脂肪酸と有機酸…違いはある?
本日は、化学的な内容になります。
石けんの使い方についてお伝えしようと思いましたが…..
これまで自分が書いた石けんの記事の中で、書き間違いがあることに気づきました。
それは…
あるときの記事では、
「石けんは”脂肪酸”と”水酸化ナトリウム”からできている」
と書いていましたが…..
ところが別の記事を見直すと、
「石けんは“有機酸”と”水酸化ナトリウム”からできている」
と書いていた部分が…..
あれ。
何かが違う。
記事によって”脂肪酸”が”有機酸” に変わっていることに気が付きました。
ちなみにですが、石けんの成分である”脂肪酸”のステアリン酸は、”有機酸”でもあるので間違いではないです(汗)。
次にその違いをご説明していきます。
脂肪酸は、有機酸の一種なのです
有機酸と脂肪酸の違いですが….
炭素が連なってできた、”有機物”の酸のことを有機酸といいます。
上の図の様に有機酸の中には、様々な種類の化学物質の種類があります。
そのうちの一群に、
①炭素一つ、酸素二つ、水素一つからなるカルボキシル基(-COOH) がある。
②水素がついた炭素が直鎖状に並んで連なっている
①と②の二つ揃っているものが、”脂肪酸”になります。
なので、脂肪酸は有機酸の一種となります。
自分が書いた記事で脂肪酸が有機酸に置き換わっている部分がありますが、間違いではない理由はそのためです(紛らわしいのでどっちかに統一した方がいいのですが…)。
ちなみに、脂肪酸は種類によって呼び方が変わるようです。
”脂肪酸”は、上記の説明であった炭素の数によって、
・2-4個のものは短鎖脂肪酸
・5-12個のものを中鎖脂肪酸
・12個以上の炭素数のものを長鎖脂肪酸
と変わってきます(*1)。
それぞれの種類の特徴はといえば….
石けんに脂肪酸が入っていますが、使用されている脂肪酸の炭素数は12個以上なので長鎖脂肪酸になります。
2−4個の短鎖脂肪酸は、2個の酢酸が有名ですね。
お酢の成分で、酸っぱいものになります。
余談ですが、人の体にも意外と酢酸があります。
僅かですが、皮脂が微生物によって分解された成分で、皮膚のpHを弱酸性に保つために役立っています。
ところが、酢酸は汗のツーンとする原因物質の一つになっています。
(そのほか、アンモニア、イソ吉草酸等も混ざっていますが)
汗はもともと匂いがないものですが、皮膚常在菌が汗や皮脂を分解した時に匂いがでるようです(*2)。
炭素が5-12個の中鎖脂肪酸は、一時期ココナッツオイルで有名になりましたね。
ココナッツオイルの中鎖脂肪酸は、エネルギー源として代謝されやすくダイエットに良いとか。
あと、ココナッツオイルをお肌に塗るというのをよく聞きます…
ココナッツオイルは、「ラウリン酸」という脂肪酸が豊富だそうです。
この「ラウリン酸」炭素が12個の中鎖脂肪酸になります。
石けんのところでもご紹介しましたが、炭素数が16よりも小さい脂肪酸はお肌が弱い方には刺激になる可能性があります。以前の記事 石けんには苦手なことがあります。
ところが、ココナッツオイルの脂肪酸の作用を逆手に取って、”抗菌剤”としてニキビケアに使う方もいるようです。
しかしながら、詰まった毛穴に繁殖した菌に行き届かない場合もありますし、脂肪酸が逆に刺激となって、ニキビが悪化する可能性もあります(*3)。
肌に塗られる場合は様子をみてお使いくださいね。
次回は石けんの使い方をご説明していきます。
P.S. 有機酸と脂肪酸ですが、紛らわしいのでステアリン酸などの石けんで使われているものについては、脂肪酸で統一します。
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参考文献
*1 ウィキペディア 「脂肪酸」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8
(2016-6-6 参照)
*2化学繊維協会 「よくわかる化学繊維」
http://www.jcfa.gr.jp/fiber/topics/vol20.html(リンクが切れてしまいました)
(2016-6-6 参照)
*3 牛田専一郎「なにもつけない」美肌術
32-33