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石けんの苦手なこと

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前回の石けんのススメ9では、
石けんには苦手なことがあることをご紹介ました。

★ミネラル分が多いところでは泡立ちにくい(石けんカスができる)
★酸で中和される(石けんカスができる)
★水(20度以下の水)では溶けにくい場合がある

冷たい水では特定の種類の石けんが溶けにくいとお伝えしました。
その時に石けんの種類によって変わってきます。
では、代表的な石けんの種類はどんなものがあるのでしょうか。

石けんは原料によって性質が変わってくる

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石けんは、脂肪と水酸化ナトリウム(固形石けんの場合)を原料として作られます。

石けんになる場合、脂肪中のグリセリンというものが外れて(もしくは予め外して)、
”脂肪酸”と呼ばれる部分になります。
そして、この”脂肪酸”と水酸化ナトリウムが反応して固形石けんができます。

ここからは、脂肪酸の構造と石けんができる時の化学反応の話になりますが…。

脂肪酸は炭素と水素で主に構成され、酸の部分に一部酸素が入った構造です(カルボキシル基-COOH)。

石けんになるとき、脂肪酸のカルボキシル基の(-COOH)の水素(H)が取れて
水酸化ナトリウムのナトリウム(-Na)が代わりにくっつくことで石けんができます
(水酸化ナトリウムの水酸基(-0H)は、グリセリンにいきます)。

石けんの話にもどると、
脂肪酸は、使われる原料の種類によって炭素の数が変わってきます。
そして炭素の数(または結合する様式)によって名前が変わってきます。
また、性質も変わります。

石けんで主に使われる脂肪酸と石けんになった時の性質は次の表1 のようになります(*1,*2)。

表1. 脂肪酸による石けんの性質

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(参考文献 *1, *2)

一般的に通常販売されている石けんは、炭素数12〜18の脂肪酸からできる原料から作らています。

前回の石けんのすすめ9でも少しご説明しましたが、

★炭素数が少ないと
→冷水で溶けやすいその反面、洗浄力が弱く、泡持ちが悪い

★炭素数が多いと
→冷水で溶けにくくなるその反面、洗浄力が高く、泡持ちが良い傾向があるようです。
(泡持ちがいいのは、洗浄力が高いということになるのか。)

の傾向があるみたいです。

この表1. だけで判断すると、お風呂で使うんだったら炭素数が多いのがよさ気なきがします…。

ちなみに石けんの原料は天然成分のため、炭素数が異なる脂肪酸の混合物になります。

代表的な石けんの原料成分中の脂肪酸組成は、下の表2の様になります(*3, *4)。

表2.主要油脂原料の脂肪酸組成 (%)

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※ 炭素数別の名称
(6)カプロン酸、(8)カプリル酸、(10) カプリン酸、(12)ラウリン酸、(14)ミリスチン酸
(16)パルミチン酸、(18)ステアリン酸、(16:1)パルミトレン酸、(18:1)オレイン酸
(18:2)リノール酸、(18:3)リノレイン酸

(16:1)、(18:1)、(18:2)、(18:3)は、炭素同士に二重結合のある不飽和脂肪酸

(参考文献 *3, *4)

表2をみると、原料によって脂肪酸の組成が変わっていることが分かります。
ヤシ系のパーム核油とヤシ油の炭素数が12のものは半数以上占めます。
同じヤシ系でもパーム油と呼ばれるものは、
炭素数が16と18(不飽和ですが)と比較的牛脂に近いものになっています。

最近は、オリーブオイルとか表2以外の原料で使われている石けんもちらほら売られていますね。

ちなみに、一般的な石けんの場合、溶けやすさや泡立ちやすさを良くするために
様々な脂肪酸の原料を混ぜて作られています。

伝統的な化粧・浴室用の石けんは、牛脂をベースにヤシ油を平均20%の割合でつくられているそうです。
この配合だと、温水によく溶けて、泡立ちがよく、適度な硬さになるそうです。
いわゆる日本の純石けんは、大体この組成だそうです(*4)。

石けんの配合とお肌の汚れの落ち方はどうなるのでしょうか。

それは…。

⇒肌に優しい石けんってあるの?肌タイプによる石けんの選択のヒント

1) 非接触皮膚科学「脂肪酸の組成と石けんの性質」
(http://hisesshoku-derm.com/archives/2010/04/fattyacid.php)
(2016-05-30参照)

2) 日本石けん洗剤工業会「せっけんメモシート(4)石けんはこうしてつくられる…脂肪酸の種類と性質」(一部改変)(http://jsda.org/w/06_clage/4clean_198-4.html)(2016-05-30参照)

3) 堀口博(1975)「新界面活性剤」三共出版, 274

4) 大矢勝 (2011) 「図解入門よくわかる 最新洗浄・洗剤の基本と仕組み」秀和システム, 57

4) 石けん学のすすめ Anri krand くらんど「油脂と脂肪酸の組成」
(http://www.sekkengaku.com/savon5.html)
(2016-05-30参照)