ケアベール柔軟剤の代わりになる肌に優しめの柔軟剤はありますか?
ブログをご覧頂いた方からお問い合わせいただきました。
内容としては、使っていたケアベール柔軟剤が製造中止になったので代わりになるものを探しているというものでした。
使っているものが廃盤になって、次のものを探すとなると何がいいか判りにくいですよね。
しかも最近の柔軟剤は華やかな香りの反面、匂いがキツイですし、柔軟剤作用の成分自体も肌の弱い人には刺激物質になる場合も。
ケアベールの代替品のご質問いただいた内容を確認する前に、ケアベール柔軟剤はどんな特徴があったのかをみていきます。
ケアベール柔軟剤について
ケアベール柔軟剤とはどんなもの?特徴とは?
ケアベール柔軟剤は、ライオンが販売していた乾燥・敏感肌用の柔軟剤になります。
2017年製造中止になったと、ライオンのホームページにありました。
2017年03月をもちまして製造終了しております。
ケアベール柔軟剤の販売開始が2006年の10月からで、約11年間市場に流通していたことになります。
それは、一商品にしては長いような気もしますが…ただ、後継の似た商品がないのは、購入していた人にとっては困りモノです。
ケアベール柔軟剤は、繊維をシリコーンでコーティングすることで肌の摩擦を軽減するというのが特徴だった商品のようです。
「ケアベール柔軟剤」は、同社独自のすべり性の高い柔軟成分HFS(新シリコーン)をナノレベルに乳化することで、衣類表面が均一にコーティングされ高いすべり性を実現し、肌と衣類との摩擦を低減する。吸水性がよく汗を吸収し、ムレやベタつきも防ぐ。フローラルのほのかな香りで、無着色。容量は衣料用洗剤、柔軟剤とも660mLで、価格はいずれもオープン。
出典:薬事日報 敏感肌向けの衣料用洗剤・柔軟剤を発売‐ライオン
2018年12月現在、Amazonでは販売しているようです。
ケアベール柔軟剤の成分解析!敏感肌向けの理由とは。
成分の確認を確認すると、シリコーンって思いっきり書いてありますし、さらにすべり性の高いシリコーン乳化物書いてありました。
【成分】
水、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、シリコーン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エチルアルコール、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、香料、シリコーン乳化物、防腐剤
シリコーンの前に書いてあるジエチレングリコールモノブチルエーテルは、エタノールのように水に溶けやすい溶剤になります。ということは、主にシリコーン主体の柔軟剤になります。
シリコーン自体は安定的で肌には優しく、肌の弱い人には刺激物質になりにくい成分です。
ところが、数年前よりシリコーンが髪の毛についたら取れにくいというイメージが先行していて、「ノンシリコン」という言葉が先行しています。
柔軟剤の量を入れすぎない限り洗濯洗剤で落ちるとは思いますが、布に蓄積するイメージがあって、販売停止になったのではないかと予想されます。
それ以外の柔軟成分として、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、別名ポリクオタニウム−6という成分も配合されています。
この成分は、ヘアケアのリンス剤に使われる第四級アンモニウム塩の陽イオン(カチオン)界面活性剤です。
柔軟剤効果を高める他にも、シリコーン自体に帯電防止(静電気防止作用)がないので、あえて帯電防止剤として添加しているようです。
カチオン界面活性剤は、他の界面活性剤(例えば、陰イオン、非イオン、両性イオン)に比べて刺激性や毒性が高い傾向があります。第四級アンモニウム塩に分類されているものは、特に作用が強く出がちです(質問のところで解説します)。
ポリクオタニウム−6の場合はポリマー化※して、刺激性は穏やかになっているものの、肌の弱い人は避けたほうがいい成分にはなります。
※ポリマー化とは、一つの化学構造の成分が数個から何百個というように連なってできたもの。比較的ポリマー化したカチオンは、肌への作用が穏やかだとされています。
⇒参照:陽イオン界面活性剤とは何?
