皮脂が取れにくい石けんはあります。
石けんの原料である油脂の種類によって、
皮脂の取れやすさが変わってくることを前回お伝えしました。
前回の記事の内容石けんのススメ11
例えば、牛脂(主成分ステアリン酸)配合の石けんは、
皮脂の成分”スクアレン”を落とす反面、
角質層の油分(コレステロール)は保持されるそうです。
石けんをうまく活用すれば、
それほど手肌を荒らさずに洗浄ができそうです。
しかし、お肌が弱っている方や使いすぎには刺激になることがあります。
それは、なぜでしょうか。
石けんの使いすぎはよくない?
石けんを短時間だけなら、
界面活性剤成分が付着しにくく、
比較的安全に使用できることをお伝えしました。
また、工場で精製されて作られた石けんは、
アルカリ性でも皮脂によって、
pHは元に戻ります。
ところが、石けんで念入りに洗うことが日課になっていた場合、
困った問題が起きます。
それは、”皮膚の常在菌のバランス”が崩れたり、
石けんの成分が分解されずにとどまってしまうからです。
皮膚の常在菌のバランスが崩れるとは。
人の皮膚表面は、皮脂で保護されている以外に、
様々な細菌(常在菌)が住み着くことによって、
悪影響をもたらす菌や物質から保護します。
石けんを長期間、念入りに使うことによって、
常在菌が減少しやすい環境になるようです。
その結果、石けんの成分を分解したり、
皮脂の成分を分解する細菌が減少して、
肌に刺激を与える物質が残ってしまいます。
そうすると、炎症などが起きやすくなってしまいます。
普通の石けんの場合は、
菌に対して、”殺菌”というよりは、”除菌”の役割を担います。
菌を洗い流すという役割です。
ちなみに石けんで汚れを落とすと、
短い間でも95%、薬用と書かれた石けんでは98%除菌されたそうです (*2)。
通常は、菌は減っても再度増えてきます。
(確かに、お風呂などでも幾分か菌は減ります。)
ところが石けんの場合は、
除菌された後にpHの変化などがあり、
菌のバランスはなかなか戻りにくい環境になるようです。
過度に石けんに触れていたら、さらにバランスが元に戻りにくいのではないのでしょか。
ちなみに、陽イオン界面活性剤という種類は、
”除菌”というよりは、”殺菌”の役割を果たします。
細菌の細胞壁にくっつけることによって、殺菌します。
殺菌剤として有名なのは、塩化ベンザルコニウムです。
どちらかと言えば、陰イオン界面活性剤よりも
”陽イオン界面活性剤”という種類の界面活性剤を
長期間使用した方が皮膚に影響が大きいと思われます。
(殺菌剤で使われているものよりも作用が弱いですが、
リンス剤や柔軟剤でよく汎用されています)
皮膚の常在菌が減って、
肌に刺激を与える物質ってどういったものでしょうか。
解決するにはどうしたら良いのでしょうか。
*1)石けん百科 「洗顔石けんの選び方」
http://www.live-science.com/honkan/jissen/senganerabi.html
(2016-6-1 閲覧)
*2) 石けん百科 「石けんで除菌はできますか?」
(2016-6-2 閲覧)