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ホタテパウダーってそもそもどんなもの?野菜洗いの農薬除去の噂はホント?

前回の記事(野菜が腐りやすのは菌のせい?)にて、生野菜の日持ちを良くするためや食中毒菌対策で食品事業者の方たちが菌を減らす方法をお伝えしました。
(方法:中性洗剤、次亜塩素酸ナトリウム、オゾン処理、次亜塩素酸処理)

家庭用でも簡単に野菜の鮮度維持(日持ち)をする方法があります。

さまざま方法がありますが、家庭の場合ではホタテ貝のパウダー品を使って野菜を水洗いをすれば、同じように日持ちを良くすることができることが言われています。

また、ホタテパウダーには他の方法とは違って農薬除去や生活環境に役に立つ別の使い方があるようですが、ホントのところはどうでしょうか?

性質について

ホタテパウダーの正体は”ホタテ貝殻焼成カルシウム”というもので、成分は、CaO(酸化カルシウム)になります。

このホタテパウダーは、そもそも年間何十万トンという単位で捨てられるホタテの貝殻を二次利用したものです。

北海道では貝殻から放つ悪臭や貝殻に付着している内臓の重金属成分(カドミウムも含まれていることが..)が土壌などに溶け出して、土壌や水質の汚染を招くという深刻な事態が発生しています(*1)。

ホタテパウダーを使うということは、この貝殻問題に貢献し、環境保全につながるので、活用できるのならばあちこち使ってみたいところですね。

 

ちなみに、ホタテの貝殻を900〜1200℃の高温で長時間加熱し、パウダー状に粉砕加工してつくられたものです。

加熱する温度はメーカーによって異なりますが、一般的には高温になるほど純度は高くなって行く傾向があります。

加熱処理をしたホタテの貝殻は、酸化カルシウム(CaO)になります。

そして実際に使うときには、水を含んで水酸化カルシウム(Ca(OH)2)となり、水酸化物イオンを放出します。

この水酸化物イオンによって、pH12以上のアルカリ性になるのが特徴。

 

CaO(酸化カルシウム)+H₂O (水)⇒ Ca(OH) (水酸化カルシウム)+H₂O (水)⇒水の中 Ca²+2OH−(水酸化物イオン)

ちなみに、商品名”ホタテの力くん”の成分表示は酸化カルシウム(CaO)と記載されてりますが、同じような商品でも成分表示が違うものがあります。

例えば、”北海道産ホタテで洗った”は、水酸化カルシウム(Ca(OH)という記載になります。

 

この商品は、酸化カルシウムに水を加えた後、乾燥させて水酸化カルシウムにしたものです。

基本的にはどちらも最終的には水酸化物イオンを放出するため、殺菌作用などの性能自体には代わりはありません。

なぜ、水酸化カルシウム製品があるかというと、酸化カルシウム製品だと水をかけると発熱する性質があるからです。

ですが、ホタテの力くんの取説に記載されている濃度(水1Lに対して1〜1.5g)で使えば、少量なので発熱は気にするほどでもなく、安全に使えます。

 

ホタテパウダーのメリットについて

廃棄処理しても環境汚染にならない

ホタテパウダーの成分に含まれている炭酸カルシウム(水に溶けたら水酸化カルシウム)は、最終的に空気中の二酸化炭素と反応して無害な炭酸カルシウムとなるため、環境への負荷も少ないと考えられています。

冒頭でもお伝えしましたが、そもそも廃材からつくられたもの。
むしろ、ホタテパウダーを使うことは、環境保全に役立つのではないでしょうか。

 

皮膚刺激は思ったよりも少ない

ホタテパウダーを水に溶かすとアルカリ性になる性質がありますが、水に溶かしても20mM〜30mM程度(1Lあたり1.5g ホタテの力くん)以上溶かすことができないので、それほど神経質に取り扱うことなく、家庭で安心して使えます。

ちなみに、私自身素手で触っていますが、ほとんど手荒れを感じたことがありません。

※お湯になると溶解度が上がります! 水で溶かして使ってくださいね。

 

