前回の続きで、
育毛剤の評価について紹介します。
今回は、比較的確認しやすい代替策で、
細胞を使った試験になります。
ヒトは、60兆個の細胞でできています。
ところが、
皮膚から出た部分、つまり毛自体
(毛幹部)は、生きた細胞ではありません。
(細胞核がなくなり、ケラチンと
付随するタンパク質等で
構成されている死細胞)
その反対に、
皮膚中の毛の組織(毛包組織)は、
細胞で構成されています。
毛周期のうち、
毛の生える時期(成長期)において、
毛母細胞が活発に細胞分裂をして、
毛を作り出しています。
それをコントロールしているのが、
毛乳頭細胞だと考えられています。
成長期に入る段階で、
毛乳頭細胞から増殖因子が産生され、
(FGF-7、VEGF、IGF-1、HGF等)
毛母細胞が受け取り、
毛母細胞が活発に増殖し、
毛が作られるようになります。
つまり、毛乳頭細胞から増殖因子が活発に出せるような
毛乳頭細胞が活発に増殖できる物質は、
育毛剤の候補になる可能性があると
考えられます。
ちなみに、毛母細胞ではなく、
毛乳頭細胞を使うのは、
取り扱いが比較的簡便で、
ヒト由来の細胞やそれを培養する培地も
普通に入手できることも理由の
一つとなっています。
⇒ヒト毛乳頭細胞
(Human Follicle Dermal Papilla
Cells:HFDPC)
http://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100007064
これを活用し、育毛剤候補原料として
販売されているものがあります。
例.オリザポリアミン
詳しくは
https://www.oryza.co.jp/product/detail/oryza_polyamine_koka.html
毛乳頭を扱う利点として、
ヒトの細胞を扱っているので、
(マウスなどではなく)
ヒトでの育毛剤の候補を見つけやすい。
自分の細胞を使えば、
オリジナルの育毛剤ができる
可能性があります。
(ただし外科的に取り出さないと
いけない可能性がある。
iPS細胞の技術が発展したら負担が
なくなるかも。)
また、細胞は培養して増やすことができるので、
育毛剤の数多くある候補物質の中から
選ぶときに活用できます。
(スクリーニング)
紹介した方法以外に毛乳頭細胞だけ
ではなく、毛母細胞に比較的近い
上皮系の細胞を同時に培養する方法等があります。
しかしながら簡便ですが、
欠点が。。
また、次回説明します。