殺菌してもニキビは治らない?むしろ悪化するのはなぜ?
ニキビは、アクネ菌(p. acnes , プロピオにバクテリウム アクネス)という細菌が毛穴で異常増殖し、毛穴内部で炎症が起きるものです。
発症すると膿ができ、化膿した状態になるので、見た目も悪くなり厄介なものです。
アクネ菌が異常繁殖してしまう根本的な原因は、毛穴づまりによって菌の餌となる皮脂が貯まることによるものになります。
アクネ菌はニキビの原因菌とされており、悪者のイメージが定着されていますが、アクネ菌自体は、肌の健康を保つための皮膚常在菌の一種で、誰の皮膚にも住みついている菌になります。
しかも、皮脂成分の脂質を分解して酢酸やプロピオン酸等の有機酸(短鎖脂肪酸)を作り、皮膚表面を弱酸性にして病原菌などの定着を防いでいます。
さらに、同時にできるグリセリンは皮膚にうるおいを与えたり、他の常在菌の餌となります(アクネ菌自体の餌にもなりますが…)。
※アクネ菌にも善玉菌、悪玉菌の2つのタイプがあるということが(亜種ということでしょうか?)….善玉のアクネ菌は肌を弱酸性することに関与しますが、悪玉は毛穴の中で増殖し、ニキビに関与するようです。(詳細な文献に行き着かなかったのですが、参考に記載します ※参考サイト1)
しかしながら、悪玉だけとか選り分けるのは難しいですよね。
アクネ菌が異常繁殖して肌に悪い影響を与えているとはいえ、肌自体には貢献しているものなので、殺菌剤等で菌を根こそぎ排除したら悪い影響がでてくるのが容易に想像できます。
また、殺菌効果があるものを使えば、他の皮膚を健康に保つ皮膚常在菌も同時に死滅してしまい、皮膚環境の悪化につながっていきます。
アクネ菌は酸素が存在するとこでも行きていけますが、通常は嫌気性細菌と言って酸素が無いところで増殖します。
しかも異常増殖する場所は毛穴が塞がった奥深くにいます。
殺菌剤をつけてもニキビに関与する菌に行き届きにくいのではないでしょうか。
また、皮脂を落とす目的で何度もキツイ界面活性剤を使って何度も洗ってもニキビを作っているアクネ菌の排除は困難です。
殺菌剤や過度の洗顔は皮膚環境の悪化し、皮膚のバリア機能低下による肌荒れや皮脂の分泌が過多になりやすい状態になってしまいます。
これでは、逆にニキビは改善するどころか悪化してしまいます (*参考図書1)。
そもそもニキビの原因となる毛穴づまりが起きるのは..
アクネ菌が関わっていますが、根本的なニキビの原因は毛穴づまりです。
毛穴づまりが起こる原因は皮膚の炎症を起こす一次刺激性物質(⇒一次性刺激物質とは)に触れたり、皮膚のターンオーバー以上によって毛穴の中に角質が次々と剥がれ落ち詰まっていくことによるものです。
ちなみに過剰な皮脂の分泌が原因で起こる事が言われていますが、皮脂そのものがニキビの原因ではありません。
アクネ菌を始めとする皮膚の常在菌が皮脂を分解されると、酢酸やプロピオン酸などの小さな有機酸(短鎖脂肪酸)の他に中鎖のステアリン酸といった遊離脂肪酸が作られます(アクネ菌やマラセチア菌がとりわけ関与しています)。
この遊離脂肪酸は皮膚の炎症を起こす一次性刺激物質となるもので、皮脂の過剰分泌とともに量が増大し、皮膚の異常剥離、さらにはニキビを作る原因となります。
※一部こちらで改定しましたが、「何もつけない」美肌術 (*参考図書2)でのニキビのでき方とは…
皮膚に対して悪影響のある一次刺激性物質(⇒一次性刺激物質とは)と触れると毛穴の中で角質が次々と剥がれ落ちる(角質)。
2.毛穴が角質で塞がれる
角質が排出されず、毛穴の出口が塞がると、毛穴の内部、皮脂腺の中に皮脂がとどまり、空気に触れない状態になる(嫌気状態)。
3.皮膚の内部で炎症が起こる
嫌気状態になるとアクネ菌が増殖しやすくなり、毛穴の内部、皮脂腺が菌の分解物によって刺激をうけます。
また、異常増殖した菌を排除するためにに毛穴細胞から分泌される免疫性サイトカイン(インターロインキン1α等)によって炎症が起きます。
