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酸性の石けんがあるようですが…

石けんの記事をいくつか書いておりますが、石けんはアルカリ性のものだけを指すのかと思っていました。

しかしながら、(単一の原料において)”酸性の石けん”があるということがシャンプーの成分を調査している時に判明…あらあら。気づきませんでした..

※ちなみに、”石けん”という単語の表記ですが…JIS では界面活性剤、製品両方の意味 で「石けん」が使われていて、出版関係では、かなと漢字の混合をさけるために「石鹸」が多く、化学系の専門分野において、界面活性剤成分を「セッケン」、製品については「せっけん」 というように表現することが決まりになっているようです *文献1

 

酸性の石けんは”石けん”と呼ばれているものの基本的には融点が低く、液体状になっています。

液状で使い勝手がいいので、シャンプー等によく配合されているようです。

天然の脂肪酸から作られるアルカリ性の石けんは、液状につくられたものもありますが(カリ石けん)、基本的には古来から固形のものが使われています。

基本的には、通常、”石けん”といえばアルカリ性の固形石けんを指すようですね。

 

それでは、酸性の石けんの性質やアルカリ性の一般的な石けんとの違いをみていきます。

 

酸性の石けんとはどういったもの?

古くからあるいわゆる固形石けんは、植物や動物由来の油脂に含まれる脂肪酸と強アルカリの水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)で作られています(ちなみに、強アルカリのカリウムで作られた液体石けんもあります)。

作られた強アルカリの影響を受けて、一般的な石けんはアルカリ性になります。

では、酸性の石けんとはどういったものかというと…

 

一般的には、天然アルコール(ヤシ油由来)や合成アルコール(石油由来)のラウリルアルコール誘導体原料と酢酸原料から作られた合成界面活性剤になります※。

※細かく言うと…アルコールから誘導体原料は、ポリオキシエチレンラウリルエーテルといった非イオン界面活性剤成分になるものです(合成の仕方も色々あるようで、出発原料が酢酸原料そのものを使わない可能性もあります)。

 

そして、正式な名称は、”ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム”といいます。

他の名称として、ラウレス〇酢酸 Na(ナトリウム)と呼ばれています。
(○の部分ですが、数字が入ります。下図のnの個数によって名称が変わってきます。)

 

構造式は次のようになります。(下式のnは、先程の○の名称によって数が変わってきます)

化学構造式:CH3(CH2)10-O-(-CH2CH2O-)n-CH2COONa *2

ちなみに石けんの構造式は、CH3-CH2-…COONaとなり(…は、石けんの脂肪酸成分によって連なる長さが変わってきます)、先程の”酸性の石けん” の右側部分が-COONaと類似しています。

 

この類似している赤色の部分(脂肪酸の金属塩)がある界面活性剤を化学系の専門分野では石けんと定義しているため、先程の酸性石けん、つまり長い名称でいうところのポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウムは、石けんに分類されています。

ちなみに、この酸性石けんは、強アルカリの物を反応させて作られる普通のアルカリ性の石けんとは違い、中性洗剤成分(中性)と酢酸成分(弱い酸)から成り立っているので、弱酸性になります(厳密に言えば、原料は中性〜弱酸性です。アルカリ性の石けんはかなりの強アルカリになりますが、アルカリ性との性質が違うことや酸性側に行きやすので酸性石けんと言われています( *参考文献2))

酸性石けんのメリットは?

いわゆるアルカリ性の石けんのメリットである生分解性の良さと硬度が高い水でも泡立つ中性洗剤のメリットを併せ持っています。

 

メリットを簡単にまとめると..

石けんと同様に生分解性に優れている(分解されてお肌に成分が残りにくい)
酸性条件下でも泡立つ(むしろ酸性側の方が泡立ちが良かったりします)
硬度が高い水でも泡立つ
低刺激
比較的洗い上がりはしっとりした感じになる
シャンプーに配合してもきしまない
弱酸性側に傾いていた場合、殺菌効果が期待される

があります( *参考文献3、4)。

 

アルカリ性の石けんは、脂肪酸からできているので分解されてやすく、肌に残りにくいものの肌にとって刺激になることがあります。

普通の肌の場合でしたら、皮脂が出てアルカリ性が中和されますが、特に皮膚バリア機能が低下した肌の弱い方は、皮脂分泌がままならず、皮膚がよりダメージを受けやすくなります(皮膚の天然保湿成分が分泌されにくくなるという可能性も)。

 