肌の弱い人は、本来ならば、柔軟剤が無いほうがいいとは思います。それでも、布のゴワゴワ、チクチク感が気になって柔軟剤を使いたい人もいるのも事実です。
香料は入っているようでしたが、それほど強い芳香ではないようでしたし、市販によくある柔軟剤に比べたら「シリコーン」主体で肌刺激は軽減された商品になったのではないかと。アトピーや肌が弱い人には比較的良い商品だったと思います。
しかも、シリコーンが吸着肌触りをよくするので、繊維のゴワゴワ、チクチクを軽減できたのではないでしょうか(私自身使ったことがないので)。
ケアベール柔軟剤の代替品探しのお問い合わせの内容と回答をご紹介します(一部改変)。
肌に優し柔軟剤選びのヒントにもらえたらうれしいです。
ケアベール柔軟剤の代わりになる肌に優しめの柔軟剤はありますか?
1.柔軟剤の成分について
Q. 柔軟剤の成分で、カチオン(陽イオン)界面活性剤 第三級アミン塩が入っているものは肌に優しいのでしょうか?
はじめまして。肌にやさしい柔軟剤を探していたところ、こちらのサイトの存在を知りました。
ケアベール柔軟剤を愛用していましたが廃盤となり、代用できる商品を探しています。
第三級アミン塩 アルキルイミダゾリン型カチオンは肌にやさしいと書かれているのを見ましたが、実際にどうなのかもわからないのです。
A. カチオンの中でも、第三級アミン系は肌に優しい柔軟剤になります。
カチオン界面活性剤は界面活性剤の中では毒性が強いものが多く、柔軟剤以外にも殺菌剤に使われている成分もあります。
特に、第四級アンモニウム塩(別名:第四級アンモニウムカチオン)タイプのものは、強力な殺菌作用を持ったものが多くあります(例えば、塩化ベンザルコニウムという殺菌剤成分)。
殺菌作用を発揮するだけならいいのですが、ヒトの皮膚への吸着後、皮膚を痛める原因となる場合もあります。
カチオン界面活性剤は、(プラス:+)の静電気を帯びています(正電荷を帯びているともいいます)。
ところが、細菌や人の皮膚にある細胞膜はリン脂質といった膜に取り囲まれてマイナス(−)の静電気を帯びていて、カチオン界面活性剤とは反対の性質となっています。
+と−とで、相反する静電気の場合だと互いに引き寄せあうため、陽イオン界面活性剤は皮膚に吸着します。
単に表面に吸着するだけだったらいいのですが、毒性が強いものだと細胞膜を傷つけたりする恐れがあります。
特に第四級アンモニウム塩ダイプは、周囲の環境(pH)が変化しても陽イオン界面活性剤の作用を出し続けて、強力に吸着してしまう性質があります。
第四級アンモニウムカチオンの構造式
※R部分は、界面活性剤の種類で変わってきます。
上の構造式のようにN(窒素)の部分が陽イオン化(N+)しているからです。
皮膚へのダメージを少なくするために、柔軟剤やリンス成分に使われている第四級アンモニウム塩の原料は、脂肪酸を長くしたり、構造を改変するなど、毒性がかなり弱められているように作られていますが、皮膚刺激性の懸念ががあります。
それに対して、第一級、二級、三級アミン塩タイプのカチオンタイプの界面活性剤は、常にイオン化しておらず、不安定な性質があります。
水のpHの変動によって代わりやすいので、皮膚への吸着が弱く皮膚にマイルドです。
また、微生物の分解性も比較的よいとされています(第三級のアルキルイミダゾリン型カチオン)。
ただし、第三級アミン塩タイプでも皮膚に吸着する性質は0ではないので、できれば肌の弱い方は柔軟剤を使わないほうがいいかと思います。
その他、両性イオン界面活性剤タイプも皮膚への作用が穏やなので、ベビータイプの柔軟剤に使われています。
参照:両性イオン界面活性剤とは、どんな性質?
