ティーツリー油とはどんなもの?

ティーツリー油等のエッセンシャルオイルイメージ図

 

ティーツリー油は、植物由来の天然香料成分です。

「ティーツリー」ってアロマテラピーやアロマポットといった、エッセンシャルオイルを扱っているのであれば一度は耳にしたことのある成分ではないでしょうか。

ちなみに、化粧品原料で使われているティツリー油とアロマテラピーで使われている精油成分のティーツリーオイル(Tee tree oil)と同じ成分内容のものになります。

どういった性質があるのか詳しく見ていきましょう!

 

★ 使用用途別の表示

用途 表示名
化粧品の成分表示 ティツリー油
医薬部外品(薬用化粧品)の成分表示
INCI名(化粧品成分の国際名称、英語表記) Melaleuca Alternifolia (Tea Tree) Leaf Oil

 

★化粧品原材料のまとめ(分類、用途、主要な成分の構造と由来)

成分の分類 香料(植物精油、エッセンシャルオイル)
化粧品での配合目的・用途
(米国パーソナルケア製品協議会で名称登録時の用途 )
酸化防止剤、香料
香りの特徴 ユーカリのような鋭くフレッシュな香り
期待される効果・作用
(アロマテラピーの教科書 より一部参照 *文献3)
副交感神経を強壮、鎮静、集中力の強化、抗菌、抗真菌、防虫、抗ウィルス、皮膚の炎症、頭皮のかゆみを抑える 等
構造

テルピネン-4-オールの構造

(引用:KEGG テルピン-4-オール
最も多い香料成分:テルピン-4-オール

主産地 オーストラリア、中国
成分の由来原料(基原) ティーツリー(学名:Melaleuca alternifolia Cheel)の葉から水蒸気蒸留で抽出

ティーツリーとはどんな植物?そしてどうやって精油はどうやって採取するの?

植物について

オーストラリアに古くから自生するフトモモ科の植物になります。

ティーツリーを英語で表記すると「tea tree」となるので、お茶にする植物かと思うかもしれませんが、精油にするティーツリー(学名:Melaleuca alternifolia)はお茶にはません。

ではなぜ、ティーツリーと呼ばれるようになったかというと、オーストラリアでは斑点があるフトモモ科の植物全般をティーツリーと呼ぶ風習があったらしく、お茶で煮出す「マヌカ(学名 Leptospermum scoparium、マヌカハニーの関連材料)」という同じフトモモ科の植物があったからです。

 

精油で使われている「ティーツリー」は、古くから先住民族のアボリジニーたちが皮膚病やケガの治療で泥と混ぜて使っていたようです。

それが西洋に渡り、1940年台には「英国薬局方」に記載されるようになるほど効果的な植物として知られるようになりました。

ちなみに小さめな針のような葉の植物で、8mぐらいの高さになります。

ティーツリー樹木写真

 

春には、小さく白い花が群がって咲きます。

ティーツリーの花

Photo credit: Tatters ✾ on Visual hunt / CC BY-NC-ND

(参照文献 *5,6 )

 

精油の採取方法とは

化粧品で使われているティーツリー精油成分は、葉っぱから採取されたもで、水蒸気蒸留という手法で抽出されます。

方法を具体的にいうと、高温の水蒸気によって細胞を破壊させ、含まれる水分と油分を気化させた後、冷却し油分のみを回収したものになります。

ちなみに、回収されるオイル量は原料全体の1-2%といわれています。

(参照文献 *4, 7 )

 

ティツリー油とはどんな成分が含まれているの?

ティーツリーに含まれている成分は、一説では100種類以上の化合物があるともいわれて(参考文献 *)

その中で主要成分を抜粋しました。

[モノテルペンアルコール]

  • テルピネン-4-オール 35%

[モノテルペン]

  • テルピネン-4-オール 35%
  • γ-テルピネン 20.1%
  • α-テルピネン 9.6%
  • テルピノレン 3.5%

[オキサイド系]

  • 1,8-シネオール 3.1%
  • 微量成分(3%以下の微量成分)
    α-テレピネオール
  • p-シメン
  • α-ピネン
  • d-アロマデンドレン
  • レデン
  • δ-カジネン
  • d-リモネン

(参照文献 *2:精油の安全性ガイド 第2版より1997年Southwellらのデータ参照)

 

含量については、時期や採取された地域によって結構変動があります。
例えばテルピネン-4-オールのISOの規格値は、30〜48%というように結構変わってきます。

ちなみにティーツリーの主要成分は「テルペン」といった炭化水素類やアルコール類が多く含まれています。

テルペンとは二重結合を2つ持つイソプレンを構成する炭素の総称のことで、植物精油の芳香主成分としてよく検出される化合物です。

テルペンの詳細について(ウィキペディアへ)

 

芳香の他にも油を溶かし込む性質があるので、比較的肌には浸透しやすい性質があります。
他の化合物も合わせて浸透させてしまうことがあるので、肌に塗布する量も制限されることが多い理由の1つになります。

 

ちなみに、オレンジやグレープフルーツといった柑橘系の主要成分である「d-リモネン」もテルペン類になります(ティーツリーも)。この油をよく溶かし込む性質を利用して化粧品だけではなく、洗剤に使われています。

