ラウラミドプロピルベタインとはどんなもの?

ラウラミドプロピルベタインイメージ図 泡立てたところ

ラウラミドプロピルベタインは、ヤシ油由来のベタイン系の両性イオン界面活性剤です。

「ラウラミドプロピルベタイン」という成分は、あまり馴染みは無いかもしれませんが、シャンプーの成分に詳しい方であれば、ベタイン系の界面活性剤って聞いたら「赤ちゃん用のシャンプーに含まれている低刺激な洗浄成分」って思い浮かぶのではないでしょうか。

 

化粧品原料であれば、「ラウラミドプロピルベタイン」ですが、薬用化粧品「医薬部外品の名称」であれば名称が変わります。

★ ラウラミドプロピルベタイン使用用途別の表示

用途 表示名
化粧品の成分表示 ラウラミドプロピルベタイン
医薬部外品原料規格表示の名称 ラウリン酸アミドプロピルベタイン
家庭用品品質表示法における成分表示名称 ラウラミドプロピルベタイン

実際に成分がどういったものなのか見ていきましょう!

 

ラウラミドプロピルベタイン化粧品原料の効果と性質について

ラウラミドプロピルベタインの用途について

シャンプー、ボディーソープ、ハンドソープなどの頭・身体用の洗浄剤に配合されています。

低刺激なので、最近では敏感肌さん用やベビー用の製品で頻繁に使われるようになってきました。

また、陰イオン界面活性剤の刺激性を低下させる性質があるので、家庭用洗剤、食器用洗剤のような手肌に触れる洗剤に補助剤として加えられています(*1 ,2 参考文献)。

 

ラウラミドプロピルベタイン化粧品原料の効果について

泡立ちもよくマイルドな洗浄力があり、水の硬度に影響は受けません。

生分解性が良く、両性イオンのプラスの電荷とマイナスの電荷で相殺されて吸着しにくい特性があるので、皮膚や目、粘膜に対しては温和です。

洗浄後の肌をしっとりさせる効果もあるので、赤ちゃん用の洗浄剤、シャンプー、ボディーソープによく活用されています。

両性イオン界面活性剤のベタインと呼ばれる種類のなかでも泡立ちがいい方で、アルキルベタインという種類よりも形成能が高いとされています。

他の界面活性剤(陰イオン、陽イオン、非イオン)を溶かし込み、相乗効果を発揮します。

陰イオン系のアミノ酸系の界面活性剤の泡立ちを良くしたり、刺激の強いスルホン酸系の陰イオン界面活性剤の刺激軽減でよく使われています。

 

ベタイン系 両性界面活性剤について

ラウラミドプロピルベタインが「ベタイン系の両性イオン界面活性剤」という種類に分類されますが、どんなものか簡単に解説します。

 

ベタインってお化粧やシャンプーにこだわっている方は一度は聞いているかもしれません。

そのもの自体は天然の海産物や植物に含まる保湿作用のある物質で、ほとんどがてん菜という食物から精製されたものになります。

赤ちゃんや比較的敏感肌さんの化粧品に多かったりするので、ベタインは天然原料、いわゆる植物由来のものかと思いきやそうでもありません。

 

後でご説明しますが、ラウラミドプロピルベタインのものは、植物由来のものを使っているものの、一部化学的に合成されたものを組み合わせて作られています。

 

ベタインとは、下のラウラミドプロピルベタイン構造式の図のうち、青で囲った化合物の構造があるものをいいます※。

※細かくいうと、青で囲った構造があって、その中に(+)と(−)の静電気(電荷)が両方ともある化合物になります

 

ラウラミドプロピルベタインの構造(* 3 参考文献)

 

特にベタイン部分は化学的に合成されたものになりますが、最終的に安全性が確立されたものであれば問題はありません。

 

ちなみに、ラウラミドプロピルベタインの構造の中に油に馴染みやすい部分と馴染みにくい部分があります。

 

