脂肪酸は有害なのでしょうか?

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前回の美肌には微生物が必要ですにて、

皮脂から出る脂肪酸や石けん内の未反応の有機酸成分が
お肌に吸着されたときに刺激物質となりうることをお伝えしました。

脂肪酸が分泌されているのにもかかわらず、
皮膚にトラブルがない状態なのは、
皮膚ににいる特定の微生物たち(”皮膚常在菌”)が分解しているからです。

 

分解して得れれた産物を餌とする微生物がいたり…と、
お互いに常在菌は共存してバランスを保っています。

脂肪酸の一種のステアリン酸はある程度の抗菌作用を持ちます。
ステアリン酸を分解する菌もいれば、
逆に死滅する菌もいます(濃度などの条件もありますが)。

 

ところが前回の内容(美肌には微生物が必要)にて、

・ステアリン酸(C18)
→皮膚の刺激物質となる。動物実験では、発がん性もあり。

神奈川県環境科学センター化学物質安全情報提供システム
「ステアリン酸」より

とお伝えしておりました。

 

ステアリン酸って皮膚の刺激??、がん化する??
なんて猛毒なものをつかっているのっていう印象を
持たれたかもしれません。

ステアリン酸って本当に猛毒なのでしょうか?

脂肪酸のステアリン酸は身近なものです

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いろいろ脂肪酸はありますが、
石けんで一般的によく使われている”ステアリン酸”についてみていきます。

ステアリン酸は、植物や動物で最も豊富な
”飽和脂肪酸(水素で飽和した状態の脂肪酸)”になります。

 

そして、牛脂由来の石けんでお伝えしましたが、
牛脂に豊富な成分にもあります。
(ただし、牛脂中ではグリセリンと結合した状態になっています。)
石けんで使われている脂肪酸の種類について

あれ。
牛脂に含まれている成分が毒になる??

いいえ。
ある程度でしたら大丈夫です。

純正化学株式会社のステアリン酸 安全データシート
を参照にしますと…。

 

有害性情報
★ 急性毒性(経口) [日本公表根拠データ] rat LD50 >5000mg/kg (SIDS, 2014)
★感作性データなし 、生殖細胞変異原性データなし 、催奇形性データなし ★発がん性 ACGIH-A4(1985) : ヒト発がん性因子として分類できない

というように記載されていました。

 

気になるところだけ見てみますと…

”急性毒性”とは、
投与したときに、数日以内に動物が半分死ぬ量になります。
ステアリン酸の場合は、体重1kgあたり5g以上となります(ラット)。

ちょっと違いますが、ヒトに直接当てはめてみると、
体重50kgの場合では250gになります。

精製されたステアリン酸は、
室温では、まるで”ろうそく”の様に硬い形状です。
美味しくないし、そもそも250gも食べられません。

ということは、食べても安全なものだといえます。

“感作性”とは、遅延型のアレルギーがあるかないかをみています。
ステアリン酸は特に記載がありません。

”発がん性”とは、正常な細胞や組織ががん化するということですが、
ステアリン酸はがん化しないようです。

というように、
ステアリン酸は実は毒性が低いものだったのです。

 

あれ。
前回と違う!!
毒性があるって書いてあったじゃないの?

前回は、がん化する可能性があるじゃないのと
思った方がおられるかもしれません。

 

それは、
試験方法が異なっていたり、
その時に実施した試験で、毒性の結果が得られてしまったためです。

今回調べた結果では、
毒性がゼロとなっていますが、
可能性がゼロというわけではないです。
(神奈川県環境科学センター化学物質安全情報提供システムでの報告例があるため)

前回と矛盾したことをお伝えしておりますが、
神経質に避けるのではなく、
適度に扱えば良いのではないかと思います。

仮に石けんを使ったとして、
皮膚に付着しても微量になりますし、
微生物に分解されます。

 

ただ、石けん自体アルカリ性で肌が弱い方には刺激が強い場合がありますし、
やはり石けん原料のステアリン酸自体も刺激性があるという報告もありますので、
お肌の調子をみて石けんを使ってくださいね。

ちなみに、石けんを使わなくても菌を洗い落とす方法があるみたいです。
⇒石けんを使わ無くても手を洗う方法とは…

 


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参考文献
*1) ウィキペディア 「ステアリン酸」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%B3%E9%85%B8
(2016-06-04参照)

ステアリン酸(粉末) 純正化学株式会社
http://junsei.ehost.jp/productsearch/msds/40025jis.pdf
(2016-06-04参照)