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安定性二酸化塩素って何? 二酸化塩素との違いとは。
そもそも二酸化塩素とはどんなもの?
安定化二酸化塩素は、長期保管できる二酸化塩素を発生する溶液のことです。
二酸化塩素(ClO2)は、アメリカのFDA(米奥食品医医薬品局)食品添加物、医療用消毒剤として使われたり、国内でも厚生労働省で水道水の殺菌、プールの消毒での使用が認可されているものになります。
そのため、正しい使用用途で使えば安全性の高い殺菌・消臭剤の成分です。
あまり成分自体は馴染みが薄いかと思いますが、薬局などでよくみられる「クレベリン」の殺菌・消臭に関与する主要成分にもなっているもので国内でも広まりつあります。
二酸化塩素は優れた殺菌・消臭剤
二酸化塩素は次のような構造の分子になります。
下の水分子とよく似た形だと思いませんか?
それぞれの原子の数も等しく、水と同じような角度で曲がっています。
とても構造が水に近いので、お互いよく溶けます(それぞれ電気的偏りがあるので極性分子といいます)。
ただし、二酸化塩素は、水とは違って上の構造式のようにClのところに「・」があります。
この「・」の部分は不対電子というもので、不安定で安定化しようと他の電子を奪い取る作用をもっています。
この奪い取る作用を「酸化」といって、細菌やウイルスを構成しているタンパク質※などの成分から電子を奪って破壊させます(このような性質を持つものをラジカルといいます)。
※ラジカルは、タンパク質を構成しているアミノ酸のチロシンやトリプトファンに作用します。
上参照図、なんでか?ウィキペディアと違って酸素に電子がありますね…
ミルトン、ハイターに使われている次亜塩素酸ナトリウムの2.5倍の「酸化力」があるともいわれ、極めて強い殺菌剤の部類になります(*3)。
殺菌力は「オゾン>ClO2>塩素」の順番で強い傾向があります。
ラジカルは、殺菌作用のみならず、アンモニア・硫化水素・メチルカプタン・トリメチ ルアミン・アセトアルデヒドなど臭いに関連する物質を酸化、不活化する作用もあるので脱臭剤としても活躍します。
二酸化塩素のメリットとデメリットとは
二酸化塩素は、前述の内容も含めて以下のメリットとデメリットがあります(*4)。
メリット
- 強い酸化力→次亜塩素酸ナトリウム(塩素系)の2.5倍の酸化力
- 幅広い種類の細菌、カビ、ウィルスに効果がある。
- 低濃度で効果を発揮
→2.5 分間の殺菌試験で、大腸菌、黄色ブドウ 球菌、MRSA は1ppmで枯草菌(芽胞)100ppm、黒麹カビにも 10ppm という濃度で作用する。 108CFU/mLの菌数*7) - pHに作用されにくい
- トリハロメタンを生成しない
- 発がん性は認められていない
- ゲル状になった商品がある→塩素系は液体状のものしかない
デメリット
- 紫外線で容易に分解しやすい塩素酸と塩酸になる。
- 塩素に似た不快臭がある。
- 10ppm(100mg/L)の二酸化塩素が溶けた水溶液でも刺激臭を感じる。
- 低いpHの場所では次亜塩素酸ナトリウムの方が有利な場合がある。
- 濃度が濃い場合、金属や樹脂の腐食性がある。
(薄い場合は直ぐに分解されるので塩素系よりも)
安定性二酸化塩素ってどんなもの?
安定化二酸化塩素は、二酸化塩素の効果がほとんどないって、ホント?
二酸化塩素は殺菌・消臭剤とは優れていますが、熱や光に弱かったり、室温だと気体(ガス状)で、専用の装置が必要なったりと取り扱いが不便でした。
そのようなことから二酸化塩素そのものを使うのではなく、長期保管できる液体状の二酸化塩素を発生する前駆体溶液としてが販売されるようになってきました。
この前駆体薬品というのは、今回のテーマとなっている「安定化二酸化塩素」になります。
ちなみに安定化二酸化塩素は、正式な薬品名ではありません。
総称です。
アメリカで”stabilized chlorine dioxide” (SCD)として売られていたものを日本語訳の「安定化二酸化塩素」として販売しているようです。
各社メーカによって内容成分が若干異なりますが、亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)が入った水溶液が二酸化塩素発生源として使われていることが多いようです。
亜塩素酸ナトリウムは、国内でも食品の消毒や殺菌で認められているようなものなので、正しく使えば安全なものになります。
※安定化二酸化塩素(亜塩素酸ナトリウム5%溶液)は、アマゾンで購入できます!