図の緑色の文字の「ラウリン酸」部分はヤシ油の脂肪酸由来で、油の馴染みやすい「親油性」の性質があります。

それに対して「プロピルベタイン」部分は、もともとベタイン自体保水性があるので、水になじみやすい「親水性」の性質があります。

ラウラミドプロピルベタインに油と水に馴染みやすい部分が両方備わっていることで、油と水を溶かし込むことができる「界面活性剤」となるわけです。

 

さらに、水と馴染みやすいベタイン部分に「+」プラスと「ー」マイナスの両方の静電気(電荷)を持っている原子があるので、「両性イオン界面活性剤」と呼ばれています。

両性イオン界面活性剤の特徴

両性イオン界面活性剤は、見かけ上、電気的に電荷をもたないので皮膚への吸着や作用が弱く安全性が高いものが多いのが特徴です。

さらに、溶液中のpHの度合いによってベタインの電荷(静電気)の状態が変わるため、界面活性剤の性質もそれにともなって変化します。

pH がアルカリ性側になると、マイナスになって陰イオン(アニオン)界面活性剤のように、発泡し、洗浄剤となります。

ところが、酸性になると、プラスになって陽イオン(カチオン)界面活性剤となって、表面をなめらかにするリンス作用や帯電防止効果を発揮する性質があります。

※両性イオン界面活性剤の種類によって最適なpHが変わってきます。一般的なpHでアルカリ性ではなく中性でも発泡の性質を保ったものもあります。

 

他の界面活性剤(陰イオン、陽イオン、非イオン)を溶かし込み、相乗効果を発揮する性質があります(*1 参考文献)

両性イオン界面活性剤の相乗効果とは
・陰イオン界面活性剤との相乗効果
陰イオン界面活性剤と一緒に入れると、刺激を低下させたり、泡立ちを向上する働きがあります。
・陽イオン界面活性剤との相乗効果
リンスインシャンプーのような陰イオンと陽イオンが混合するようなとき、陽イオン界面活性剤の沈殿を防ぎ、溶かし込む効果があります。
・非イオン界面活性剤との相乗効果
非イオン界面活性剤を溶かし込んで、濃度を上げる効果があります。

 

⇒参照:両性イオン界面活性剤とはどんなもの?

 

ラウラミドプロピルベタインの原料の由来と作られ方について

原料の由来について

ラウリン酸とDMAPA(ジメチルアミノプロピルアミン)を反応させてつくられたラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンにモノクロロ酢酸ナトリウムの処理をしてつくられます(*4 参考文献)。

..と聞いて化学に馴染みがない場合は思いつかないかと思います。

 

ラウリン酸というのは、ヤシ油脂肪酸から精製された脂肪酸になります。

もちろんヤシ油脂肪酸ということもあって、植物の「ココヤシ由来」の脂肪酸です。

 

ヤシ油原料は、単一の脂肪酸ではなく、ラウリン酸(約40%)、ミリスチン酸(約20%)、パルミチン酸(約9%)などが混合したものになります。

※(カッコ)は含有量です。

 

ラウリン酸というのは、その中で一番含有量多い炭素が12個連なった不飽和脂肪酸で、ヤシ油脂肪酸から精製されたものです。

下図は構造式ですが、ボコボコした線一つが炭素2つ分になります(ただし-OHが書いてある線は炭素1つ分)。

ラウリン酸の構造 炭素数12個
出典: ラウリン酸構造 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

そして、このラウリン酸とDMAPAという薬品と反応させたあと、再度化学反応(カルボキシルメチル化)をさせて、「ラウラミドプロピルベタイン」が作られていきます。

 

DMAPAは、「アンモニア」と「アクリルニトリル」という超ケミカルな出発原料を元に化学合成して作られています。

しかも、アンモニア臭があって、強い皮膚刺激のある液体。

 

