コメヌカスフィンゴ糖脂質とは何?
コメヌカスフィンゴ糖脂質とは、コメから抽出される糖セラミド(グリコシルセラミド)になります。
「セラミド」と聞いたら、「肌の保湿剤!」ってなじみが深いものになりました。
ヒトのセラミドとは構造は違いますが、似たような作用あります。
しかも保湿以外にも様々な作用が見つかっています。
どんなものなのか、見ていきましょう!
★ 使用用途別の表示
用途 表示名
化粧品の成分表示 コメヌカスフィンゴ糖脂質
コメヌカ油
医薬部外品原料規格表示の名称 コメヌカスフィンゴ糖脂質
コメヌカスフィンゴ脂質の特徴まとめ
化粧品の分類 油性成分(機能性油性成分)
成分の種類 糖セラミド(グリコシルセラミド、セラミド前駆体)
作用・用途 保湿剤、肌荒れ防止剤、細胞賦活化剤
保湿効果 ○(保湿作用は高い)
構造
グルコース
セラミドにグルコースがついた「グリコシルセラミド」という構造。
※コメ由来の場合、セラミドの構造が少しだけ変わります。
原材料(成分の由来) 天然由来原料:コメ(発酵して抽出)
コメヌカスフィンゴ脂質の化粧品での作用、特徴
化粧品では、お肌の保湿目的で配合されているもので、バリア機能に関わっているセラミドに似たような働きをします。
水分が蒸発するのを防いだり、外部の化学物質、アレルギー物質の刺激などから、肌を保護します。
ヘアケア商品にも配合され、頭皮や髪の毛の表面を保護します。
コメヌカスフィンゴ脂質は、コメから採取された植物セラミドの一種に分類されるものです。
植物セラミドは、コメの他に各社メーカーから様々な植物由来のものがでています。
★植物セラミド例★
化粧品表示名称 | 原料 |
コンニャク根エキス | こんにゃくセラミド |
ヒマワリ種子エキス | ひまわりセラミド |
ユズセラミド | ユズセラミド |
ピーチセラミド | ももセラミド |
基本的にはどれでも保湿作用はありますが、植物ごとで作用が違うようです。
詳細は後ほど…
ちなみに、植物セラミドを構造で分類すると、「糖セラミド」というグループに分けられます。
ヒトの角質にある「セラミド」とは構造がほんのすこし違うものになります。
どういう風に違うかというと、セラミドにつくられる前の前駆体物質で、「セラミド」にグルコースがついた糖セラミド(グルコシルセラミド)という構造になっています。
↓下図参照
★スフィンゴ糖脂質の場合
+
糖セラミドの「スフィンゴ糖脂質」は、親水性のスフィンゴイド塩基(茶色部分)と親油性の脂肪酸部分(緑色)からなる「セラミド」に「糖」であるグルコース(ブドウ糖)が結合したものです。
(それぞれ別の図に別れていますが、セラミドの左端のーOH部分とグルコースの右端の-OHが結合したものになります。)
コメヌカスフィンゴ脂質には、20種類ぐらいセラミドの構造が違うものが混在していますが、95%は1種類のもので占められています。
こちらが「セラミド」になります。
↓
★セラミドの構造
グルコースはついていません。
肌バリア機能改善や保湿作用は、どちらかといえばヒトの肌に含まれている「ヒト型セラミド」と同じ構造のもののほうが実感しやすいとされています。
そういうこともあって、かずのすけ氏の著書 オフスキンケア(*1 参考文献)によると、「ヒト型セラミド」の種類をまんべんなく多く配合されたものがスキンケアに適しているとか。
ところが、コメヌカスフィンゴ脂質は、ヒト型セラミドにはない作用があることが見つかっています。
スフィンゴ脂質の作用について
肌への作用
◎保湿作用
◎ヒアルロン酸産生促進(皮膚のバリア機能強化)
◎アトピー性皮膚炎の緩和
◎メラニン生成を抑制・メラニンを合成するチロシナーゼ活性の阻害
◎線維芽細胞の増殖促進(シワの抑制につながる)
体内での作用
◎がんの抑制
◎免疫賦活化作用
◎中性脂肪の分解
(*1,2,3 参照文献)
★コメヌカスフィンゴ脂質の作られ方と原料の性状
米麹、米胚芽をこうじ菌で発酵をさせた後に、油を溶かす溶液で抽出して採取される、天然のバイオ原料になります。
抽出した原材料は水となじみにくい性質があるので、
「大豆リン脂質、BG、エタノール」や、「リゾレシチン、水添レシチン」といった緩やかな界面活性剤を使って化粧品に配合しています(*1,3 参考文献)。
もちろん配合した場合には、成分表記にも記載されます。
最近の化粧品の傾向としては、なるべく添加物を入れない方向に向かっています。
予め水に溶けやすい「シクロデキストリン」といったもので加工処理をしたり、「水溶性セラミドRC」や「コメセラミド水」といった予め水溶液の状態になっている原料もあります(*1,3 ,5 参考文献)。
・シクロデキストリン水溶性化の成分例
原材料 オリザセラミド®-WSPC(*6 参考文献)
成 分
含有量
マルトシルシクロデキストリン 60
シクロデキストリン
ジマルトシルシクロデキストリン
マルトース
コメヌカ油 37 %
グルコシルセラミド 3 %
合 計 100 %
保湿剤なので配合する量は、メーカーごとで異なるが、商品中において〜1%程度ではないかと予想されます。