ただし、ホタテパウダー水溶液をつけておくと、アルカリ性の性質で肉や魚の表面のタンパク質が変性して白くなるという現象があります。

手肌の皮膚にある表皮もタンパク質が一番多い成分となります。

私が使った感じだと皮膚刺激を感じたことはありませんが、手肌の弱い方は念のために使った後よく洗うか、手袋を使った方がいいかもしれません。

 

野菜洗い・農薬除去について

野菜にホタテ貝殻焼成カルシウムをいれて水に漬け置くと(1g〜1.5gに対して、水1L)、アルカリ性の作用によって表面についた微生物(細菌類、菌類)が死滅します。

微生物による腐敗が軽減されるので、野菜の日持ちの効果については間違いなさそうです。

ちなみに、ホタテの力くんについては、2〜3日期間が延長できるとのこと。

→別サイト:”ホタテで洗った” 殺菌作用、ウイルス除去作用について

また、案外薄い濃度で効果を発揮するので、単にアルカリ性で殺菌効果があるだけではなく、ホタテ貝殻焼成カルシウム独自の機構がひょっとしたらあるのではないかということもいわれています(*2, *3)。

 

また、ホタテパウダーのアルカリ性の作用によって、農薬やワックスなど野菜表面についたものを除去するのはどうでしょうか?

特にこの農薬除去の効果を期待してホタテパウダーを購入されている方が多いのではないかと思います。

効果については、ホタテパウダーは万能ではありません!

うさじまさんのブログの抜粋引用ですが、以下のような記載があります。

「安心やさい」を販売している会社のサイトには第三者期間による評価を掲載しています。農薬の除去については、ものによって40~90%の除去効果があるとしています。
セーフサラ 製品Q&A 農薬の完全除去は、できません。安心やさいに出来る事は、食材表面の有害化学物質を剥がすことです。

 

よく、ホタテパウダーを入れると、油分や水が浮いてきて農薬除去されているという表現がありますが、すべてが農薬が溶け出ているわけではありません。

単に食材の成分が溶けているだけということもあります。

なので、農薬除去が完全にできるものではないということを念頭に使ってくださいね。

(ホタテの力くんについては、どの農薬が除去できるかとの記載がある代わりに環境ホルモンの一種であるフタル酸エステルが除去できるという記載はあったんですけどね..(4*))

 

そのほか、ホタテパウダーを使うと、食材が美味しくなる効果があるようです。

例えばコメの場合では、より美味しく炊けるようです。

コメに含まれている酸化された油が取れて、古いコメの臭いが改善されます(黄色い脂分が浮きます)。
また、アルカリ性によってデンプンの構造が崩れやすくなって膨潤、糊化が促進し、ふっくらとした食感になります。

ホタテパウダーは食品以外にも使えるみたいですが..

洗濯槽と洗濯物の除菌・消臭について

ホタテパウダーを洗濯に使えるそうですが、実際のところはどうなのでしょうか?

各社メーカの話では、アルカリ性の効果で洗濯層の黒カビ防止、鉄さび防止になるようです。

また、洗濯物、洗剤と組み合わせて投入して使うので、ニオイのもとになる菌を死滅させ、部屋干しでも生乾きの嫌な匂いの防止になるとのこと。

基本的に焼成カルシウムは、水中で溶けて服には付着せず、服に白いものが付着していても析出したミネラル分(カルシウム)なので、皮膚に付着しても問題はないようです。

焼成カルシウムを流した排水口自体も、除菌されて、ぬめり取りや悪臭防止になるということが記載されていましたが実際のところはどうなのでしょうか?

実際の除菌効果は…

ホタテパウダーとして、ホタテの力くんを使用し、洗濯槽や洗濯物の悪臭が取れるか確認しました。

なお、今回は、洗濯槽の残存菌から発生する悪臭も同時に確認するために、あえて洗濯槽に洗濯物を長期放置(〜12時間まで)し、ホタテパウダーのあり、なしで差がでるか確認してみました。

洗濯槽と洗濯物の除菌方法

ホタテパウダーの量としては、約30Lに対して4g洗濯機に投入しました。
(推奨量としては、20Lに対して1〜3g))

確認方法は、

  1. 洗濯機にホタテパウダー4g入れる(水 約30L)
  2. トップクリアリキッド 20mLを入れて、タオル6枚を入れて洗濯
  3. 洗濯したタオルを洗濯槽から0時間(洗濯直後)、6時間、12時間中に洗濯機の蓋を閉じて放置した後、取り出し、室内干しをする
  4. 臭いをかぐ(官能検査)

