界面活性剤は、イオン性と非イオンに分かれます。

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今回は、非イオン界面活性剤についてお伝えしていきます。

これまでイオン界面活性剤(陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤)の性質や種類をお伝えしました。

 

内容については、以下のリンクをご参考にしてください。

・陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤についてはこちら
⇒肌の弱い方の洗剤の使い方のヒント〜陰イオン、陽イオン界面活性剤について

・両性イオン界面活性剤についての性質についてはこちら
⇒アミノ酸系、ベタイン系の界面活性剤の性質について

 

なお、おさらいになりますが、界面活性剤は親水基(水に馴染みやすい部分)部分と疎水基(水に馴染みにくい部分)の化学的性質によって以下のように分類されています(界面活性剤の働きについては、こちらのリンクに簡単に説明しています。)。

 

★イオン界面活性剤(水に溶かしてイオンになるもの)

イオン界面活性剤は、さらに3つに分かれます。

・陰イオン界面活性剤

⇒電離して水に馴染みやすい部分(親水基)が陰イオンになるもの

・陽イオン界面活性剤

⇒電離して水に馴染みやすい部分(親水基)が陽イオンになるもの

・両性イオン界面活性剤

⇒電離して水に馴染みやすい部分(親水基)が陰イオン、陽イオン両方持っているもの

 

そして、
★非イオン界面活性剤(水に溶かしてイオンにならないもの)
に分かれれます。

非イオン界面活性剤について

非イオン界面活性剤の特徴

非イオン界面活性剤も他の界面活性剤と同様に水に馴染みやすい部分(親水基)と水に馴染みにくい部分(疎水基)があります。

しかし、他のイオン界面活性剤と違って水に溶けても親水基の部分は電荷をもったイオンにはなりませんが、他のイオン性のものと同様に界面活性剤として機能します(下図分子モデルを参照)。

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非イオン界面活性剤の分子モデル

親水基部分がイオンにならないので、水の硬度や電解質(陽イオン、陰イオンに分かれるもの)に影響を受けないというメリットがあります。

例えば、陰イオン界面活性剤の中で代表的な石けんは、水に溶けた際に親水基部分に陰イオンがあるため、陽イオンのミネラル分(マグネシウムやカルシウム等)と反応してしまい、水にとけない”石けんカス(金属石けん)”を作ってしまいます。

 

石けんの場合はミネラル分が多い高硬度の水では使いにくいという性質ありますが、非イオン界面活性剤はイオンにはならず、石けんカスを作らないので、高い硬度の水でも気にせずに使うことができます。

また、他のイオン界面活性剤などとも混合しても影響を受けにくいことから、シャンプーや洗剤など他の界面活性剤が入った配合でも頻繁に使われています。

 

親水基や疎水基部分のユニット数や組み合わせを変えた合成が比較的簡単に合成できるので、幅広い性質のものが得られやすいという特徴があります。

乳化剤、洗浄剤、可溶化剤、消泡剤などに利用されていたり、低刺激性や安全性が高く機能性を持った製品など様々なものが作られています。

 

非イオン界面活性剤の種類と性質

代表的な非イオン界面活性剤

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非接触皮膚科学(2006年)界面活性剤の秘密 より(*2)

 

ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)とポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(APE)以外の非イオン界面活性剤には、脂肪酸アルカノールアミドなど比較的環境やヒトに対する安全性が高いものが多い傾向です。

AEは非イオン界面活性剤の中で一番多く使用されているものになります。洗浄力が強く、台所洗剤や洗濯洗剤のような中性洗剤の主成分として活用されています。

ところが、AEは改変しやすく親水基と疎水基の分子構造のバランスを変えることによって、消泡剤、乳化剤、洗浄剤など用途を変えることもできます。

非イオン界面活性剤は安全性が高いものが多くつくられており、洗浄剤以外にも乳化、分散、浸透作用を利用して様々な化粧品や食品に配合されています。(*2, *3)

 

*頭皮の汚れを落とす成分が非イオン界面活性剤からできた泡立たないシャンプー(頭皮クレンジング剤)を別記事で紹介しています!

ここには記載されていない脂肪酸エステル系のものが配合されて比較的マイルドな配合になっています(頭皮の乾燥やフケ・かゆみが気になる方向けです!)。

他の成分も紹介しているので、配合例の参照にどうぞ。

 

 

非イオン界面活性剤の話に戻りますが、食品においては、唯一非イオン界面活性剤が使用できます(グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドなど)。

非イオン界面活性剤はタンパク変性作用が比較的弱いとされているものが多く、比較的お肌に優しいイメージがあります。

ですが、今回ご紹介したAEなどのように、脱脂作用が極めて強く、使いすぎると皮膚のバリア機能低下をまねくものもあります。

(確かに、AEがよく配合されている台所洗剤は油汚れを簡単に落としますしね。)

⇒台所洗剤を使うときにはワセリンを活用する手もあります!

⇒手袋は、皮膚をガードするのにいいですが….懸念点もあります。

 

お肌の弱い方はシャンプー以外にも非イオン系の界面活性剤が配合されている場合があるので、一度確認してもいいかもしれないです。

 

★ボディーソープやシャンプーをを使わなくても体や髪を洗う方法はあります!

⇒お湯だけで体もお風呂は大丈夫です!

⇒お湯だけでも髪は洗えます。

 

 

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参考文献

*1) 新名史典、隈下祐一、加藤信一(2013)「ビジュアル図解 洗浄と殺菌のはなし」同文館出版 60-61, 68-69

*2)非接触皮膚科学(2006年)
界面活性剤の秘密
http://hisesshoku-derm.com/archives/2006/11/kaimen-himitsu.php

*3) 大矢勝 「図解入門よくわかる
最新洗浄・洗剤の基本と仕組み」秀和システム, 68-69