動物試験によって育毛剤の効果を確認します。

 

その理由とは、ヒトでは実験動物を扱うよりも倫理的なハードルが高いことや、効果を評価するのに時間がかかってしまうため、代替として動物実験を行います。

ヒトの毛の生え変わる周期は、数年(毛髪が伸びる成長期は5〜7年ぐらいあります)と長い上に、毛の組織である毛包一本ごとに周期がバラバラです。

それに対してマウスの毛周期は、数ヶ月単位と短く、ある一定の場所ごとに毛周期が同調して変化するので観察がしやすいです。

毛が伸長する時期(成長期)への促進作用や毛の伸長を促す作用を確認する場合、実施される方法の一つとして、マウスの背中への塗布試験があります。

 

具体的な試験方法ですが、

8週齢のマウスBL/6とか、C3Hの種類がよく使われるを用いて、背中の体毛を剃刀などで剃り、育毛剤を塗布後、発毛効果を目視で判断します。

(発毛の度合いをスコア化します。)

 

8週間のマウスを使う理由は、毛周期でいうところの発毛が抑えられている時期つまり、毛が伸長していない時期のマウスになります(毛周期中でいうところの休止期)。

 

発毛していない時期のマウスの背中の皮膚自体の色は、比較的白からピンクになっています。

 

(マウスの場合では、休止期のとき、毛包(毛を作る組織)も小さくなり、体毛に供給されるメラニン色素の合成も押さえられているため色が薄くなります。)

 

育毛剤を塗布後、発毛作用が促進されると、皮膚の色が黒っぽくなっていきます。

 

さらに、進むと実際に毛が生えたのが確認されます。

 

この時にかかった日数と発毛の度合いをスコア化し、効果の確認をしていきます。

 

実際の実施例:

タカラバイオ フコイダン

フコイダン

 

【国際公開番号】WO01/039731

https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tkk/tokujitsu/tkkt/TKKT_GM301_Detailed.action
⇒リンクが切れてしまいました。

 

また、マウスの成長期のマウスのヒゲ組織を培養し、育毛剤塗布後、毛の伸長を測定を行い、効果があるか否かを判定する方法があります。

 

以上が比較的一般的に行なわれている育毛剤の確認方法になります。

 

余談ですが、フコイダンが配合されたシャンプー(頭皮クレンジング剤)は市販されています。

⇒フコイダン含有シャンプー(クレンジング剤)

 

また、実際にマウスでの発毛効果が確認さら、ヒトを対象とした試験を行った際には、ある一定期間投与後、頭髪で実感した効果(毛が増えたかなど)をスコアー化して、有意差があるか確認します。

フコイダン育毛剤

(ちなみに、フコイダンはなかなか皮膚で浸透しないので、マイクロニードルといった極小の針状のもので導入しています。)

次回から、効果的な育毛剤とは何かについて述べていきたいと思います。