常在菌で外来の菌を防ぐだけではだめなの?
これまで常在菌が皮膚のpHを弱酸性にして、外来の菌やウイルスが住み着くのを防いでいることをお伝えいたしました。
例:以前の記事(石けんを使い続けたら肌が弱くなる? 〜石けんのススメ12〜)
では、なぜ殺菌剤が必要なのでしょうか。
それは菌やウイルスが手肌などにつくだけではなく、モノを通して増殖し、口に入ってしまうということがあるからです。
菌やウイルスが広がっていくのは、次のルートがあります(*1)。
①ヒト(手指、咳、血液など)
②モノ(食品、調理、容器など)
③環境(ヒトが触る可能性がある表面、例えば、ドアノブなど)
例えば、肉を触ったヒトが、冷蔵庫のとってを触ります。そして別のヒトが取っ手を触った後、レタスなどの生野菜を触ります。この生野菜を洗わずに出してしまった場合は、肉に付着した菌が野菜に…ということに広がってしまいます(*1)。
自分の身を守るだけではなく、他の人にも有害な菌やウイルスを移さないために、殺菌剤が必要になってきます。
殺菌剤ってなに?
殺菌剤は、菌を殺す行為そのものをいいます。
なので、菌を殺す薬剤のことを殺菌剤と言います。
「殺菌」、「消毒」、「滅菌」については、
基本的には薬事法で定められた用語にも該当します。販売する商品については、医薬部外品や医薬品に適応したものではないと使用できません(*1)。
それぞれを簡単に言うと、
「殺菌」は、菌を殺す行為そのものをさす
「消毒」は、ヒトに有害な物質を除去、無毒化
「滅菌」は、対象にしている微生物をすべて除去
になります。
薬事法に触れるため代わりに、
「除菌」、「抗菌」という言葉がよく使われています。
ちなみに、
「除菌」は、菌を取り除くことになります。
殺菌することも除菌に入ります。
殺菌、消毒作用があっても医薬品等に該当しない商品で除菌という言葉をよくみかけるようです。
「抗菌」は菌を殺したり、菌が増えるのを阻止するという意味合いがあります。
意識をしないと気づかないですが、身の回りの日常商品で、「抗菌」と書かれたものは意外と多いですよね。
抗菌加工については、JIS規格で評価方法や基準が定められています(*1)。
菌を殺す「殺菌剤」(または除菌剤)には、種類があります。
飲むだけではないです。 アルコールの手肌の殺菌。の最後の行でほんの少し触れましたが、エタノールは手肌に薬剤が残らないので比較的やさしい殺菌剤とされています(それでも使い方によっては手荒れが生じますが..)。
種類によって手肌の負担を軽減をしたり、殺菌効果を高めたりすることができます。
参考文献
*1) 新名史典、隈下祐一、加藤信一(2013)「ビジュアル図解 洗浄と殺菌のはなし」同文館出版
114-115, 46-47