赤ちゃん用のシャンプーで使われている原料だから、天然で優しいものが使われていると思いきや、結構どぎついものが使われているようです。

そうはいっても化学合成して作られる製品の場合、最終製品が安全だと確認・証明できればほぼ安心できる製品だといえます。

DMAPA…製品の中に残っているのかどうか心配ですよね。

 

ラウラミドプロピルベタインが作られた後には、DMAPAは反応で消費されるか、精製されてほとんど原料自体に残らないようになっていま。さらに、最終製品中のDMAPAの残量も極めて低レベルで、皮膚トラブルは起こりにくくなっています(*4 参考文献)。

実は、某化性メーカのホームページにラウラミドプロピルベタインは、「ヤシ油脂」由来のラウリン酸と「てん菜」由来のベタインでつくられるからお肌にやさしいし潤いを残す…。

というのをお見かけしましたが、あくまで界面活性剤の性質であって、原料が何かはそれほど製品には関与しません。工業的に高くつくのか反応が難しいのか、世界的に見ても「DMAPA」を活用するのが主流なようです。

 

ラウラミドプロピルベタインの構造

ラウラミドプロピルベタインのラウラミドというのは、「ラウリン酸アミド」の英語名「ラウラミドLAULAMIDE」を略したもの。

ラウリン酸がアミド結合(赤で囲った部分)を介して、DMPAが反応してできたプロピルベタイン(青で囲った部分)と結合しています。

 

【構造】

ラウラミドプロピルベタインの構造 と アミド結合の説明

ラウラミドプロピルベタインの構造式 (*3  参考文献)

 

前々回、ご紹介したコカミドDEAのココカミドというのは、「ヤシ油脂肪酸アミド」の英語名「ココアミドCOCOAMIDE」を略したものであるということをお伝えしました。

⇒参照:コカミドDEAについて

 

このコカミドとDMAPAと反応させた「コカミドプロピルベタイン」というものもあります。

精製していないヤシ油脂肪酸と反応させて作ったものになります。

ヤシ油脂肪酸の中には、ラウリン酸が50%前後しか含まれていませんが、それに近い炭素数、例えばミリスチン酸(炭素数14個)などが混合しているだけで、「ラウラミドプロピルベタイン」とほとんど性質は変わらないもです。

ラウリン酸単体だけのラウラミドプロピルベタインの方が、脂肪酸原料の精製がよくされています。製品が安定化して臭いがほとんどなく、泡立ちも良好になります。

 

ラウラミドプロピルベタインの性状について

工業的につくられたラウラミドプロピルベタイン化粧品・洗剤原料は、淡い黄色〜無色透明の粘性のある液体になります。水で溶かして30%濃度になっています。

溶液中で集合体を作りやすくするために、食塩が5%前後原料に添加されています(*4,5  参考文献)。

 

 

安全性について

安全性 イメージ

製品に含まれるラウラミドプロピルベタインの量は、2010年のアメリカのPersonal Care Products Council (米国パーソナルケア製品評議会)によると、227商品を調べたところ、13%〜0.00006%という結果でした(*4 参考文献 )。

現段階に置いて、皮膚への刺激性やアレルギー、発がん性についての情報が少ない状況です。

皮膚の刺激性やアレルギー(感作性)発がん性については環境省の職場の安全サイトではとくに取り上げられていません(*4,6  参考文献 、2018年12月現在)。

 

ですが、皮膚刺激性や発がん性、感作性は低いという実験データはいくつか得られています。

※あくまで報告例ですので、化粧品や日用品についてはお肌の状態を確認しながら使ってください。

もちろん、肌の状態が悪化している場合は、なるべく触れないようにしましょう。

 

発がん性について

これまでのところ、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)や米国国家毒性計画(NTP)の発がん性リストに含まれていません(2018年12月現在 *6  参考文献)。