上記の商品には記載がありませんでしたが、pHを一定に保つために緩衝作用のある溶液も加えられていることが多いようです(例えば、炭酸 ‐ 重炭酸緩衝液等)。
なので、基本的には亜塩素酸ナトリウムが使われていますが、添加剤の違いを考えるとメーカーによって成分内容が異なるものとなります。
安定化二酸化塩素は殺菌剤・消臭剤として使えるものなの?
実は、安定化二酸化塩素販売されているものは、二酸化塩素はほぼ発生しないものと考えてください。
それは、安定化二酸化塩素の主要な成分は、亜塩素酸イオン(ClO2-)というイオンの状態で水に溶けたままで安定化してしまい、二酸化塩素のガスが放出されない状態になっているからです。
イオンだと例のラジカルがないので、純粋な二酸化塩素の同じ量の溶液に比べると殺菌・消臭効果はかなり落ちたものになっています。
なので、二酸化塩素よりも効果は期待しないでくださいね。
だったら、使えないかというとそうでもなく、ごく微量に発生する二酸化塩素や亜塩素酸イオンである程度殺菌・除菌ができるようです。メーカーによって濃度の記載が違っていたりします(どれくらい発生しているか情報がありませんでした。)。
例えば、産陽商事 安定化二酸化塩素 5%原液(*5)の場合
5%溶液(50,000 ppm)を 1000倍希釈(50ppm)、100倍希釈(500ppm)に希釈して、有機系臭気の脱臭、浴槽の浄化・浴室の除菌、カビ防止に使用するように記載されています。
また別のメーカー コスモ理研株式会社(* 6)の安定化二酸化塩素の製品であれば、
表:安定化二酸化塩素使用濃度(コスモ理研製 コスモフレッシュ)
引用元:コスモ理研製 コスモフレッシュ
となっており、先程の産陽商事の製品よりもかなり濃い濃度で使用するようになっています。
メーカーによって使用する濃度は違いますし、単純に殺菌・消臭スプレーとして家庭で使うのであれば、手肌に優しく低濃度で殺菌・消臭剤として使える弱酸性次亜塩素酸水をおすすめします。
ブログ参照:弱酸性次亜塩素酸水とは。家庭でも作れます
安定化二酸化塩素は二酸化塩素と完全な別物ではないか…と思われますが、二酸化塩素を発生させる方法があります。
それは、酸を加えることです。
酸を安定化二酸化塩素に加えるとイオン化したものが二酸化塩素となり、気体に放出されます。
安定化二酸化塩素を改良した製品があるの?自作より市販品(クレベリン)がいい理由とは?