「リモネン」はそもそも芳香成分なので、オレンジのいい香りがして掃除が楽しくなります。

d-リモネンが含まれているグレープフルーツ果皮油とは

・d-リモネンを活用した洗剤は結構出回っています。

ティツリーの作用について

香りについて

ユーカリと同じフトモモ科の植物であることからユーカリによく似て力強く爽やかで心が落ちく香りがします。

副交感神経を増強させ、慢性的な疲れを取り除く作用もあります。

また、集中力をあげたいときにも効果的です。

(参考文献 *3)

肌への作用

ティツリーに最もよく含まれている成分は、テルピネン-4-オール。抗菌性、抗真菌、抗炎症性の作用があることが知られています。

さらに他のモノテルペン類なども作用して、頭髪のかゆみやニキビを防ぎ、改善することが報告されています。

抗真菌作用があるので、脂漏性皮膚炎対策や水虫対策に有効です。

(参考文献*8,3)

体の他の部位への作用

感染症予防

抗菌、抗ウィルス作用があるとされ、呼吸器系の感染症予防対策、例えば、風邪やインフルエンザたものに役立ちます。

免疫系を刺激する作用が知られているので、感染後でも症状を和らげることが期待されます。

抗ガン作用

主要成分であるテルピネン4オールは 大腸がん細胞株、白血病細胞株といったがん細胞株の細胞死を誘導させ、有用な抗ガン作用があることが実験的に確認されています。

※海外では医療用としても使われている成分ですが、化粧品原料に配合されているものは、臨床的に効果が確認されているものでありません。確実に症状が改善されるものではないことを念頭に読んでくださいね。

(参考文献 *3,8,9)

 

化粧品での用途

入浴剤、セッケン、洗顔フォール、シャンプーなど多数の化粧品で使われています。

また、化粧水、乳液、さらにはファンデーションといった洗い流さない製品にも使われています。

抗菌性があることからナチュラル系の洗濯洗剤にも配合されていることがあります。

 

配合している製品

化粧品

オールインワンジェル
気になる口周りのニキビには【メルライン】

オールインジェル
乾燥がひどすぎるため肌ストレスから解放されたい【バリアバランス保湿ジェル】

ボディ用ゲル
美背中ケアゲルSARASUBE

 

洗濯洗剤

ハッピーエレファント柔軟剤

ハッピーエレファント柔軟剤の使用感レビューはこちら

ハッピーエレファント洗濯洗剤

エッセンシャルオイルを購入して使う場合

化粧品原料は個人で購入することは少ないと思いますが、参照にエッセンシャルオイルを使うときの配合量を記載しておきます。

肌につける場合は、基剤(例えばオイル成分や水性成分)に対して、1〜2%までの濃度で添加します。

基剤10 mLに対して、2滴(1滴 0.05 mL)が目安です。

そして、敏感肌の場合は必ずパッチテストをしてつかいましょう。

開封したら酸化を防ぐために1,2か月で使い切りましょう。

(参照文献*5)

 

安全性について

 

使用量内であれば、皮膚感作性や皮膚刺激のリスクは少なく、ほとんど起きないことが報告されています( 参考文献*2 精油の安全性ガイド 第2版より)。

ただし、肌の弱い方には感作性(アレルギー性)や皮膚刺激があることがいわれています。

1,8テルピノールが皮膚刺激の原因成分だとされていますが、本当かどうかは疑問視されています(精油の安全性ガイド 第2版より)。

 

精油成分が古くなったり、酸化したものは、そのリスクが増大することが報告されています。

化粧品については酸化防止剤、防腐剤などが配合されて、無開封の状態では3年間は使えるようになっていますが、明らかに3年以上古くなった化粧品は使わないほうがいいでしょう( 参考文献*2 精油の安全性ガイド 第2版)

 

ティツリーの最大皮膚使用濃度は、15%とされています。基本的には、化粧品に配合されているほどんどの商品は1%未満が多く、ほとどど皮膚刺激が起きることがありません。

ですが、肌のバリや機能が低下している場合には刺激物質となる可能性は否定できませんので、万が一なんらか異常があった場合は使用を中止してくださいね。

(参考文献 *2)

 

参考文献

*1)日本化粧品工業連合会 (編集)(2013年) 日本化粧品成分表示名称事典

*2)岸田 聡子 林 真一郎 (監修), Robert Tisserand (原著), Rodney Young (原著), 池田 朗子 (翻訳), 八木 知美 (翻訳) (2018年) 精油の安全性ガイド 第2版

*3)和田 文緒 (2008年)アロマテラピーの教科書―いちばん詳しくて、わかりやすい!

*4)三上 杏平 (2008年) エッセンシャルオイルの作用と安全性を図解

*6) 化粧品成分用語事典(2012) 鈴木一成 P265

*7)Carson CF1, Hammer KA, Riley TV. (2006 ) Melaleuca alternifolia (Tea Tree) oil: a review of antimicrobial and other medicinal properties.Clin Microbiol Rev. Jan;19(1):50-62<https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16418522>(2019.2.4アクセス)

*8) Pazyar N1, Yaghoobi R, Bagherani N, Kazerouni A (2013 ) A review of applications of tea tree oil in dermatology. Int J Dermatol. 2013 Jul;52(7):784-90.<https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22998411> (2019.2.4アクセス)

*9)中山 健 (2017) テルピネン4オールは活性酸素種により大腸癌の増 殖を抑制する, 筑波大学博士論文

 

 

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