柔軟剤の成分にカチオン(陽イオン)界面活性剤の他にも界面活性剤が入っているんですが…

Q. 非イオン界面活性剤は陽イオン界面活性剤と異なるのですか?

A. 界面活性剤の性質が違うので、用途が変わってきます。

界面活性剤は、分子内に疎水性(親油性ともいわれて、水になじまない部分)と親水性(水になじむ部分)があります。
陽イオン界面活性剤は親水性の部分が陽イオン(カチオン、プラス)に帯電している(静電気を帯びている)部分があるのに対して、非イオン界面活性剤は、電気を帯びている部分がありません。

簡単な分類の表を貼り付けておきますね。

出典:界面活性剤工業会 界面活性剤の分類

 

マッチ棒のような図が描かれています。

陽イオン(カチオン)活性剤のマッチの柄の部分が疎水性部分で、マッチの上側がプラスの静電気を帯びています。

それに対して、非イオン界面活性剤は特に+も−も書いていないですよね。

Q. 非イオン界面活性剤は陽イオン界面活性剤と比較した場合、柔軟剤における効果は どのようになるのでしょうか?

A.陽イオン界面活性剤の方が柔軟剤としての効果は高いものです。

柔軟剤としては繊維を柔らかくしたり、帯電防止の効果を期待されることが多いかと思います。

水の中では、繊維の表面はマイナスの静電気を帯びています。
上記の図にありますように陽イオン界面活性剤は、親水性部分がプラスの静電気を帯びているので、非イオン界面活性剤よりも繊維の表面に吸着しやすい性質があります。このような理由から陽イオン界面活性剤の方が、柔軟剤としての効果は高い傾向があります。

陽イオン界面活性剤が繊維の表面に吸着すると、界面活性剤の疎水性の部分で覆われます。そうすると、表面の摩擦が軽減され、表面がなめらかな手触りになって柔軟剤として効果を発揮します。さらに表面に吸着した界面活性剤は、親水性の部分に水分を含み静電気を防止することができます。

 

Q非イオン界面活性剤が配合されているハッピーエレファント 柔軟仕上げ剤は、成分から どのようなことが 考えられるでしょうか

ハッピーエレファント 柔軟仕上げ剤
成分:大豆レシチン(柔軟成分)、キトサン(柔軟性分)、ソホーロスピリッド(柔軟助剤)、グリセリン脂肪酸エステル(安定化剤)エタノール(安定剤)、クエン酸(pH調整剤)、オレンジ油(香料)、ラベンダー油(香料)、ビターオレンジ油(香料) 無残香タイプ。

出典:ハッピーエレファントパッケージ成分表より

レシチンは、動植物に存在する両性界面活性剤になります。

キトサンは、分子内に多数の反応性に富むアミノ基を持つ数少ないカチオン性天然多糖類になります。

両方共プラスの静電気を帯びているので、吸着する作用があります。

レシチンは両性イオン界面活性剤になります。比較的長い脂質構造があるので、繊維の表面の摩擦力を軽減し、なめらかにするのではないかと。

ただ、陽イオン界面よりも作用が弱いかと。

また、キトサンは、カニやエビから精製して採取された肌なじみの良い成分で、再生医療などで使われています。

陽イオン界面活性剤になりますが、作用はマイルドで、抗菌作用はあるものの生体への毒性は極めて少ないとされています。

保水力が高く、繊維をしっとり柔らかにするとともに、静電気を防ぎます。

メーカーに問い合わせたところ、「レシチン」と、「キトサン」の相乗効果を利用して柔軟剤の作用をだしているとか。

ちなみに、柔軟助剤の「ソホロースリピッド」は、天然由来の植物油(ヤシ由来)と糖を原料にして、酵母の発酵技術を活用したノニオン(非イオン)界面活性剤になります。

界面活性剤効果の高いソホーロスピリッドを入れることによって、レシチンやキトサンの集合体(ミセル)を作りやすくしたり、成分を分散させることによって、柔軟作用を強化するためにいれているのではないかと考えられます。

グリセリン脂肪酸エステルは、非イオン界面活性剤の一種になります。成分を混ざりやすくさせ、安定化させるために配合しているのではないか推測されます。

正直なところ使ったことが無いので比較はできませんが、市販の4級アンモニウム塩タイプや3級アミンタイプに比べて、どうしても表面への吸着や柔軟作用は低めにはなるかと思います。

ですが、成分的にはかなりマイルドなものは使われ、肌には優しいのではないでしょうか。