マンダリンオレンジ果皮油とはどんなもの?
マンダリンオレンジの皮を圧搾して抽出した天然精油成分になります。
マンダリンオレンジそのものは分からなくても、なんとなく甘みのある柑橘系の香りが成分だということは想像できるのではないでしょうか。
ちなみに、化粧品の中に配合されている成分もアロマテラピー、アロマポッドで使われているエッセンシャルオイルとほぼ同一内容の内容になります。
どういった性質があるのか詳しく見ていきましょう!
★ 使用用途別の表示
用途 | 表示名 |
化粧品の成分表示 | マンダリンオレンジ果皮油 |
医薬部外品(薬用化粧品)の成分表示 | |
INCI名(化粧品成分の国際名称、英語表記) | Citrus Nobilis (Mandarin Orange) Peel Oil |
★化粧品原材料のまとめ(分類、用途、主要な成分の構造と由来)
成分の分類 | 香料(植物精油、エッセンシャルオイル) |
化粧品での配合目的・用途 (米国パーソナルケア製品協議会で名称登録時の用途 ) |
香料、皮膚コンディショニング剤(未分類) |
香りの特徴 | 適度な酸味と甘く芳醇な柑橘系の香り |
期待される効果・作用※ 期待される主な効果・作用※( *文献 2,3,4 一部参照) |
鎮静、自立神経調節、不安の解消、血流促進、抗炎症作用、抗菌、ニキビ対策、抗ウィルス対策 等 |
構造 |
一番多い香料成分:d-リモネン(約70%) |
主産地( *文献 2 参照) | イタリア・中国・アルゼンチン |
成分の由来原料(基原) | マンダリンオレンジ(学名:Citrus reticulata Blanco, 異名 Citrus Nobilis )の果皮(皮の部分)を圧搾して抽出したもの |
※文献を参照していますが、医薬品のように症状の改善が確実に保証されたものではありません。参照程度に留めておいてくださいね。
(参照文献 *1,2,3,4 )
精油の香料成分について
他の柑橘系と同じ様に香料成分の9割は、モノテルペン炭化水素になります。
特に多いのが、d-リモネンで、7割含まれています。
★主な芳香成分
[モノテルペン炭化水素]
d-リモネン 65.3-74.2%
γ-テルピネン 16.4-22.7%
α-ピネン 2.0-2.7%
[微量成分]
β-ミルセン
p-シメン
α-ツジェン
テルピノレン
(参照:参考文献*5 精油の安全性ガイド 第2版記載、1996年Lawrenceらのデータより )
さらに不揮発性の化合部としてフロクマリン類も含まれています。
[フロクマリン類]
ベルガモチン 0-0.001%
ベルガプテン 0-0.0003%
(参照:参考文献*5 精油の安全性ガイド 第2版より)
安全性について
動物実験において高濃度のものを使用した際には、刺激性が現れた報告がありますが、低濃度のものについては、リスクは比較的低い原料です。
ところが主成分のd-リモネンといったモノテルペン類が酸化した場合、皮膚感作(アレルギー性)反応がでやすくなるという報告があります(参考文献 *5)。
通常1%未満程度しか化粧品の香料成分は配合されないので、アレルギーのリスクは低いものと考えられますが、開封後いつ空けたのかわからなくなってしまったものについては酸化を避けるためにも使わないほうがいいのかもしれません。
柑橘系天然香料には光毒性があるものが多く報告されていますが、このマンダリンについては光毒性に関わるフロクマリン含量が少ないので、原液のように濃いものを使わない限り心配することはほとんどないとされています。
(参考文献 *2, 3 , 5)
参考文献
*1)日本化粧品成分表示名称事典 (2013年) 日本化粧品工業連合会 (編集)
*2)三上 杏平 (2008年) エッセンシャルオイルの作用と安全性を図解
*3)和田 文緒 (2008年) アロマテラピーの教科書―いちばん詳しくて、わかりやすい!
*4) Ané Orchard and Sandy van Vuuren (2017) Commercial Essential Oils as Potential Antimicrobials to Treat Skin Diseases, Evid Based Complement Alternat Med p1-92 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5435909/