2.肌に優しい柔軟剤について
Q 肌にやさしい柔軟剤を、いくつかご紹介いただけませんか?
肌にやさしい柔軟剤を、いくつかご紹介いただけませんか( メーカーはどこでも)。
洗濯機はドラム式ですが、乾燥は行ないません。
また、香りが強く残らないタイプが希望です。
A 第四級アンモニウム塩タイプ以外のカチオン、もしくは両性イオンタイプをいくつか紹介します。
ご連絡いただいた界面活性剤の種類について回答します。
肌に優しい第三級アミン塩タイプの界面活性剤で無香料(匂いがしない)ということでしたら、「ラ コルベイユ オーガニック ランドリー 」が該当します。
また、第一級アミンのキトサン配合の「チュチュベビー柔軟剤」もあります。
香りも穏やかな微香性のものとしては、ハッピーエレファント、マイランドリー、ベビーファーファという柔軟剤も該当いたします。合わせて簡単な内容成分も含めて記載しておきます。
なお、肌に優しい柔軟剤の詳細は、下のリンクを参照にしてくださいね。
【三級アミン塩タイプ アミド型アルキルアミン塩のもの】
・ラ コルベイユ オーガニック ランドリー (柔軟剤) 600mL
無香料タイプ、オーキッド
成分:界面活性剤(アミド型アルキルアミン塩)タイプ
・商品レビューと成分の説明についてはこちら
・マイランドリー ホワイトコットンの香り 500mL
香り:ホワイトコットン、ココナッツ、ジャスミン、バラ、ムスク
柔軟成分:界面活性剤(アミド型アルキルアミン塩)
第三級アミン塩タイプの柔軟剤。マイランドリーは無香料タイプが無いのが残念。
第三級アミンタイプの柔軟剤は、肌への作用が穏やかであるものの、市販によくある第四級アンモニウム塩に比べて柔軟剤としての効果は少し控えめなところがあります。
第三級アミン塩タイプではありませんが、両性イオン界面活性剤タイプもご紹介します。
【両性イオンタイプアルキルイミダゾリン型カチオンのもの】
・ベビーファーファ濃縮柔軟剤
柔軟成分:アルキルイミダゾリン型カチオン、安定化剤、ベルガモット精油配合(かすかに、においがする程度)
両性イオンタイプの柔軟剤。両性イオンタイプは第三級アンモニウム塩タイプに比べると柔軟作用が弱めとされていますが、こちらの商品は意外と肌触りがいい印象。
香料が気になりますが、肌が敏感な赤ちゃんにも安心して使えそうな商品です。
商品の詳しい成分はこちら(今現在、成分内容だけですが、近日使用感の写真を掲載予定です)。
ベルガモット精油の成分について記事を書いています。化粧品表示では、ベルガモット精油は「ベルガモット果皮油」に変わります。
【両性イオン+第一級カチオン キトサン配合のもの】
・ハッピーエレファント 柔軟仕上げ剤 本体 600mL
香り:ラベンダーなどの天然香料で、微香性。乾燥すると、ほとんど無臭になる。
柔軟成分:大豆レシチン(柔軟成分)、キトサン(柔軟性分)
柔軟成分に、食品添加物で使える天然素材を使用したもの。両性イオンの大豆レシチンと第一級カチオンであるキトサンとの相互作用で柔らかく仕上げます。
商品レビューと成分の説明についてはこちら。
ラベンダーの成分について書いています。
【第一級カチオン キトサン配合のもの】
チュチュ 柔軟剤 400ml
香り:無香料
柔軟成分:ポリアミンポリアミド系(キトサン)
赤ちゃん向け柔軟剤。天然素材の柔軟成分使用したもの。肌なじみのよいキトサンで赤ちゃんにも安心して使えます。柔軟剤作用が緩やか。
・商品レビューと成分の説明についてはこちら