発がん性は確認出来なかったという文献データがあります。

コカミドプロピルベタイン(ラウラミドプロピルベタインを含む)を0.09%含むヘアダイを雌雄50匹ずつのマウスに20ヶ月 1週間に3回塗布したところ、慢性的な炎症はあったものの発がん性は確認されなかったという報告例があります(1984年報告データ * 4,7 参考文献)。

 

皮膚刺激性について

皮膚刺激性は確認出来なかったという報告例があります。

0.06%コカミドプロピルベタイン(ラウラミドプロピルベタインを含む)を19人に閉塞パッチテストを行ったところ、15人は皮膚刺激性の反応は全くなかった。4人に反応がみられたが、実質的には炎症に分類されるものではなかったという報告例があります(1991年報告データ * 4 ,8 参考文献)。

アレルギー反応について

ラウラミドプロピルベタインの皮膚の接触アレルギーに関しては、51人の被験者で0.042%シャンプー(原液で4.2%)のパッチテストを24時間行ったところ、アレルギー反応(感作性)がなかったという報告例があります(2002年報告データ * 4 ,9参考文献)。

 

 

ラウラミドプロピルベタインが含まれている製品について

ラウラミドプロピルベタイン配合シャンプーイメージ写真

赤ちゃん用ベビーソープ

赤ちゃんに優しい無添加ベビーソープ《Dolci Bolle》

 

参考文献

*1) 新 化粧品ハンドブック(2007)日光ケミカルズP213-p214

*2)化粧品成分ガイド 第6版(2015)フレグランスジャーナル社 P140

*3) 川研ファインケミカルズ 両性界面活性剤 ソフタゾリン LPB-R
<https://www.kawakenfc.co.jp/products/search/index.php/item?cell003=%E4%B8%A1%E6%80%A7%E7%95%8C%E9%9D%A2%E6%B4%BB%E6%80%A7%E5%89%A4&list=1&page=2&cell004=%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%BF%E3%82%BE%E3%83%AA%E3%83%B3+%EF%BC%AC%EF%BC%B0%EF%BC%A2%EF%BC%8D%EF%BC%B2&name=%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%BF%E3%82%BE%E3%83%AA%E3%83%B3+%EF%BC%AC%EF%BC%B0%EF%BC%A2%EF%BC%8D%EF%BC%B2&id=53&label=1>(2018年12月19日アクセス)

*4) Burnett CL1, Bergfeld WF, Belsito DV, Hill RA, Klaassen CD, Liebler D, Marks JG Jr, Shank RC, Slaga TJ, Snyder PW, Andersen FA.(2012)Final report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the safety assessment of cocamidopropyl betaine (CAPB).Int J Toxicol. 2012 Jul-Aug;31(4 Suppl):77S-111S.

*5)花王の両性界面活性剤 アンヒトール 20AB (AMPHITOL 20AB) ラウリル酸アミドプロピルベタイン
<https://chemical.kao.com/jp/pdf/catalog/catalog_B0001634.pdf>(2018年12月19日アクセス)

*6) 厚生労働省 職場の安全サイト 安全データシート
2-[3-(ドデカノイルアミノ)プロパ-1-イル(ジメチル)アミニオ]アセタート
<http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/4292-10-8.html>(2018年12月19日アクセス)

*7) Jacobs MM, Burnett CM, Penicnak AJ, Herrera JA, Morris WE, Shubik P, Apaja M, Granroth G.(1984)
Evaluation of the toxicity and carcinogenicity of hair dyes in Swiss mice.
Drug Chem Toxicol.7(6):573-86.

*8)Elder RL. (1991) Final report on the safety assessment of cocamidopropyl betaine. J Am Coll Toxicol. 10(1):33-52

*9) Consumer Product Testing. Repeated insult patch test of a shampoo containing 4.2% lauramidopropyl betaine(1% dilution of the product was tested).Report number CO2-0587.03.(The personal Care Products Council, Unpublished data, 2002:9)

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