になります。

また、ホタテパウダーなしでも同じような条件で洗濯をして、臭いをかいで違いをくらべました。

 

ホタテパウダーを4g量り取ってみたところ。

 

洗剤はトップクリアリキッド(20mL)を入れて、洗濯しているところ。

 

ちなみに、洗濯中の洗濯槽をpH試験紙で確認したところ、pH10〜pH11の間ぐらいになりました(pH10.5とします)

pH試験紙の結果ですが、野菜洗いのときはpH12だったので、洗濯槽のpH10.5は殺菌作用が若干心もとないように思えます。

ただ、あまりpHが高すぎると服を痛めるので、少なめになっているのかもしれません。

結果、考察など

洗濯槽や洗濯物の悪臭確認と同時に悪臭の原因となる細菌の数をカウントするのが正確なのですが、なんせ家庭なので、臭いをかぐという官能検査だけを行いました。

ホタテパウダー入となしで、洗濯槽や洗濯物の臭いを嗅いだところ、どちらも洗濯槽にタオルを放置する時間が長ければ長いほど、臭くなっていきました(臭いだけなので、あくまで私自身の感想ですが..)。

そして、ホタテパウダーを入れてもそれほど、臭いの改善を感じることはできませんでした。

 

また、洗濯物についても、干して生乾きの状態のときはどちらも臭いにおいがしました。

ところが完全に乾燥した場合では、どちらも臭いがほとんど取れて、特別ホタテパウダー入っている方が臭いが取れているということは実感することはできませんでした。

 

今回行った洗濯物の試験において、ホタテパウダーあり、なしの温度や湿度の条件は、家庭で行われていないので一定ではないです(25℃くらい〜30℃くらい変動はあります)。

なので、今回の試験結果が確実なものとはいいきれませんが、ホタテパウダーを入れたときにpH10.5という低いpHだったので、効果が出にくかったのではないかと推測されます。

洗濯物にはあまりよくないかもしれませんが、臭い除去のための殺菌効果を高めるために、ホタテパウダーの量を増やして使ったほうがいいのかもしれません。

(私がやった感じだと、洗濯物推奨濃度(20Lあたり、4gのホタテパウダー場合)の2倍量ぐらい入れるとpH11ぐらいになりました。)

 

また、洗濯槽自体の菌数を常に一定以上増やさない工夫をしていたならば、ホタテパウダーの効果を発揮することができたのかもしれません。

そもそも菌数が少ない状態の場合、殺菌効果がそれ程高くなくても菌を死滅させることができますし。

 

今回使った洗濯機の洗濯槽は、除菌・殺菌を10年近く行っていませんでした。

そのため、ホタテパウダーを入れても微生物が多すぎて殺菌できなかった可能性があります。

メーカーが推奨しているように、洗濯する度にホタテパウダーを入れて洗っていけば、殺菌効果が高まり、洗濯槽や洗濯物の臭いが改善されるのかもしれません。

 

調理器具や食器の除菌

ホタテパウダーは調理器具や食器など、ハイター(次亜塩素酸ナトリウム)で殺菌をしていたものの代替品となるようです。

焼成カルシウムを溶かした後、布巾やまな板をつけおけば、アルカリ性の効果によって殺菌ができます(5分〜10分つけおき)。

濃度は、野菜洗いの量(水1Lあたり1〜1.5g)で大丈夫です。

*ちなみに調理器具の殺菌は、家庭用の簡易的なものになります。

お風呂

焼成カルシウムを入れるとアルカリ温泉の効果が得られます。

身体の内部まであたたまり、湯冷めしにくくなるようです。

さらに古くなった角質をなめらかにし、ツルツルにする効果や汗から出てくる有機酸を中和するので、体臭予防にもなります。

お風呂に入れる量は除菌や洗濯用途比較して濃度が薄い(目安200Lに対して、3g〜5g前後)ので、アルカリ性の刺激は少なめです。

焼成カルシウムの皮膚刺激はそれほどないといわれておりますが、アルカリ性は皮膚刺激にもなるのでお肌が弱い方は最初少なめで様子をみて使うようにしましょう。

除菌・消臭として

部屋やトイレ周辺

焼成カルシウムを水で溶かし(目安 焼成カルシウム1gあたり水1L)、浮遊物をコシ布やペーパータオルなどでこした後、スプレーボトルに入れれば、除菌・消臭スプレーになるようです。

