手袋も安心できないのですね
界面活性剤に触れない工夫として、手袋の利用があります。
しかし、手袋(ゴムや塩化ビニルなどの樹脂の防水タイプのもの)でも加工時に使われる薬剤などによって、アレルギーや一次接触皮膚炎が起こる可能性があります。
⇒参照: ゴム手袋を使っても手荒れ対策が必要なことがあるんです
何もトラブルがないという方については、そのままお使いになられても良いと思います。
(実際、私自身、ラテックスグローブを何時間もはめておりますが、何もトラブルが起きていません。)
しかし、皮膚トラブルが起きやすい方や気になる方は、手袋の下に布製の手袋(できれば木綿製)をはめることをおすすめします。
界面活性剤を肌につきにくくする方法があるんです
なんだかんだいっても防水タイプの手袋をうまく活用すれば、手肌につく界面活性剤や刺激物から肌を守ります。
台所仕事や水仕事において、手袋が気になる方や手袋をはめるのがめんどくさいという方には”ワセリン”がおすすめです。
ワセリンは、石油から精製された炭化水素の混合物になります。
成分的にはパラフィン、脂環式炭化水素(シクロパラフィン等)とよばれるものから成り立っています(*1)。
自然派化粧品をお使いの方は、石油由来のものと聞くと気持ち悪いと思われますがご安心ください。
炭素と水素から構成された化学的に安定した成分で、医薬品の基剤に使用されている等、安全性が確認されたものになります。
ワセリンを使うと、界面活性剤がつきにくくなるのは?
ワセリンの成分であるパラフィン、脂環式炭化水素(シクロパラフィン等)は、炭素が連なり水に溶けにくい”疎水性”(いわゆる油のような)の性質があります。
また、ワセリンの融点(固体が融解しはじめるときの温度)は、38~60度になります(*2)。
水やぬるま湯を扱う台所仕事では、溶けずに手肌にまとわりついて”油膜”となります。
そして界面活性剤を使っても、この”油膜”のおかげで付着しにくくなります。
ワセリンを使うコツ
”塗り過ぎない”
非接触皮膚科学のサイトにてワセリンは、
人間の体温よりやや高めの温度であるため、人間のお肌の上に乗せたときに硬すぎず・柔らかすぎずの、ちょうどよい「延び」具合になります。
とありました。
延びが良いので、気持ち少なめを心がけても良いと思います。
私自身の感想になりますが、使いすぎた場合、ベタベタしてお皿を持った時に落としそうになりました。
ワセリンをほんの少しとって塗ってみた時、”ベタベタ”ではなく”さらさら”の状態になるのが目安かもしれません。
”水がはじきにくくなったら塗り直す”
ワセリンを手肌につけた後、水をたらしてみるとはじきます。
ところが、長時間洗い物をしている時や熱めのお湯を使っていると、効果がなくなっていることがあります。
そういう場合は、薄く塗り直すことをおすすめします。
ワセリンは皮膚の保護もします
ワセリンはこの油膜のようなものをつくるため、皮膚の水分の蒸散を防ぎます。
肌荒れなどで皮膚バリア機能が弱っている場合、皮脂膜や皮膚内部の潤い成分がうまく機能できない状態になることがあります。
このようなときにワセリンを使うことで皮膚の保護をし、皮膚内部にある”天然の潤い成分”をうまく保持できるようになります。
以前にも報告させていただきましたが、アトピーを発症するマウスにワセリンを塗ったところ、アトピーが改善されたという研究報告もあります(*3)。
(これについては、以前書いたブログをご参照ください)
そのほかワセリンには、鼻に塗ると花粉から保護されて花粉症の対策になる(*4)とか、革製品の艶出しに良い等色々活用法があります。
いろいろ使い勝手がいいものなので、一家に一本あっても良いかもしれないですね。
どんなタイプのワセリンがいいかといえば、成分がワセリンのみ(白色ワセリンとだけ記載)のものをおすすめします。
また、残っているワセリンが手の汚れなどで汚染しにくいことや量の調整ができるので、チューブタイプがいいかと思います。
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参考文献
*1 ウィキペディア(2016)
「ワセリン」,
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%82%BB%E3%83%AA%E3%83%B3 ,
(参照2016-5-26)
*2 非接触皮膚科学(2006)
「第60号 キケンなの!? 『ワセリン』の秘密」
http://hisesshoku-derm.com/archives/2006/01/60.php ,
(参照2016-5-26)
*3 理化学研究所プレスリリース (2016)
http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160426_3/ ,
(参照2016-5-26)
*4 市川衛 (2016)
「花粉症の救世主?”鼻にワセリン”は本当に効くのか」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/mamoruichikawa/20160318-00055566/ ,
(参照2016-5-26)