そして、壊死物質がたまり、化膿が起きるとニキビになる *参考サイト2。
ニキビの原因となる毛穴づまりをおこなさい為には。
何もつけない美肌術では体内ホルモンは皮膚環境に影響しないと記載されていましたが、明らかにホルモンバランスが変わる思春期の肌では皮脂分泌が過多になりニキビが増えるのが事実です。
また、ストレスなどによって、ホルモンバランスに影響を受けると皮脂分泌が増えます。
皮脂分泌が過多になるとこれまでご説明してきたようにアクネ菌が繁殖しやすい環境になり、毛穴づまりが起きやすくなります。
また、胃腸の状態が悪いと腸での栄養吸収が悪化し、栄養不足で皮膚のターンオーバーが上手くいかず、皮膚の角化異常が起きやすくなります *参考サイト3。
※腸内環境が悪化すると、腸内の善玉菌から作られるビタミンB2とB6の産生量が低下気味に。
B2とB6は、皮脂の過剰分泌を抑える役割があります。
身体の内側からの原因の場合は、ストレスをできるだけ貯めずに適度に栄養のある食事を取り、睡眠を十分取る等、健康的な生活を送るのが一番です。
(栄養を十分満たした食事を取るのが難しいので、サプリメントも活用してみてもいいかもしれません。)
ニキビが出来たからといって、殺菌剤入りの洗顔や過度の洗顔は逆効果に。
皮膚の常在菌バランスが崩れやすくなり、ニキビが悪化する原因となります。
お湯洗いだけの洗顔や洗顔剤を使ってもできるだけ少量で肌への刺激の少ないものを使って、繰り返し洗いすぎないことを心がけた方がいいかと思います。
皮脂が過多状態になっても皮膚の常在菌によるバランスが維持できれば、ニキビができにくい環境になります。
また、化粧品に含まれる原料が一次性刺激物質となり角化異常を引き起こしたり、アクネ菌の餌となって、アクネ菌が異常繁殖することもあります。
※化粧水に含まれている保湿剤のグリセリンやD-グルコースなどの成分がアクネ菌を増やしたという報告があります *参考サイト4。
基本的にニキビや肌荒れが起きている場合には、化粧品を避けたほうがいいかもしれません。
どうしても使いたいいう場合は、微生物の餌とならず、皮膚に刺激を与える酸化脂質に変化しないワセリンやスクアレンといった単体のものを少量顔につけるのをおすすめします。
(ワセリン自体はニキビに悪影響を与えるものではありませんが、毛穴をふさぎ、アクネ菌が繁殖し易い環境を作ってしまう恐れがあるので、あくまで少量を使って様子をみて使ってくださいね。スクアレンなども同様です。)
あと、ニキビを触ったり、肌に日常的に肌に触るのもNG.
物理的刺激を与えて悪化する原因ともなりますし、何よりも手についた一次性刺激物質を肌につけてしまいます。
最初は心がけることが多いかもしれませんが、慣れたら問題なくニキビケアができる範囲ではないでしょうか。
自分にあったスキンケアを見つけてくださいね。
【参考文献、参考サイト】
参考図書1 間違いだらけの化粧品選び
間違いだらけの化粧品選び 自分史上最高の美肌づくり (リンダパブリッシャーズの本)
参考図書2「何もつけない」美肌術
参考サイト1:ニキビ研究所
http://www.aizawa-hifuka.jp/acnecare/acnecause/bacteria/acnes/
参考サイト2:メナード 皮膚常在菌「アクネ菌」の研究
https://corp.menard.co.jp/research/tech/tech_04_05.html
参考サイト3:摩耶堂製薬 和漢コラムニキビの治し方
https://www.mayado.jp/library/acne/agonikibi-ichou.html
参考サイト4:サティス製薬 プレスリリース(2009年5月)
http://www.saticine-md.co.jp/release/20090519.html(リンクが切れてしまいました)
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