱酸性(微酸性)次亜塩素酸水、二酸化塩素、ポビドンヨード
第四級アンモニウム界面活性剤…ベンザルコニウム塩化、塩化ジデシルジメチルアンモニウム
ビグアニジン…クロルヘキシジングルコン酸塩、ポリヘキサメチレンビグアニド
酸化剤…過酢酸、過酸化水素
アルデヒド系…グルタルアルデヒド、オルトフタルアルデヒド

があります。

また、機能性を上げるために例えばクエン酸等(殺菌効果を持続させる)を混合することもあります。

殺菌剤の作用って? 手肌に優しいのはあるの?

例えば、アルコール
よく使われている成分は、エタノールになります。エタノールは、細菌の細胞壁や細胞膜を変性(性質を変えて、元にもどらないようにさせる)させたり、細胞内にあるタンパク質を変性させる作用があります(*1)。

ちなみに、細菌の構造図は以下のとおりになります。

細菌の構造図(*1)
細菌 図1

 

細菌の構造を簡単にご説明します。

細菌には、多数の膜構造があります。外側から内側に向かって、莢膜(細菌によっては、ない場合がある)、細胞壁、細胞膜というように膜構造があります。
外側には移動の時に使う鞭毛、吸着に役立つ繊毛があります。

細胞膜の内側では、核様体の中に細菌の設計図となるDNAがあり、その設計図を元にリボソームによってタンパク質が合成されます。また、細胞膜や細胞中にはたくさんの酵素があります。

話は殺菌剤に戻りますが、
次亜塩素酸ナトリウムは、器具や野菜の殺菌で使用されています。細胞壁や細胞膜、代謝に必要な酵素を失活させたり、核様体のDNAを傷つけることによって作用します。近年、弱酸性(微酸性)の次亜塩素酸水が販売され、器具以外にも手肌に使われている場合があります。

第四級アンモニウム界面活性剤は、一般的には逆性石けんと呼ばれています。手肌の殺菌に使われているものです。これらは、細胞膜内に侵入し、細胞膜内のタンパク質に影響を及ぼします。

ビグアニジンのクロルヘキシジングルコン酸塩も同様に細胞膜を損傷させて、細胞内のものを溶出することによって作用します。

酸化剤やアルデヒド系の過酢酸やグルタルアルデヒドは作用が強く、基本的には菌をすべて殺す”滅菌”で使用されます(*1)。

第四級アンモニウム界面活性剤は作用が強くありませんが、アルコールとは異なり、手肌に成分が付着します。低濃度の場合は、基本的には安全性が確認されていますが、”界面活性剤”であるため、手肌が弱い方は一次刺激性物質となる可能性があります。

手肌に成分が残らず、比較的ダメージが少ないのは、
アルコール系(エタノール)

ハロゲン系(弱酸性(微酸性)次亜塩素酸水)

この二つになるのではないでしょうか。

ただ、エタノールの場合は、繰り返し使った場合は、脱脂作用があるので頻繁に使用するのは避けた方がいいかと思います(エタノールに過敏の方がいらっしゃいますし…)。

 

また、ハロゲン系でも次亜塩素酸ナトリウムは、アルカリ性の場合は手肌を痛める可能性があります。

ところが、”弱酸性(微酸性)”の次亜塩素酸水であれば、殺菌剤として効果を発揮した後、すぐに水に戻るという性質があるので、人の皮膚には比較的ダメージが少ないです。

手肌に優しいという面では弱酸性の次亜塩素酸水をおすすめします。

今回は液体状の殺菌剤をご紹介しましたが、ゲルタイプの殺菌・消臭に使われるハロゲン系の成分があります。

→詳しくはこちら

 

 

参考文献
*1) 新名史典、隈下祐一、加藤信一(2013)「ビジュアル図解 洗浄と殺菌のはなし」同文館出版 70-71, 80-81
*2)小林寛伊編 消毒と滅菌のガイドライン
*3)福崎智司 New Food Industry (2005) 47(6),9-22
*4)山下勝 防菌防黴 (2008) 36(4), 241-262