安定化二酸化塩素に酸を加えれば、二酸化塩素が高効率(90%以上)に放出されるようになります。
市販品の安定化二酸化塩素の場合だと、主にクエン酸のような弱酸を加えて発生させるようです。
塩酸のような強酸では急激に二酸化塩素が発生してしまい、発生するガスが濃くなってしまうからです。
クエン酸等をいれて発生させる方式のものもありますが、現在においてはドラッグストアなどで簡単に入手できる商品のほととんどは、はじめから一定の酸性状態にするための緩衝液※が加えられていて、何も手を加えなくても二酸化塩素を発生冴えるものがほととんどです。
※緩衝液:急激にpHが変わらないように調整された溶液
また、芳香剤のようにゲル化して、振動冷蔵庫内、トイレ内、室内 、自動車の車内等の抗菌、消臭に使用できるようにしたものの多く出回っています。
安定化二酸化塩素に酸を加えた後に、ゲル化する高分子吸水樹脂を加えて自作の消臭剤も作ることができますが、クエン酸を入れた時点で黄色いガスがでたり、放出する量の調節がなかなか難しいので、クレベリンのようにあらかじめ出来上がった製品を購入することをおすすめします。
※クレベリンは、安定化二酸化塩素(亜塩素酸ナトリウム)の他に、製品によっては二酸化塩素を溶かしたタイプもあります。詳しくはメーカーサイトをご覧ください。
二酸化塩素ゲル化した脱臭・消臭剤は自作でもできます。ただし、参照程度にしてくださいね。
アメリカの労働安全衛生局においては、二酸化塩素の8時間あたりの曝露限界の量が0.1ppm (0.00001%、 0.0001g /1Lとかなり少なく設定されているものになります*2)
量を少なく混ぜれば、発生する二酸化塩素を少なくできますが、家庭では安全性が保証ができないので市販品をおすすめします(あくまで参照程度にとどめてください!)。
亜塩素酸ナトリウムから塩素酸の発生方法
安定化二酸化塩素の成分である亜塩素酸ナトリウム15molに対して、クエン酸4molが反応して、12molの二酸化塩素ができます。
化学反応式は、以下のとおりです。
15NaClO2(亜塩素酸ナトリウム)+4HO2CC(OH)(CH2CO2H)2 (クエン酸)→12ClO2(二酸化塩素)+4C6H5Na3O7+3NaCl+2H2O
市販品の安定化二酸化塩素(亜塩素酸ナトリウム5%溶液)であれば、20mLの溶液(亜塩素酸ナトリウム含量1g)に対して、約5.5gのクエン酸を加えれば、約5.9gの二酸化塩素が発生することになります(理論値なので、発生する量は記載より少ないです)。
仮に5.9gガスが発生した場合、設備がないところでは危険です。
設備がないところでも安全に取り扱おうとしたら、クエン酸を0.0001g(0.1mg)よりも少なく添加しなければなりません。
それでも、クエン酸を入れると溶液が黄色くなり、ガスが発生するので換気は十分する必要はあります。
ゲル化方法
クエン酸添加した後、下記のような高急性樹脂を入ればゲル化したタイプの二酸化塩素消臭・脱臭剤はできます。
300mLの液体に対して1g加えれば、十分固まるようになっています。
クエン酸で二酸化塩素を発生させたり、ゲル化させる方法もそれ程難しいものではありませんが、とにかくガスが発生するのでやめておいたほうが無難です。
安定化二酸化塩素や二酸化塩素の市販品でもよくない?安全な製品を求めるには
国民生活センターの調査の資料(*7)においては、二酸化塩素を有効成分と記載されていもほとんど放出がみられない製品があったり、発生するガスによっては体調不良がみられた場合もあったそうです。
例えばクレベリンなどのように流通量が多く、メーカーである程度殺菌や除菌効果が確かめられているものなら比較的安心して使えるとは思いますが、何か異常があった場合は使用を中止されたほうがいいかと思います。
また、口内をうがいするという使い方をみかけましたが、安定化二酸化塩素の場合、口内が荒れる恐れがあるのでおすすめできません。
メーカー推奨の正しい使い方で使うようにお願いします。
まとめ
安定化二酸化塩素と二酸化塩素同じものではありません。
安定化二酸化塩素でも殺菌効果はあるが、二酸化塩素の発生量は劣ります。
酸を加えたら二酸化塩素が発生しやすくなりますが、安全面から推奨できません。
二酸化塩素製品を使うのであれば、流通量が多く実績がある程度保証された市販品(クレベリン)を使ったほうがいい。
また、殺菌・脱臭でふりかけるだけであれば手肌に優しく殺菌効果の高い、弱酸性次亜塩素酸水をおすすめします。
参考文献:
*1) 二酸化塩素 ウィキペディアより
*2) 水 ウィキペディアより
*3)社団法人 日本二酸化塩素工業会 参照
*4)バタフライズ株式会社 二酸化塩素の長所と短所
*5)産陽商事 安定化二酸化塩素 5%原液500g
*6)コスモ理研株式会社 コスモフレッシュによる空間管理ハンドブック
*7) 二酸化塩素による除菌をうたった商品 独立行政法人国民生活センター
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