除菌効果は、大腸菌、黄色ブドウ球菌が1分以内で99%以上死滅したという報告があります(*2)。

また、タバコやトイレのニオイ消しにも使えます。

匂いの元となる有機物を焼成カルシウムのアルカリ性の性質によって中和し、消臭させるようです。

ただし、匂いの成分が複雑な場合(ゴミ等)は、中和すれば臭いが消えるというものではないので、効果が少ない場合もあります。

靴の消臭

靴の中の臭いは、靴の中のムレた臭いは”イソ吉草酸アルデヒド”というものが主体だと言われています。

この物質は、ブドウ球菌などの皮膚常在菌が皮膚の角層にあるタンパク質(アミノ酸)を代謝することによって作られます。

ホタテパウダーはこのイソ吉草酸アルデヒドを中和分解して、消臭する効果があります。

同時に、細菌の増殖を抑えるので、臭いが発生しにくくもなります。

 

ちなみに、靴の中に入れるものは、靴専用商品として販売されているのが主流のようです。

成分としては、スターチ・貝殻焼成カルシウム・タルクというようなベビーパウダーに使われる成分が配合されているので、靴の中に入れてもベタつかず、足がサラサラな状態を保持できるようになっているのが特徴です。

水虫

ホタテパウダー品そのものではなく、ホタテパウダーを更に加工したホタテ貝殻セラミックス水溶液(pH12.5)が水虫薬としてアメリカでMOIYAという名称で販売されています。

→メーカーサイト

残念ながら、一時期アマゾンでもありましたが、今は在庫切れとなっています…

人間の肌に対する刺激性は蒸留水以下というほど低刺激なのが特徴で、白癬菌を10分以内(菌数情報が不明でした)で死滅させる効果があるようです。

口臭・ホワイトニング

口臭予防や歯のホワイトニング効果があるホタテパウダー商品が販売されています。

ホタテ貝を焼成後、マイクロ化製法で微粒子化したもので、天然カルシウムとミネラル分で歯の表面を傷つけることなく汚れを除去し、口臭予防や歯肉の健康維持に役立ちます。

成分としては焼成カルシウム(成分表示名:酸化カルシウム(CaO))の他に酢酸も含まれて、口内で使用できるように最適化されています。

使い方は、歯ブラシを水で濡らして適量つけて、歯、歯茎をブラッシング・マッサージするといったように、一般的な歯磨き粉と同じような感じで大丈夫です。

ちなみに、ホタテの力くんのような普通に市販されている酸化カルシウムを口に入れるのはNGです!

他のサイトでは、強いアルカリ性のpHでバイオフルムを除去し、口臭予防というものがありますが、口内を痛める恐れがあるのでやめてくださいね。

まとめ

ホタテ力くんのようなホタテ焼成カルシウム成分の製品は、農薬除去、脱臭・消臭、殺菌の効果は期待できるもので、広い範囲で使えそうです。

ただし、すべての農薬には対応できない部分もありますし、使い方や量によっては、脱臭・消臭、殺菌も不十分な場合もあります。

なかなか農薬除去の効果を家庭内で調べることはできませんが、量を守ればアルカリ性の性質はあるものの自然界にあるような安全成分なので、あちこち家で試して効果があったものを取り入れていけばいいかなと思います。

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*1)澤井 淳 (2016)「貝殻焼成カルシウムを用いた微生物制御技術」
*2)及川紀久(2008)「焼成貝殻の抗菌性と環境ホルモンなどの除去効果」日本食品学会より
*3)小山信次(2005)「ホタテ貝殻を有効利用した新 しい 機能性材料の開発と実 用 化 」農林水産 技術研究ジャーナル28(6;38−42)
*4)村田亜悠美, 小尾信 子 ,中平比沙子, 宮原龍郎, 落合 宏 (2008)「ホタテ貝殻焼成粉末の殺菌および殺 イ ンフルエン ザウイルス作用について」富山大学看護学会誌第7巻2号

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