ところが、酸性の石けんは比較的皮膚に近いpH”弱酸性(あるいは中性)”のため、皮膚刺激は比較的少なくダメージは受けにくいと考えられています。

弱酸性の性質があるので殺菌効果が期待されますが、肌と同じような弱酸性のメカニズムによるため、殺菌といえでも極めて肌への影響は少ないです。

さらに、脂肪酸から経たアルコール原料から合成して作られるため、石けんと同様に生分解性能力が高いので、肌に残りにくく、環境への影響が少ないのもメリットにあげられます。

 

”ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム”には、ラウレス〇酢酸 Na(ナトリウム)という別名もあります。

化学構造式:CH3(CH2)10-O-(-CH2CH2O-)n-CH2COONa

数字については、の個数(ポリオキシエチレンの個数)が大きくなるほど、ラウレス〇酢酸 Naの○の部分の数値が大きくなります。
(単純にnの個数と○の数値は一致はしていないようです。)

化粧品原料としては○の部分が4, 5, 6 となっているものがよくみられますが、数字が大きくなるほど、肌への刺激は低くなる傾向があります*参考文献4。

(刺激が強い)ラウレス-4カルボン酸Na > ラウレス-6カルボン酸Na(刺激が弱い)

また、起泡性、洗浄力とも数値が大きくなるほど低下する傾向があり、それにともなって刺激も弱くなります。

メリットばかりお伝えしましたが、デメリットが..

 

デメリット
若干高めの脱脂力
アルカリ性の石けんよりは若干泡立ちは劣る
(泡立ちはよい方ではありますが…)
アルカリ性の石けんよりもコストが高い

 

比較的刺激は少なく洗い上がりは、しっとりした感じにはなります。

ですが、もともと中性洗剤にも使われていたポリオキシエチレンアルキルエーテル由来のものなので、脱脂力がやや気になる部分はあります。

(脱脂力は若干強いですが、短時間で汚れを落とすというメリットもあります。)

また、水の硬度や酸性状況下ではアルカリ性の石けんは泡立ちが悪くなりますが、酸性の石けんは、泡立ちは変わりません。

 

しかしながら、出発原料のポリオキシエチレンアルキルエーテル自体それ程泡立ちが良いものではないので、アルカリ性の石けんと比べてやや泡立ちが劣るようです。

また、分子量(先ほどの構造のnの個数)が大きくなると、泡立ちも劣って来る性質があります。

アルカリ性の石けんを使うよりも酸性の石けんを使ったほうが肌に優しくメリットは多いのではないでしょうか。

 

しかしながら、基本的には酸性の石けんを使っている製品の場合、様々な原料と混合している場合が多く、アルカリ性の石けんと比べて製品が複雑で本当に肌にいいのか疑問が残ります….

逆にアルカリ性の性質はありますが、単体の石けんの場合は成分がシンプルなので、肌に合うか合わないか分かりやすかったりします。

また、基本的に肌に関しては、特に無意味にボディーソープ等でしなくてもお湯洗いだけでも十分皮膚は皮膚常在菌によって、健康的な素肌を保てるという見解もあります*参考文献5 。

⇒身体はお湯洗いだけでもできます。

 

普段からシャンプーを使っている場合、いきなりシャンプーやめると皮脂コントロールが悪化する恐れがありますし、洗い心地も悪くなってしまいます。

(お肌にトラブルがあるときは、使わないのはベストなんですけどね。)

お湯洗いだけでも不安だし…という方のスキンケアのヒントとして活用していただけたらうれしいです。

 

せっかくなので、酸性石けんが使われている商品を検索すると、こちらの商品がありました。

酸性石けんには、ラウレス5酢酸Na が使われており(ラウレス6に名称変更されている可能性もあるようです)、洗浄成分だけの比較的シンプルな配合のシャンプーになります。

しかも洗浄成分の界面活性剤成分は他のものもありますが、比較的低刺激なものを使用し、刺激が少ない設計になっているようです。

また、コンディショニング剤などは一切配合されておらず、余計なものが比較的皮膚に残りにくくなっています。

1000mL 1,300円円程度と比較的お財布にも優しいようです(*参考文献6)。

 

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参考文献リスト

*参考文献1 横浜国立大学教育人間科学部 大矢 勝 界面活性剤とは[4]:界面活性剤の種類

http://www.detergent.jp/kaisetsu/surf04.pdf

*参考文献2  カオーアキポ RLM-45NV 花王メーカーサイトより

http://chemical.kao.com/jp/products/B0002321_jpja.html

*参考文献3 かずのすけ「弱酸性ソープ」と「石けん」 その長所と短所

*参考文献4 美ーシャンプー ラウレス-4カルボン酸Na:シャンプー成分解析

*参考文献5 「何もつけない」美肌術 牛田 専一郎  著

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